【24】さぁ もう一度だけ旅を始めよう
7年前から繋いできた旅の集大成として、この半年あらゆるエネルギーを費やしてつくったFLAGⅢが終了。
華やかな達成感というよりは、緊張から解放されて静かにひと息つく程度の不思議な感覚。
人狼TLPTの「良さ」は、作品の評価や報酬が役者の功績になるところだと思う。
全てが僕の功績なのだとしたら、それはそれは大いなる達成感とともに鼻高々にあれこれ語ることもできるのだろうが、
僕はあくまで航路を整えただけ。幕が開いてしまえば、わくわくしながら旅を見守る観客でしかないのである。
とはいえ僕は、実際は観客ではない。
だから、観客の(本作では、波と風の精霊という役を担ってもらった)皆さんが日々足を運んでくれることや、熱のこもった拍手を聞かせてくれることにも、本当に心から感動させてもらえた。
聞き飽きたかもしれませんが、本当にありがとうございました。
感情を曝け出しながら言葉を紡ぎ、苦しい選択を乗り越え続けて作品を完成させた出演者陣には、もっともっと自身への称賛を煽って欲しいと思うし、
こんな風に役柄を問わず全ての出演者が讃えられる環境を創り上げた桜庭プロデューサーの想いが、もっともっとエンターテイメントの世界に広がってほしいと願ってやまない。
「この世界に必要のない人なんかいないということを伝えたい」と、以前桜庭プロデューサーが言っていたことがある。
参加型のエンターテイメントにこだわるのも、それが理由なんだと思った。単純にそのシステムを楽しんでいただけの自分には気付かなかった発想だった。
奇しくもFLAGにおける海賊たちの多くは、世界に自分の居場所を見出せなかった者たちばかり。
「世界がお前らを脇役にするなら、お前らがいる海を真ん中にしちまえばいい」という言葉は、海賊たちだけでなく、この作品を愛してくれた全員に捧げたい想いだったんだと思う。
自分のそばにいることを選んでくれる人たちをいつだって世界の中心に据えて旅をしていたいと、常々思うことを改めて認識した。
魂をかけて作った作品も終わってしまえば無数の思い出のひとつに過ぎない。
当たり前に訪れる日々の嫌なことや面倒なことを忘れさせてくれるような記憶なんて、たぶん誰にだって作れないんだろう。
だからこそ、目の前の小石が気にならないくらいに楽しみな未来を増やしていかないとなと思った。
それは皆のためにもそうだし、自分のためにも。
取り急ぎ12/15〜12/17の永石匠フェスは、この日までは皆と一緒に楽しみだねと言いながら生きられる、そんなイベントを作りたくて計画。
会場は池袋西口のgekibaです。
その先のことは今後また考えるとして、世間の誰がどうだろうが無視するとして、僕と皆と何人かのゲストで、自分たち限定の楽しさを見つけよう。