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【特に凄くない人の出版戦略①】凄い経歴の人は読まないでください。
凄い人が出版できる。
それ自体は、凄くありません。
自分がこの世に生まれてきた証を、何か残したい。
今までに培ってきた経験を、多くの人々へ伝えたい。
面白いと思っているものを、みんなで共有し、楽しさを分かち合いたい。
せっかくなら、出版社の力を借りて、書籍という形に仕上げたい。
そう強く願い、必要な行動を起こし続けても、自分の本をなかなか出せない方がいます。
一方で、あっさりと出版を成功させる方もいます。
たとえば、一流企業に就職し、海外に赴任して活躍し、輝かしい実績を残し、「○○卒」「□□取締役」「△△理事長」など、多種多彩な肩書きを持っている人が、本を出せたとします。
たしかに、おめでたいことです。
しかし、その人が出版できたこと自体は、特別に取り立てて語るようなことでもありません。
もし、出版コンサルタントを名乗る人物が、「こんな『凄い人』の出版をお手伝いさせていただきました」と紹介し、それを自分のコンサルティングの「実績」としてアピールしているとします。
ただ、その「凄い人」は、出版コンサルなんか付いていなくても、その気になれば、遅かれ早かれ出版できたはずなのです。
もちろん、「凄い人」につながって、出版を説得し、きっかけをつくれる人脈は、素晴らしいものです。
だったら、出版コンサルでなく、「人脈コンサル」を名乗るべきですね。
その人は、出版の方法でなく、著名人や成功者と仲良くなる方法を教えたほうが、ずっと世の中のためになります。
出版コンサルタントは、誰のための仕事なのか?
もし、出版コンサルタントが、誰の味方にでもなって構わないのなら、まず優先して「特に凄くない人」の味方となり、支援すべきです。それが使命でしょう。
その支援とは、企画の磨き上げかもしれません。プロフィールの見直しかもしれないし、ふさわしい編集者のご紹介かもしれません。それ以外の方法かもしれませんね。
書籍には、著者や書かれた情報に対して信頼性のオーラをまとわせる力があります。それこそが、インターネットへの書き込みには出せない出版の魅力です。
なぜ、書籍の情報が信頼されるのか。
出版社がその情報を読者へ伝えるために、経営上にリスクを背負っているからです。
書籍を制作するために必要な費用として、ある出版社が数百万円を自ら負担した、その事実こそが信頼性の裏付けとなります。
今は凄くない人でも、出版が及ぼす信頼性のオーラによって、やがて「凄い人」になれる潜在能力が秘められています。
もちろん、出版を実現した者 全員が「凄い人」ではありません。
それでも、この私だからこそ、出版を目指す皆さんにお伝えできることがあります。
司法試験に失敗し、上京し、100円ショップでバイトしていた30歳のフリーターが、様々な巡り合わせを経て、初めて出版させてもらった本が、3カ月間で25万人を超える方々からお買い上げをいただき……
そのお陰でフリーランスで10年以上、ライターを続けてこられた私だからこそ、皆さんにお伝えできることがあるのです。
司法試験に7回落ちて、ようやく気づきました。
合格できるかどうか、最後に差が付くのは、受験勉強を好きかどうかという嗜癖の問題に集約されることを。
司法試験の合格を目指している人々は、少なくともその集団の平均以上にいる人に関しては、知識量や頭の回転などに、そこまで大きな差はありません。
世の中は広いですね。
司法試験の世界に入って初めて、「受験勉強を好きでやっている人」の存在を知りました。
「いや、別に好きじゃない」と、本人たちは否定するでしょうが、どうやって合理的に、他人よりも1点多くもぎとるか。どのように減点を抑えて、どこで積極的に攻め込むべきか。時間が経つのを忘れて延々と語れるほど、受験勉強を愛している人々がいます。
いくら歯を食いしばり、ほぼすべての時間を投じて努力を重ねようとも、それを好きこのんで、没頭してやっている連中には、歯が立たないんです。永久に。
没頭してやっていれば、新たなアイデアが浮かび、果敢なチャレンジも行えます。チャレンジの総量が増えれば、チャレンジの規模も大きくなり、周囲に大きな影響を及ぼすことにも繋がります。
今にして思えば、貴重な20代の時間の大半をペーパーテストに費やしたことはバカバカしい限りですが、「好きでやっている人間には勝てない」という、この世の真理を体感できただけでも、司法試験浪人の7年間は価値がありました。
「特に凄くない人」も、出版デビューを実現できます。
フリーターが出版を果たして、いきなり30万人以上の方々に読んでいただける幸運に恵まれることもあります。今から11年前の、私のことです。
うまくいった理由は、きっと「今までにないタイプの本を創った」ために「ライバル不在だった」点も大きかったでしょう。
他に似たようなことを書いているライバル著者がいない状態で、「笑い」「感動」「悲しみ」など、多くの人の心に刺さるような原稿をうまく作れれば、注目度が一気に跳ねることもあるのです。
今の書店には、似たり寄ったりのワンパターンな本で溢れています。
ある本がちょっと売れると、「二匹目のドジョウ」(二番煎じ)狙いの後発類似本が、数社から立て続けに数冊出てくることもあります。
しかし、そういった本は、読者をお互いに取り合うことになり、やがて新鮮さが失われ、人々に飽きられる可能性が高いです。ひとつのベストセラーによってせっかく成立し始めた新たなジャンルを、たちまち食い潰してしまうのです。
心ある編集者であれば、こんな現状を望んでいません。
少なからず、ウンザリしているでしょう。
しかし、編集者の仕事が、しばしば「凄い著者の本の再生産」となってしまうのは、仕方ありませんし、決して責めることはできません。
すでに凄い実績のある人を著者に立てて 企画を提出すれば、出版社内の会議に通りやすいのが、まぎれもない現実なのです。
出版は、人間の言論・表現を支える文化であると同時に、制作費用を回収しなければならないビジネスでもあります。確実性のある、手堅い出版も続けなければなりません。
凄いプロフィールを持っている人が、出版しやすいのは、読者から広く信用されて、買ってもらいやすいからです。
そのへんのおじさんが『日々感謝しなさい』『挨拶が人間関係の基本だ』と語っても、「なんだ、偉そうに」「お前が言うな」と、うっとうしがられるだけかもしれません。
しかし、『日々感謝しなさい』『挨拶が人間関係の基本だ』と、同じことを“名経営者”が語れば、「さすが、地に足が着いているなぁ」「やはり、当たり前のことの積み重ねが大切なんだ」と、多くの人々に有り難がられ、賞賛を浴びます。
おそらく、「特に凄くない人」が、「凄い人」と同じことを書いて 出版を実現しようとするのは、相当に難しいチャレンジでしょう。
同じことが書いてあるんなら、ほとんどの人は「凄い人」の本にお金を払って読みたがるはずですから。
あまりにも不公平で、厳しい現実かもしれません。
では、どのようにすればいいのでしょう?
