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きみには野菜を食べられない理由が何かあるの?

「いや、食べたくない。」

と顔をしかめるウエノコの姿を散々見てきた。偏食も偏食、筋金入りだ。

年齢が上がり、自分の気持ちを言語化できるようになってくると、いろいろな説明が加わるようになった。「匂いが苦手」、「これは何でできているのかわかんない」、「この色が怪しい」、「これは味が苦手」、「口に入れた時の食感が無理」

「いや、食べたくない。」の背景に、こんなにも多様な理由が存在したのかと、逆に感心するほどだ。

はじめの頃は、何を作っても食べてくれないコを前に、いつも途方に暮れていた。泣いたり、怒ったり、凹んだりと、私自身の感情がとても忙しかった。もちろん今だって(私が)悩んでいる。(私が)疲れてる時などは特に、心がボキボキと折れまくる。

それでも、どこか「仕方ない、次。」と思える耐性もついてきた。「人の好みって変わるから、今回ダメでもまた今度挑戦しようね。」なんて、言えるようにもなった。


そんなウエノコ、今通っている学校には食堂があり、毎日ビュッフェ形式のランチをいただいている。主食、メイン、副菜、と言った感じで、食べたいものを選んでサーブしてもらう形式らしい。当然ウエノコにとっては、あまり楽しい時間ではない。「どれか一つ挑戦してごらん」、「フルーツはどう?」なんて、食堂の方や先生がやんわり声をかけてくれることもあるらしい。でも基本は本人の自由。ウエノコはチキンだけ、ナンだけ、モンゴリアンライスだけ。と言った感じで食べているらしい。


「きみは野菜を食べないの?」
「きみには野菜を食べられない理由が何かあるの?」

ある日クラスの子にそう尋ねられたと聞き、私は思わず笑ってしまった。

そうきたか!私にはない発想だった。野菜を食べない子を前にして、「嫌いなの?」と聞くのではなく、どんな理由があるのかとたずねる視点が私には全くなかった。だから、純粋に感動してしまった。

アレルギーのある子、ベジタリアンの子、ハラール対応が必要な子、学校にはいろんな子がいる。いいとか悪いとか、大変とか、そんな話じゃない。いろんな子がいるって、それだけのはなし。

子ども達にはバランスよく食事を楽しんでほしいな、と心から願う。本当に心から。一方で、無理強いされたり、やんや言われることなく、その場にいられる今の環境がありがたいな、とも思っている。ただでさえストレスの多い中、プレッシャーを感じることなくランチタイムを過ごせることは、ウエノコにとって大事なことだと思うから。

でもやっぱり、バランスよく食べてくれたら、、、なんてね。オヤってほんとに、ドウシヨウモナク、カッテナ、イキモノ。はい、それ私デス。


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