野球選手も英語学ぶべき理由3つ
MLBで活躍する野球選手のほとんどが通訳の方をつけて、インタビューなどに答えています。
もちろん、様々な意図はあると思いますし、誤解がないように正確にコミュニケーションをとることは大切だと思います。
また、最近では通訳の方の役割が言葉のみではなく、異なる環境に適応する上で欠かせない存在となっていることも話題になっていますね。
ですので、一概にその役割を否定はできませんがわたしは
「選手にも自分の言葉で発信できるように努力を積み重ねてほしい。」
と思っています。(通訳がいるからといってそれに甘えすぎてほしくない。)
現在でもほとんどの選手がインタビュー以外の場面では選手同士でコミュニケーションをとっているでしょう。
しかし、やはりメディアを通して自分の英語で発信するということに意味があると思うのです。
その理由を以下にまとめます。
・言葉や文化に対する壁やその過程も経験となる
・英語学習者の希望になる
・選手自身のスキル向上につながる
①言葉や文化に対する壁やその過程も経験となる
英語で生活や仕事をするとなればそれだけ苦労は増えます。
競技に集中するためにその辺りのストレスは軽減すべきという意見もあると思います。
しかし、私が思うのはそれも含めて選手の財産になると思います。
時には人種差別と感じることや、言葉が通じないことで悔しさ、プライドが傷つくこともあると思います。
でも、人生の中でマイノリティであることや自分が思うようにいかないという経験は必ずその人を強くすると思います。
②英語学習者の希望となる
もし日本人MLB選手がヒーローインタビューなどで英語で話していたら誇らしいと思いませんか?
数年前には川崎宗則選手、今はダルビッシュ選手が英語でインタビューを受けていますね。
その姿を見て「カッコいい!」と思った日本人もいたと思います。
流ちょうでなくともその姿を見せていくということに意味があると思います。
スポーツ選手は母国での影響力も強いでしょうから、そんな姿も含めて学んだことを伝えていってほしいと思います。
③選手自身のスキル向上につながる
これは余計なお世話かもしれません。
でも、野球から離れた後英語で発信できるかどうかでその選手の将来も大きく変わってくるのではないでしょうか。
以下の動画は現役時代レッドソックスなどで活躍し再ヤング賞も3度受賞したペドロ・マルティネス氏が解説者として英語で話をしているものです。
ドミニカ出身のマルティネス氏のようにスペイン語が母語の場合は英語との類似点も多いため日本人と単純比較はできません。
しかし、現役を退いてもMLBアナリストとしてアメリカで活躍しているという点で、英語を話せることがマルティネス氏の今を支えているということは事実だと思います。
マルティネス氏のように解説者にならなくとも、英語ができることによって引退後の選択肢の幅が広がるということは素晴らしいことだと思います。
メディアに出ることによって、ある程度しっかりとした英語を話さなければいけないという自覚も出てくると思います。
ではどうすべきか
だからといって今のスポーツ選手に非があるとは思いません。
日本でそのような風潮を作っていく必要があると思っています。
他国に目を向けるとMLB選手の輩出数が多い、ドミニカ共和国ではMLB球団がアカデミー(MLBシングルAやルーキーリーグよりも下の階層の位置づけ)をもっていることが多く、そこでは野球だけでなく英語の授業もあると言われています。
ここからアイディアを得て、
日本のプロ野球球団でも英語学習プログラム
を構築してはどうかと考えています。
一日に何時間も取ることはできないかもしれませんが、一日30分だけでも学習する時間をつくる。
将来MLBに行かない選手が大多数ですので、ほとんどの選手には必要ないと感じるかもしれませんが、セカンドキャリアも考えると全員に提供しても良いくらいだと思います。
この先、日本は高齢者社会・人口減少が予想されています。
ここ30年日本の賃金は上がっておらず、今後尻つぼみになっていくことが予想されます。
そんな中で野球を離れた後も稼ぎをつくっていくためにも英語を使って、外国と仕事ができる、外貨を稼ぐことができるということが個人や日本という国にとっても必要
だと思います。
ここまで書いた内容は通訳の方の存在を否定するものではありません。
細かな内容の行き違いがあると選手成績にも影響が出ますので通訳を付ける必要性も理解しています。
ただ、選手がそれに甘えて英語や文化を学ぼうとしないことは非常にもったいないと感じるのです。
ですので、過ごしていく中で徐々に自分で話してみる、意思表示をする機会を増やしていくという姿勢
そして、影響力のある立場の人としてその姿を見せてほしいと思っています。
根底には世界で活躍できる、意思表示のできる日本人が増えてほしいという思いです。
そうでないと今後の日本は世界の中で取り残されていくと思います。
*補足:参考データ
日本人にとってなぜ英語が難しいのか
まず、日本語と英語では言語としての構造が違います。
詳細説明は割愛しますが、英語、ヒンディー語、スペイン語、ドイツ語、フランス語などはすべてルーツが同じです。(同じ言語から派生)
なのでこれらの言語を母語とする人が英語を学ぶのは、日本人のそれと比べてはるかに簡単なんです。
だからアジア人が英語を学ぶのは上記の言語を母語とする人たちよりも難しいと言われています。
ちなみにアメリカ国務省のHPには英語を母語とする人が世界中の言語を学ぶ場合(働くうえで必要な英語力)、およそどれくらいの時間がかかるかというのを言語別でカテゴリーに分けています。
ちなみに日本語は
"Super Hard Language"
に分類され(カテゴリー4)、習得までに2200時間かかる言語として記載されています。
つまり、「日本語は英語から最も対極にある言語のひとつ」
と捉えることができます。
アジア人の英語力
では、アジアの中での日本人の英語力はどうなのでしょうか。
先程のカテゴリー4には中国語、韓国語も含まれています。
ですので、中国人、韓国人と日本人の英語力の比較が参考になるとも言えます。
TOEFL ibtという北米の大学入学の基準として主に使用されている英語試験のスコア(120点満点)でいうと日本人の平均は71点です。
ちなみに
・韓国 83点 (韓国語:カテゴリー4)
・中国 80点 (中国語:カテゴリー4)
・台湾 82点 (中国語:カテゴリー4)
・ベトナム 83点 (ベトナム語:カテゴリー3)
でアジア30か国以上あるうち、日本は下から3番目でした。
*参考:Educational Testing Service
上記の国々では英語は公用語ではありませんのでその辺りも参考になると思います。
長い文章でしたがお読みいただきありがとうございました。