雨合羽とカプチーノの話
雨合羽、カプチーノ、キャプテン。
一見何の関係もなさそうに見える、三つの言葉。実は、言語の歴史をひもとくと、祖先が同じなんです。
雨の日に着るマント状の雨具を(雨)合羽と言います。
合羽は和語と思いがちですが、古くはポルトガル語のcapaから転じた言葉です。
capaは、キリシタンの僧侶が着るガウン状の上着のことで、さらにたどるとラテン語のcappa (フード付きマント)が語源です。
一方英語では、capucheという言葉があります。
これはフランシスコ会の一派のカプチン修道会の用いる頭巾のことで、語源はcapaと同じです。
そしてこのカプチン修道士たちが来ている服の色と似ていたことから、cappucino=カプチーノという言葉が生まれたのです。
cappaというラテン語から、ポルトガル語を経て「合羽」へ。
一方でカプチン修道士から「カプチーノ」へ。
二つの言葉は遠い親戚というわけです。
さて、このcapという語幹は「頭」を意味しています。
cappa=フード付きマントも、頭と関係がある言葉というわけです。
帽子のcapは言うに及ばず、captain(キャプテン)やcapital(首都)なども「頭」という語幹を冠した言葉なのです。
アルファベットを使う言語は、スペルがちょっとずつ変化しながら様々な言葉に変化していきます。
しかし語幹を頼りに、似たスペルのものを集めてみると、思わぬ歴史が見つかることがあり、楽しいものです。