長崎大学水産学部生の乗船実習レポート②「船の上での実習内容」
長崎大学水産学部の人気プログラム・乗船実習(3年次8〜9月に実施)では、附属練習船「長崎丸」に乗って近海を航海し、漁撈や観測、航海操作などを体験します。レポート①に続き、松浦栄人さんに1週間の実習内容について報告してもらいました。
台風と重なった乗船実習
僕らが参加した9月13日(月)から19日(日)は台風14号の長崎近辺通過と時期が重なったため、トロール漁業実習などクレーンを用いる実習は体験できませんでした。しかし、それ以外の実習もとても興味深いものばかりでした。
船が最も揺れた時は、波の高さは5mはあったと思います。
長崎丸の船内見学、操縦方法実習
自動車の自動運転技術が一般的になりつつありますが、船舶の世界でも自動操船の波が来ており、着岸などの細かい操作以外は自動操船で行われています。しかし、いくらAIやIoT技術が発達したとは言え、操船についての基礎知識、基礎技術取得は乗組員の必須事項です。乗船実習でも操舵室を見学し、様々な機械に触れることができました。
安全に航海を進めるために必要な海図の見方も勉強します。
イカ釣り実習
イカ釣りは「エギ」という疑似餌を使って夜に行われます。ケンサキイカやコウイカなどを釣りました。
水産加工実習
魚を捌き、加工品を作ります。アジやヒメジを開き、専用の乾燥機にかけて製品化します。
ロープワーク実習
船上では波による揺れで物が落ちないように、ロープで固定させます。ロープワークは乗船の際に必要な技術です。実習では10種類ものロープワークを学びました。普段から実践していないと忘れてしまいそうなので、復習します。
機関室見学
ボイラやディーゼル発電機など、船の中枢部を見学しました。まずはエンジンの仕組みについて説明を受けます。
実際のボイラ室も見学しました。
対馬市厳原港で下船
乗船実習の中盤では、国境離島・対馬で下船して、丸一日も自由時間をもらえました。可能な限りで対馬市の中心部、厳原を観光しました。
「厳原町漁協直売所 対馬海流」
対馬でどんな魚が釣れるのかを見たくて漁協に行きましたが、台風14号によるシケのため、商品はほとんどありませんでした。
「漁火公園」
玄界灘を見下ろす場所にあり、夜になると対馬名物の漁火が一面に広がる絶景を見ることができます。写真は個人所有のドローンで撮影しました。
「万松院」
対馬藩、宗家の菩提寺です。写真の132段の石段は見所の一つ。
釣り実習
台風一過した最終日は快晴になり、絶好の釣り実習日和でした。乗船実習では魚群探知機を使ってポイントを探るので、効率よく多くの魚を釣ることができます。写真はカサゴ(長崎ではアラカブと呼ばれます)です。
キハダマグロを釣った学生もいました。「乗船実習で学生がマグロを釣るのは珍しい」と先生方もおっしゃっていました。
実習を終えて
新型コロナウイルス感染対策のため、実習前2週間(夏季休暇中)を自粛生活をするなど、事前準備が大変でした。だけど、その我慢した日々の記憶も吹き飛ぶほど充実した体験ができました。下の写真は夕日とコンパスデッキ(操舵室のある船橋甲板の屋根のこと)。
実習中はどんよりとした曇り空ばかりを見ていたため、この夕焼けを見ることができて感動でした。後日談ですが、陸に戻った後、2日ほどは陸酔い(おかよい)していました。
《終わり》
※記録を残すために一部マスクを外して撮影いたしました。同乗船実習では事前に2週間の行動制限を設けるなど、十分な感染対策の下で実施しております。
長崎丸船長の森井康宏教授より
「2020年2月頃からのコロナ禍、満足に大学に通う事さえ出来ない学生がいる中、厳しい体調管理及び行動制限を経て、2020年6月から乗船実習を続けさせて貰っています。
残念な事に、昨年同様今年も2週間航海が1週間と短くなってしまいましたが、我々の生活環境と海洋環境の繋がり、そしてそれらの環境の変化が海洋生物へ与える影響を知る上で、海洋観測の重要性・天候不良等による継続的な観測の難しさが、少しは理解出来たと思います。そして何より海洋生物と触れ合う楽しみを体験できたのではないでしょうか。
ー高校生、受験生の皆さんへー
海・自然と関わるきっかけを探す為、練習船を保有する数少ない大学のひとつ“長崎大学”を選んでみてはどうでしょうか?」
詳細は長崎大学水産学部Webサイト(Click)や学部パンフレット(Click)をご覧ください。
海洋教育フォーラム
松浦さんたち、長崎大学水産学部の学生が中心となって運営している海洋教育フォーラムが12月18日(土)、12月19日(日)に開催されます。詳細は下記の画像をクリックしてください。
レポート①は下記からご覧ください。
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