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あたしは まだ トチギを しらない

 私がお世話になっている音楽教室は、全国展開している楽器屋さんが運営しています。そのため大都市圏の教室は3月に入ってから休講になる所が増えていきました。休講の条件がいくつかあったのですが、私の通っている教室は幸いどれも引っかからずにいたのでしばらくはレッスンが受けられました。

 ただ時間の経過とともに全国的な感染拡大が問題となり、とうとう4月下旬には全店舗でレッスンが休講となりました。とはいえその頃の東京はとっくに外出自粛と言っていたし、体力のある企業や柔軟性の高い企業はだんだんと在宅勤務へシフトしていった時期でした。なのでついにこの日が来たか、という感じで子どもが休校になった時よりは冷静に受け止められました。
 ちなみに夫は在宅勤務ができない仕事でしたので、通常どおり出勤していました。

 そして、全国規模で外出自粛となりすていほーむが叫ばれるようになりました。自粛期間もずるずると延びていき、結果ゴールデンウィーク明けまでは厳格に家にいないといけないような雰囲気でした。

 その時流行った替え歌じゃないけれど、『外は引くほど晴れなのに』出かけられません。気温が上がって日ものびてきて絶好のバイクシーズンなのに乗れません。免許取り立てで一番乗りたい時期になんでこんな目に、と自分の間の悪さをちょっとうらんだりしました。

 でも。家にいてもできることはたぶんある。ということで栃木のガイドブックと道路地図を買いました。
 自分が住んでる地域のガイドブックなんて読んだことがなかったのです。ところが読み進めるとその印象は全く違ったものでした。

 すごい。知らないところばっかり。行ったことないとこばっかり。行ってみたい所ばっかり。

 『目立たない』『何もない』『さすが魅力度ランキング最下位の県』などと揶揄される栃木県ですが、私にはとても魅力的に感じました。4月だといちご狩りは終わっちゃったけど、夏の高原や秋の紅葉狩りとバイクで楽しめそうなところばかりです。 
 ツーリングといえば日光のいろは坂とか日塩もみじラインとか有名よね。125ccでも行けるのかしら。地元なんだから何もない空いてる時に行ったって楽しいわよたぶん。
 あと温泉もいいなあ。鬼怒川とか有名どころでなくても日帰り入浴で楽しかったところが色々あるじゃない。
 まあ海はないけど川とか滝とかも楽しそう。幻の滝とかすごくない?
 食べるものもいちごとか佐野ラーメンみたいなメジャーどころだけじゃなくて、新そばとか耳うどんとかジャガイモ入り焼きそばとか食べてみたいな。子どもと一緒だとこういう地味なの食べないじゃない。にらそばとかどんなのだろう。大根そばはおいしかったからまた食べたいし。(餃子はいいです、自転車で行けるから。)
 ていうか、海だってぜいたく言わなきゃ近いところで片道約100km、気合いで日帰りできちゃうかな。でもよく考えたら100kmって東京と同じ距離じゃない。やだ、都会へ行っちゃう?
 と、妄想がどんどん膨らんでいきます。でも今年の夏はまだ出かけられないかもなぁとこの時の私は感じていましたが。

 そんなわけで県内だったら大体の所は原付二種で行けるんじゃないか、と地図で確認しながら当時の私は思っていました。夫は「夢見すぎ」と笑ってましたが私は本気で行ってやると心に決めていました。バイクだったら一人で行けちゃうもんねーだ。

 引きこもり気味だった私が久しぶりに外へ出ようという意欲がわいてきたのを感じて新しい自分に変われるんじゃないか、という予感にうれしくなりました。

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ながまき さい
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