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そのすべてであるなにか、に、なりたい

 最近、というか、ここ10年ぐらいだと思うんだけど、ぼうっとしていると、たまに、自分が誰だかわからなくなる。
 本当にわからなくなるわけじゃなくて、ほんの一瞬だけ、あれ、誰だっけ? となる。
 昨日は、ぼうっとスマートフォンを触っていたら、ある男の人の写真が出てきて、あれ、わたしって、この人だっけ? と思った。
 一昨日は、一瞬、体が虫みたいになって、手足に節があって細かい毛がびっしり生えていて固い、そういった虫の体の感じ、そのままそれがわたしである、という感覚が、本当に一瞬だけあって、すぐ消えた。
 必ず、ぼうっとしているときに、そうなる。性別も、種族もなく、わたしのこの体ではない体になる、なる、というか、もうそれ。で、すぐ、終わって、わたしは元のわたしになっている。
 多分、そうなりたいという願望があるのだろうなーと思う。男でも女でもない、子どもでも大人でもない、人間でも虫でもない、けど、そのすべてであるなにか、に、わたしはなりたいと、深い部分で思っているのかもしれない。
 本当に、深い部分でそう思っているのだとしたら、少し怖い気もする。
 ただ、虫になれたとき、すごくうれしかった。わーい、と思った。

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