エッセイ034|山について
はじめて山を美しいなと思ったのは、香川県に行ったときのことだった。
緑の山々(丘?)と海の青のコントラストが美しく、山ってすてきだと思った。
そうして、地元に帰ってみると、地元で見られる山の景色もまた違った美しさがあるのだった。
わたしは山で囲まれたところで育った。
考えてみると、山というのはただの隆起した地形なのに、その一つ一つのでっぱりにいちいち名前がついている。
海もたとえば「日本海」とか「太平洋」とか大まかに指すことはできるけれど、あれは地理的な名称であって、「富士山」「高尾山」「立山」のような固有の名称とはちょっと違う。
日本に固有のことなのか、世界的にもそういうものなのか分からないけれど、知らず知らずのうちに山にはただの地形以上の愛着を持っている人が多い気がする。
わたしの育った地域では、山はより特別だった。たとえば運動会では赤組、青組、のような組分けの変わりに山の名前を組の名前にしていたし、台風がわたしたちの住む地域を避けるように通ったときには「山のおかげ」と皆口を揃えて言う。
山信仰のようなものがあるのだ。
そんな場所で育ったにもかかわらず、わたしは登山と無縁の人生だった。高尾山くらいしか登ったことがない。
そういうわけで、今度低めの山に登りに行きます。どんな景色が見られるのか楽しみだなあ。
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