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【不動産考察 第3回】手を出していい不動産と手を出してはダメな不動産

週刊ダイヤモンドの特集で「不動産・開発 危うい狂乱」という特集が組まれておりますね。ダイヤモンドの記事はややプロ向けの内容でしたので、正直分かりにくかったと感じた人が多かったのではないでしょうか?

今日は、不動産業界にいながらなかなか言い出しづらいことを申し上げます。

なお、不動産には、住宅、事務所、店舗、ホテル、倉庫、工場など様々なアセットタイプがありますが、ここでは住宅に的を絞ってみてみたいと思います。プロ向けのマーケットは、また様相が若干ことなるので、改めて論じてみたいと思います。

残念ながら、これから日本の不動産価格は全体的に下がっていきます。

私自身、宅建業を営んでいることから、お客さんにじゃんじゃんと不動産を買っていただいたほうが当然収益になりますので、「不動産アゲアゲ」というスタンスを取るべきなのでしょうが、正直者の私にはできません笑

そもそも、私はプロ投資家相手の商売をしているので、個人の方には正直に話すことができます。

このような官製バブル相場では、個人投資家はじっとしておくのが一番です。これから金持ち父さんと貧乏父さんを読んで、いざ不動産投資だ!と言っている人に是非読んでもらいたいです。業者の義務として、マーケットの動向は宅建業法で定められた重要事項でないのです。従って、法に触れない限り悪いことを絶対に言いませんので、、、

今、不動産業界が活況な理由

説明するまでもなく、アベクロ相場が続いているからです。専門家はいろんな要因を分析して説明しますが各要因のウェイト(重要度)を指摘しないままの人が多いです。最もインパクトがある要因として、極端な金融緩和政策が長らく続いているから。それだけです。

2012年に民主党から政権を奪取した安倍政権は、日銀総裁に黒田さんを指名し、日銀をリフレ一色に染め上げます。そして、金利をゼロ近辺に導入し、更にマイナス金利という禁じ手を導入してまで、金融アゲアゲ政策を実行していきます。それで起こったことは、確かに物価や賃金は少し上がりましたが最も上がったのは、不動産と株です。これも単純な理由で、カネの行く先がないので、不動産と株に流れただけなのです。

今後、不動産価格が全体として下がる理由

これも至極当たり前の話であり、今後日本では全体として人口が減少していき、特に生産年齢人口が急減し、高齢者が増加する社会が到来するからです。ここのキーワードは「全体として」下がるということです。人口減少のスピードは都市によって様相が異なります

私自身は関西人ですので関西アゲアゲしたいのですが、今後、不動産マーケットとして勝てる可能性があるのは東京しか残らないと考えます。皆さん東京圏は世界一の人口集積圏であることをご存じでしたでしょうか?東京圏とは、すなわち一都三県であり、約37百万人の人口を抱えています。10数年後にはインドのデリーに抜かれるそうですが笑

新宿駅は世界一の乗降客数を誇るように、東京にヒトモノカネが従来から集積しており、今後はこの傾向がより加速するものと予想しております。よく、情報社会の到来で、東京にいなくてもインターネットさえあればという議論がなされますが、これはゲリラ的な動きにならざるを得ないでしょう。今後、地方は社会インフラを維持できなくなっていく可能性が高いですし。

では、どうすればいいのか?モノ別に買っていいもの買ってはならないモノに分類してみます。

絶対に手を出してはならないモノ

ここでの想定は、所謂庶民が資産形成として投資する不動産として見た場合です。金持ちの人は、好きなものを買えばいいと思います。

新築ワンルーム → 新築のワンルームは、新築時の高い賃料を前提として利回り計算が行われます。購入後は2回転目で賃料下落、中古となり利回り上昇となり、5年後にはだいたい7掛けぐらいの価格になります。なお、地方のワンルームは新築でも中古でも絶対に手を出してはならないモノになります。
背伸びタワマン → パワーカップルと煽てられて、世帯年収の10倍近い高級タワマンを買ってはならないです。高級タワマンは正に一握りの勝ち組が買う商品です。タワマンは富裕層にとってはいい商品ですが一般庶民にとってはただの金食い虫です。
田舎の戸建 → 人口減少地域で戸建を買う人は、冷静になって考えましょう。土地値が極端に安く、ボロボロの戸建でタダみたいな価格のものであれば住み潰すという発想もありですが、辺鄙な立地の新築戸建ては絶対にNGです。

できれば手を出したくないモノ

中古ワンルーム → ワンルームマンションは、立地によっては今後有望なものもありますが、一般的に管理が杜撰になりがちであり、老朽化・陳腐化の程度が激しい商品です。相当な目利きが必要とされる物件タイプなので、素人はあまり手をださないほうがいいです。ただし流動性は最も高いかもしれません。
新築マンション(ファミリー)→ 東京圏の新築マンションの価格がバブル期越えをしたとの報道がある通り、現在、土地価格の上昇、建築費の上昇で、理性的な価格を超えた新築マンションが大量に供給され続けています。新築マンションで買っていいのは、今後人口増が見込める立地だけに限定されると考えます。

場合によっては手を出していいモノ

中古マンション(ファミリー) → 中古マンションも値上がりしていますが、立地によってはリーズナブルな値付けのものがまだまだ多いと感じております。中古マンションは、立地もさることながら、管理の全般的状況、管理組合の状況などで大きく価格がブレるので、できれば第三者のオピニオンを取得するのが望ましいと思います。今後、世帯のコンパクト化が進むでしょうから、都心の1LDK~2LDKあたりは狙い目かもしれません。

上記の通り、全般的に今の住宅マーケットをボロカスにぶった切ってしまいました。

私個人としては、アマ投資家は自宅以外の保有不動産をなるべく早く、アベクロ政策が続いている間に売ってしまうべきだと考えます。不動産の世界でアマは絶対にプロに勝てません。

以上の通り全体的に買うことをおススメしない私ですが、例外的に買うことをおススメ出来る層がいます。

それは、今や超少数派となりつつある「大手企業の若手サラリーマン」です。この理由は、次回「令和の住宅すごろく」で解説してみたいと思います。

反論大歓迎です!違った見方をしている人からのご意見を聞いてみたいと思います。

不動産投資がしたい、自宅マンションを買いたいと思っているという方は、ご相談いただければ、私が超ネガティブな意見を出してあげます笑

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不動産鑑定士×司法書士×行政書士 長井
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