エッセイ035|はやりの曲、聴ける?
聞かれると、ぱっと気のきいた答えが出てこない質問というのがいくつかある。
たとえば
好きな芸能人は?
これは暗黙の了解でイケメンの中から、ということになっているので、女性アイドルなんかを答えると「分かってないなあ」という感じになる。
しかし、特段イケメン俳優に詳しくない私は答えに窮する。
それから
休みの日なにしてるんですか?
そう聞かれてみると、なにもしていないような気がしてくる。休みの日なんてゴロゴロしていたら過ぎてしまうのだけれど「ゴロゴロしているんですよね~」では芸がない。
そんな、難しいことを聞かれているわけでもないのに答えに困る質問が、最近またひとつ増えた。
どんな音楽聞くんですか?
これが困るのは、ひとえに最近流行りの曲を聞いていないから。流行りの曲を聞かなくなってからどれくらいたつだろう。
自分たちの聞いている音楽が流行りのどまんなかではないことに気づいたのは社会人になって数年がたったときのこと。
最初の頃は夏フェスのタイムテーブルを見ながら「な~んか、わたしたちが大学生のときの方がラインナップよかったよね~」などと言っていた。それが3年ほどたつと気づき始める。
ラインナップが悪いのではなく、ラインナップにわたしたちがついていけなくなっているのだ。
子供のころ、なんで父や母は今流行っている曲でなく、むかしのアーティストの曲を聞き続けるんだろう、と思っていた。
ユーミンやらウルフルズやらももちろんいいけど、aikoとかポルノグラフィティとかも聞けばいいのに!なーんて思っていた。
けれども、いざ自分が大人の立場になって流行っている曲を聞こうとすると、なんだかしんどい。なぜだか精神力がいるのである。
聞こえてくる音のひとつひとつが強すぎる刺激に感じるのだ。年齢を重ねて、新しいものに触れる機会が減ってしまったからなのかもしれない。少しかなしい。
でも不思議とvaundyの曲だけは聴けるんですよね。そういうわけで、最近はvaundyを聴いている。
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