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【26】落ち行く枯葉を掴んでは

前回の記事に様々な反応をいただき、ありがとうございます。
これからも一緒に楽しい時間をたくさん作っていきましょう。


今日は仕事の合間に公園へ。
どこか店に入るほど時間はなく、とはいえ次のタスクまで変に時間が空いてしまった時、こういう場所で時間を過ごせるのはこの季節の特権だ。

近くにいい場所があって助かった。
この場所を今日から束の間公園と名付けよう。

束の間公園のベンチ

束の間公園、日曜日の夕方。
本当に面白い時間だった。

公園に入るや否や、スケートボードに乗った少年か突っ込んできた。
よく見るとスケートボードのようで微妙に形状の違う、8の字型のなんともバランスのとりづらそうな板に乗っていた。
気になって調べたら、キャスターボードというらしい。
母と妹らしき人が手をとりバランスをとりながら、乗り続けられるギリギリまで頑張る少年。
ケガには気をつけてね。

ベンチに座っていると、キャッチボールをしていた父子のボールが近くに流れてくる。
拾って投げ返そうかとも思ったけど、追いかけて走ってくる少年があまりにも楽しそうだったので、邪魔するのはやめておいた。
お父さんは丁寧にキャッチを指導している。お父さんにとっても貴重な時間なのだろうと思った。

別のベンチに座るおじいちゃんは、やたらと大きなリュックを抱えて、どこを見るでもなくゆっくりと水を飲んでいる。
どこから来て、どこに行く人なんだろう。
遠くから来るような公園ではないし、近くに住んでるなら荷物多すぎるだろと思った。

色んな人生が、重なり合うでもなく、ただそこにあった。
彼らにとっては、変わらぬ日常のひとコマとして選ぶこともできないほど、何気ない時間なのだろうと思う。
劇的な瞬間はひとつも存在しないけど、隅っこでひとり休んでいる、恐らくこの空間において最も異質な存在である僕だけが、そこにすごくドラマチックな何かを感じていた。

ここひと月くらい、イレギュラーの皺寄せで予定外のタスクが降り注ぎ続けていて、気疲れが止まらない日々だったけれど、なんだか肩の力が抜けたような気分になった。

ありがとう少年と母と妹。
ありがとう父子。
ありがとうおじいちゃん。
どこに行くのおじいちゃん。

そろそろ戻ろうかとベンチから立ち上がると、ベンチの端に何か置いてあることに気付いた。


色んな人生が、ただそこにあった。

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