子ども王国の日常vol.2
額の汗をぬぐいながら、疲れ切った足をゆっくりと自分のホテルまで運ばせる途中にある路地をよぎると、ふと、背中越しに少女に呼び止められる。
「いらっしゃい!!」
僕は、少し時間を巻き戻すように歩みを戻し、彼女のお店に立ち寄る。
どうやら、アイスクリーム屋さんらしい。
店も看板もアイスクリームもイマジネーション次第だが、それもそれで面白い。
「世界一伸びるアイスはどうですか?」
店員さんのオススメに、迷わず注文。
「じゃあ、それ一つ!!」
いつもよりも、長く伸びるアイスのジェスチャーをしながら、見えないアイスを堪能する。
「おいしいね!!」
「そうでしょ?!ミルクがいいミルクなの!!」
「それは、間違いない!!」
しばらく見えないアイスを堪能し、「また来るね!!」という言葉を残して、お店を後にする。
心なしか、軽快に歩き出す僕の足。
これは、間違いなくあの子の作る世界一伸びるアイスのお陰であろう。
2003 イラク カルバラ