簡単です。
凄いプロフィールの著者たちとは、違う戦略を使って、違う切り口で書けばいい。
そして、1社や2社に採用を断られたとしても、簡単に諦めず 次へ行く。
それだけです。
たとえ結論が同じであっても、違った角度から切り込んで作った本なら、書店の棚に並んでいても、ちょっとした新鮮さが醸し出され、一定の人々に受け入れられるようになるのです。
新たな切り口の演出法なら、いくつもパターンがあります。
たとえ、うまくいかないことがあっても、出版に挑戦するそのプロセスを好きになり、没頭できるようになれば、もはや怖いものはありません。
あなたがもし、出版という高い山を目指すのならば、今までの様々な苦い経験を活かして作った「強力な登山道具」、つまり、出版を実現するために必要な「ゴールデンルール」を、私は提供いたします。
ただのフリーターだった頃の私は、出版実現の山頂に辿り着くまで、2年半かかりました。
あの頃、もし仮に、この「強力な登山道具」を持っていたなら、自分の出版企画の問題点や欠陥に、自分で気づいて、的確に修正し、「登頂」までの期間をもっと短縮できたに違いありません。
そのような情報を、私がご提供します。
なぜ、そんなことをするのか?
なぜなら、「凄い人たち」が、同じような話を繰り返し 繰り返し、焼き直して出版するだけでは、出版文化がどんどん縮こまってしまうからです。
法律家の道に進むことを失敗し、その後、出版業界に救ってもらった私として、出版文化がこのまま衰えていく未来は直視できません。
現在のインターネットでは、10年前、20年前なら書籍として販売されていたような情報を、パソコンやスマートフォンでいくらでも読むことができます。しかも、無料で。
しかし、編集者や校正者、営業や書店員の皆さんなど、たくさんの出版関係者が関わって成り立つ書籍だからこそ!
リアルな魅力を伴って伝えられることがある。そう確信しています。
たとえ同じ情報でも、スマホの画面で読む場合と、本のページをめくりながら読む場合とでは、印象が違います。
スマホじゃ出せない価値もある
ただ、情報を取って知るだけなら、本でなくても、スマホで読めば十分です。
デジタル情報として書かれていれば、外出時や旅行先でも手軽に読めますよね。荷物も増えずに便利でしょう。
本って、カバンに入れると、けっこう重くて、かさばりますからね。持ち歩いているノートパソコンが、せっかく薄くて軽い最新型のヤツなのに、本も一緒にカバンに入れちゃったら台無し……ってことにもなりかねません。
しかし、書籍でなければ読者に提供できない価値もあります。
代表的なものは「プレゼント」としての需要です。
誕生日に、本を一冊贈ると、他のプレゼントとはまた違った味わいが広がります。
著者は、自分が何者なのかを初対面の相手に伝えたいとき、本を一冊渡せば、それだけで雄弁に伝えられるメリットもあります。
また、「この著者の、この文章は、手元に持っておきたい」という愛着を象徴させる需要もありそうです。
どのようにすれば、「愛着」 を本の中に盛り込めるのでしょうね。
その点も、これから一緒に考えていきましょう。
出版しましょう あなただけの一冊を
どうにかして私自身も、「出版不況」と呼ばれる流れを食い止め、出版業界が新たな姿へ変貌していく深化を支えるため、できる限りのことをしたいと願っています。
ですから、「出版支援」なんて、おこがましい話です。
むしろ、出版業界を盛り上げるために、あなたの力を、私にも貸していただきたいのです。
ここを訪問し、読んでくださっている方の中には、「最初の一冊が出せない」、あるいは「出したことがあるけれども、次の一冊が出せない」とお悩みの方も多いかもしれませんね。
しかし、あなたが出版に対して関心を持ち続け、そこそこ長い文章を ここまで読み通してくださっていること、その事実が素晴らしいと感じています。
貴重な時間を取って、ここまで読んでくださいまして、ありがとうございます。
今の出版業界に必要なのは、新しい著者が入ってくること、すなわち「新陳代謝」であり、「多様性」です。
あなたの出版物が、日本の文化に彩りを添え、世界の歴史に新たな1ページを加えます。
出版のためにチャレンジを続ける、あなたの営みそのものが、世の中の雰囲気を豊かにしていきます。
おや?
誰かやってきましたよ!
< つづく >
⇒ 【特に凄くない人の出版戦略②】読書をしない人が、本を出してもいいのか?