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地域は衰退していく。でもまだ間に合う。

僕は仕事柄、地域密着の事業に関わることが多い。

2015年から不動産の会社を立ち上げ、最初の5年はただただ売上・利益の最大化を目指すだけの会社だった。
当時の市況も追い風となり、やればやるほど右肩上がりで上がっていく業績に夢中になっていた。
そんな時に立ちはだかったのが、2020年からのコロナウィルスの流行。結果として僕らが関わる不動産業界にはあまり影響がなかったどころか、かえってプラスの影響すら感じたくらいだったが、一番最初の緊急事態宣言が発令された時はさすがに得体のしれない恐怖を感じた。

あの時、いつものように犬の散歩をしていて感じた街の静けさに「やばい、このままこの状況が続いたら、自分の会社は潰れるんじゃないか」という不安が頭をよぎった。でも次の瞬間に思ったのは「仮に自分の会社が潰れたとしても、世の中になんの影響があるんだろう?誰が悲しむんだろう?」ということ。そしてその答えは「なんの影響もないし、誰も悲しまない」というものだった。
その答えに、大きな虚無感というか虚しさみたいなものを感じた僕は「もっと地域に必要とされる事業をしたい。この会社が無くなったら困る!と言われるくらい、地域に必要とされる会社を作りたい。」と決意し、そこから第二創業へと繋がっていった。

そんな人生のターニングポイントとでも言うようなキッカケがあり、当時の会社の経営体制も大幅に変わり、出会う人の性質も変わっていった。そこから、ジーバーFOODやまごころサポート、さらにはハローリノベーションを活用した不動産のクラウドファンディング事業にも繋がっていった。

そんなこんなで、仕事を通じて「地域」にガッツリ関わるようになってからは、もう間も無く5年が経過する。

妻との何気ない会話から抱いた危機感

ところで・・・これは僕に限らず全ての人がそうだと思うが、自分の仕事の領域に関しては常にアンテナを張っているので、一般人の普通と自分の普通は異なっているという感覚がある。
「地方創生」「コミュニティ」「社会課題解決」「共創」「共助」などなど、こんなキーワードに関する情報には多分一般的な人が知らない(触れない)内容にいつも触れまくっていて、かなり把握している方だという認識がある。一方で、それ以外の領域の話、例えば人気アイドルグループのこととか、誰と誰が不倫した等の芸能ニュースとか、Xで炎上している話とかには、人一倍うとい。よく「え、それも知らないの?」と、妻をはじめとする多くの人に言われる。

こんなところで自分のプライベートの話はあまりしたくないけれど、僕の妻は僕と興味関心がほぼ噛み合わない人で、仕事の話を家ですることはほぼ無い。当然、先ほどあげたような「地方創生」とか「コミュニティ」とかのようなキーワードにまつわる話題も家では皆無だ。でも関係性はいたって良好で、結婚8年目の夫婦にしては家での会話量は多い方だと思う。ま、そもそもそんなに家にいないんだけど。。。

そんな妻は、山形県の米沢市が地元で、毎年お盆と正月は僕ら家族は米沢で過ごす。先日の年末年始も、3日間米沢で過ごしてきた。
(ちなみに、余談だけど僕は本当に米沢が好きで、いつか必ず米沢に住みたいと思っている)

年が明けて、米沢から仙台に帰っている車の中、妻が何気なくこんな話をしてきた。
「実家の近所に昔からあったスーパー、去年突然閉店しちゃったんだって。2店舗やってたのに、急に当日の朝どっちのお店も『本日で閉店します』ってなって、従業員も近所のお客さんもみんな衝撃だったらしいよ。しかも、スーパー無くなっちゃったから近所のじいちゃんばあちゃん達めっちゃ困ってるみたい。あと、中学生の部活の数も激減して、中学生達も可哀想ってお母さんが言ってた。地方って大変なんだね・・・」

僕はこの何気ない会話に、米沢という地域が、そして日本全国の同じような地域が、音を立てて衰退していく感覚を抱いた。

いよいよここまで来たか、と思った。
僕の妻が「地方って大変なんだね」っていう会話を自ら僕にしてくるくらい、もう本当に地方は大変なことになっているんだ。
一部の意識高い系の人たちが「地方創生!」とか言ってる場合ではなく、本当に全員が力を合わせて取り組まないとヤバいことになってきたんだ。そしてきっと、ここからもっともっと加速的に本当にヤバいことがたくさん増えていくんだ。

そんなことを感じた、2025年のお正月だった。

でもきっと、ピンチはチャンスだ

一方で僕の地元はと言うと、北海道の恵庭市恵み野という地域だ。駅前にドーンと構えていたイトーヨーカ堂が数年前に閉店し、いまだに駅前は巨大な空き地になっている。去年、久々に帰省した際にその景色を見た時は、さすがにショックだった。

でも、そこから少し離れた道の駅には、ものすごい量の人が集まっていた。掲示されていたポスターを見ると、全国の道の駅の中で利用者数が全国第1位満足度は全国第2位らしい。お土産も充実していて、店内に掲載されていたマップを見ると、明らかに僕が住んでいた20年前くらいと比較して多くのお店ができていた。ケーキ屋さんやカフェ、雑貨屋さんなど、小さくとも素敵なお店がたくさん紹介されていた。

恵庭すげーじゃん!!と声を大にして言った。

大手の撤退は必ずしも街の衰退を意味しないどころか、むしろ地元のみんなで新たな価値を作り上げている素晴らしい事例に感じた。

きっと、そういうことなんだろうと思う。
これから大事なのは、一つ一つは小さな取り組みでも、ちゃんと地に足つけて持続可能な地域経済をみんなで作り上げていく「共創・共助」のモデルこそが、ピンチをチャンスに変える唯一の方法なんだと思う。

地方は本当に大変。でもきっと、まだ間に合う。

僕の大好きな我が故郷・恵庭も、米沢も、そしてそのほか全ての地域も、いよいよ本気で力を合わせて新たな価値を作っていかないと遅すぎるところまできてしまった。
でも、今ならまだ間に合う。本気で変わろうと思えば、まだまだやれることはあると根拠は無いけど僕は確信している。
そんな、新たな価値を、いやもしかしたら既にあるであろう素晴らしい価値を、ちゃんと見つめ直し磨き上げるということを、事業を通じて少しでも多くの地域のお手伝いしていければと心から思う。

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