『女優たち』(映画『女たち』メイキング)
これはずっと夢だった映画撮影現場を一人で撮影し、ドキュメントを作るというチャンスを頂いた作品。
端的に言うと「奥山和由という稀代のプロデューサーと演出部の戦い」と言えるのではないかと思っています。
途中から内田監督は気を使うあまり、奥山Pに食われ始め、最終的には僕も奥山Pに食われて、後半の構成がダダ崩れになってゆくというもの。
しかし、篠原ゆき子の体当たり演技ノーカット映像8分29秒は、彼女のこの映画に掛ける思いみたいなものが撮れた貴重なものだと自負しています。
これを撮れただけで、
この作品やってよかった。
リハーサルを見られなかったので
本編のカメラを邪魔しないという理由で
決めたアングル。
その僕の方へ向かって来る
身体を引きずる音が聞こえてきた時に
「こちらに来るのか?撮れるのか?」
と、武者震いしました。
改めて見るとガラス越しに見えた髪
あのオレンジのワンピース。
自分でいうのも何ですが
カメラワークは完璧。
やはり気持ちがカメラワークを決めるので
気持ちが入った時のワークは
観る人の心を捉えると思います
当時の撮影メモに
「彼女はもう監督のカットの声だけでは役から抜けることが出来なかった」と書いています。
(こちらはそのダイジェスト)
また高畑淳子さんが娘の料理を
テーブルの下に弾き落としてしまうシーンの
同ポジ連続シーンは
絶対に本編ではみられないシーンだし
「こんな風に撮っているのか?」という
驚きもあるので
なかなかのシークエンスだと思います。
そもそもこの業界に
入ったきっかけとなったのは
『マルサの女をマルサする』なんですよ
これどんな撮影ドキュメントにも
言えると思うのですが
宣伝班が撮影部に入って
「撮らせて頂く」形のメイキングより
制作部自身が「メイキングを撮る」のは
全く違うのです。
制作部としてメイキング担当になる事が
実現できて
本当に嬉しかったですし
必ずよいメイキングを撮ってやると
燃えてました。
まだワクチンが広く打たれていない
日々での撮影
コロナ禍での撮影
本当に大変な撮影でした。
後悔した点は、
後半の構成とナレ録りした環境…
整音技術も追いつかず、
ここはMAスタジオで仕上げたかった。
ちなみに全てポスプロは自宅。
DTP(デスクトップパブリッシュ)ならぬ
DTP(デスクトップポストプロダクション)です!←同じ略称かよw
あとはこの作品を終えて、テレビ屋としての限界を感じたのはHDで撮ってたこと。やっぱもう4K画質で撮らないとテレビの外の世界では通用しないと痛切に感じました。
思考停止してHDで収録していた自分を猛烈に反省しました。
そして『女たち』は映画
では『女優たち』はどのジャンルのコンテンツなんだ?
上映されれば、このドキュメントも映画と呼ばれるのか?
4Kじゃなかったから映画じゃないのか?と
「映画とは一体何なのか?」を
考えるきっかけとなった作品でもありまし
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