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「柳家一琴 さだまさし作 新作落語「犬のお伊勢参り」上・中・下 通し口演」終了しました、ありがとうございました(1)

 

 2024年12月7日(土)にいわきPITで開催した「柳家一琴 さだまさし作 新作落語『犬のお伊勢参り』上・中・下 通し口演」、無事に終了することができました。遅くなっちゃったけど、記録として振り返りも残しておこうと。

 昨2023年の7月から9月に、神保町のらくごカフェにて3ヵ月連続で初演されたのを聴き、“さだまさし作”というところを抜きにして、「いい噺だな」と思いはしたものの、まさか、いわきで手打ち公演をするところまでいくとは思いませんでした。
 師匠とは立ち話で「これ全国でできませんかね。静岡とか……(長野の地元)」という話はしていたのですが、自分のなかで、いわきでなら、なんとか開催できるかもしれないと思い始めたのが、今年に入っての話。その間、昨年12月に入って、師匠が、さださんの設立した公益社団法人「風に立つライオン基金」のチームとして内郷の豪雨災害者の心の支援をするため、急遽いわきに来てくださったこともあって、やはり、いわきの方々に聞いてほしいな、という想いが増しました。2024年の正月には、今年叶えたい目標として、一琴師匠の「犬のお伊勢参り 上・中・下通し口演」いわき公演を、密かに設定しました。

 お囃子さんの入ることで噺に彩りが加わるところもあるので、師匠とお囃子さん(太田そのさん)はマスト。会場も、やるからにはある程度、しっかりした舞台がある会場(かといって敷居の高くないところ)で成立させたい。
 自分のなかであれこれ考えながら、6月、師匠が「アリオス キッズルーム・シアター」の落語会に出演されたあと、ランチをしている最中に意を決して「いわきで開催させてもらえませんか? 長野の主催でやりたいんですけど」とご提案申し上げました。そこに、毎年いわきで師匠の落語会を主催されている「柳家一琴を応援する会」の永井さんもおられたので、「応援する会のじゃまはしないからやらせてください」と仁義を切り……。

 そこから日程の相談、会場の候補、手配、もろもろが本決まりになり、12月7日(土)の開催が決まったのが8月のお盆前。8月18日に一琴師匠が出演した「さだまさしプロデュース特別落語会 in 三越劇場 ~マイ・フェバリットな噺家と~」で、「いわきで通し口演をやります」と発表していただけるように間に合わせたい、というところはクリアできました。

 もう、バタバタでした。夏から秋は職場も催事だらけのハイ・シーズンですからね。しかも個人では10月に「いわき街なか一箱古本市」も突っ込んでいたし(笑)。まぁまぁ、そんなもんです。

 会場は、なるべくいわき駅に近いところがいいと思って、いわきPITさんをお借りすることにしました。むしろ、いわきPITさんでやらせていただきたかったというか。

 年明けに自分が書いたメモを見たら、50人くらいの方を集められたら成功、と目標が書いてあって、平と湯本の候補地をいくつか。で、少し欲張ってmax100人くらいがよいハコかなと。いわきPITさんは、震災後、一般社団法人Team Smileが建設した時から殊の外お世話になっている。2022年に運営が代わったあと統括を務められている福田さんも、ポレポレいわきにお勤めになっていた時代、「魅せます!いわき情報局」の委員を務めておられた一琴師匠の復興支援落語会を受け入れ側で担当されていたので、「一琴さんの落語、大好きです。ぜひ!」ということになりました。
 ポレポレいわきで落語会をされていたのは、2011年とか2012年だったけど、その時は高座もビールケースを積んだものでつくっていたという話を福田さんから聞きました。
 Team Smile時代のいわきPITでも「“わたしの夢” 応援プロジェクト」で、柳家花緑さんが茂木健一郎さんと来場していますが、現体制の運営になってからの落語会は初めてとのこと。いわきPITの齊さんと福田さんが事前に2回も試験的に高座を組む機会をくださり、照明の塩梅も検討することができた。

 また今後も同所で落語会ができるようにと毛氈も買ってくださったり、と温かすぎる迎え方をしてくださり、泣きそうになった。告知面でも、いわきPITのイベント情報に大きく出してくださったり、paix paix(ペッペ)のデジタルサイネージに映し出されるよう手配してくださったり、と本当にお世話になりました。公演当日は、音響のオペレーションでSONICの杉下さんが加わってくれて、師匠の声に加え、舞台袖の太田そのさんのお囃子の音をきれいに拾ってくださった。嬉しかった。

 チケットは公演の2ヵ月前には発売したかったのですが、大幅に遅れ(笑)、開催まで約1ヵ月半くらいになった10月20日すぎに、ようやくチラシの準備ができました。

 チラシのデザインはもう亀岡高幸さんしかいないと思って、お願いしました。私ですら買ってない、さだまさしのトークだけのCDの全集をちゃんと持ってる人で(笑)、2016年に、アリオスカフェで松藤司曄先生の「松藤司曄書展 さだまさしを書く」をやったときも、会場の表示などのデザインをお願いしたのでした。

 「はなし」そのものの魅力を光らせる一琴師匠の落語のように。余計なものをそぎ落としても存在感のあるように、「極力シンプルにデザインしてほしい」というお願いを受け止めてくれ、でも他のチラシと並べても目立つものをつくってくださった。当日のパンフレットも、チケットデザインも、タイトなスケジュールでほぼ一発決めでやってくださり。
 あれこれ言葉を尽くさなくても、自分が考えていることを最大限に汲み取って形にしてくださる人がいるということを、当たり前のことと思ってはいけない。とてもありがたいことなのだ。そういう人に恵まれている、ということに改めて気づくことができた。亀岡さん、ありがとうございました。(つづく)

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