【化学流産の体験記】前に化学流産してもうフライイング検査しないと誓った話。
「化学流産」って聞いたことありますか?
クリニックに通う前、まだ自己流で妊活していた時に、化学流産といわれる体験をしたので、その時の話をします。
タイミング法を始めて半年ほどたった段階で、例にも漏れずわずかな身体の変化にいちいち反応して「想像妊娠」していた私は、生理開始日1日前くらいに妊娠検査薬を試してみました。
夫が、排卵日前後に、「俺としおこんぶが、卵にスーッと入って行くおたまじゃくしを外から眺めている夢を見た」なんて言うものだから、そんな気分の高揚もあり、こっそりトイレで検査薬をしたら、陽性に!!ひゃっほ~い!
ただ、判定の濃さは、うっすらと濃いの間くらいでした。だけど、ハッキリと線は出ていたし、初めてそんな結果が出たもので、嬉しくなって夫に報告して、二人で動画撮っちゃったりして、喜んでいました。
不安だったので、もう1本、違うメーカーの検査薬でその翌日くらいに検査しました。そしたら、もう少し濃い線が出ました。その時点で、喜んじゃいけないと思いつつも、「妊婦」になった、しおこんぶ。
ネットで検索して、確か妊娠5週目、生理開始33日くらいで産婦人科を受診。普段の周期26日なので、堂々の「生理こない新記録」樹立でした。
受診する前に念のため看護師さんにも状況を説明して電話したら、看護師さんに「そうですね、その日数でしたら一度受診してください」とも言われました。
それまで、婦人科系の疾患の治療で通っていた病院に、今度は違う理由で行くことになり心躍る私。
受付の女性に渡されたなが~い問診票に「当院での出産を希望」かどうか選ぶ場所まである。「もうそんなこと選ぶのか」と、戸惑いながらも嬉しかったわたし。きっと顔はほくそ笑んでいたことでしょう。
内診を受けると、「うーん・・まだ小さいですね。胎嚢らしきものは見えますが、うーん。ふーむ・・」と手を動かしながら戸惑っているよう。
研修医のようにも見える20代前半くらい若い女医の先生だったので、「経験がまだないのか?きちんと見つけてくれ・・・」と先生の腕を疑う私。
内診が終わってから結果を聞くために診察室に呼ばれたのですが、今思えば先生の言葉をとても楽観的に解釈していた気がします。
こんなことを言われて、こんなことを思っていました。
①妊娠はしているようだが、まだ経過をみる必要がある。→ うん、やっぱり妊娠してるよね。(後半聞いてない)
②胎嚢のように見える小さい影が見えるが、この週数にしては、小さいと思う。→ 小さいこともあるよね。きっとこれから急成長する!(胎嚢だと疑っていない)
③成長が遅い場合もあるので、また2週間後に来てください。→次は心拍確認するぜ!(完全に拡大解釈)
その時はちょうど繁忙期の直後で、4カ月間は海外出張もなく仕事の都合がつけやすく、あと半年たつと夫の手術が入る可能性があり、それまでに安定期を抜けていたい・・そう考えると妊娠するには完璧なタイミングだったのです。
「両親に似て空気の読める子供やな!!」と夫婦で感心して喜んでいました。
ところが!!!
その3日後の朝、いつも通り出勤のため職場の最寄り駅に着いたところで、パンツの中が冷たい感じがして、嫌な予感が。遅刻気味だったのでさんざん迷った挙句、駅のトイレに並んでチェックすることに。
すると、やっぱり血がついている!!なんじゃこりゃ~~!!
すぐに病院に電話したところ、来てくださいと言われて、夫にも連絡。朝の込み合う駅で独りぼっちで悲しくて、流産か、、、と、この時点で泣きそうになっていました。
夫も急遽病院に来てくれて、結局、血液検査をしてホルモン値をみることに。結果まで一時間かかると言われたので、その間に二人で病院のカフェに行って、「なんでだろう、まあ、きっと大丈夫だよね。」なあんて話していましたのですが、先生の口からでた結果報告に衝撃。
「妊娠ホルモン値がとても低い、というかまったく検知されないレベルです。つまり、出血は『生理』ですね。」
前回見てくれた若い先生ではなく、今度は40代くらいのいかにも仕事できそうな、ワンレンの中谷美紀風のキビキビした女医の先生。
超淡々と説明されました。
「セイリデスネ、、?!」 しおこんぶ&夫、絶句。
「でも、陽性反応が出たんですけど、それが間違ってたってことですか?」
「どんな陽性でした?」
「こんなです」(写真をみせる)
「あ、ほら、これ薄いでしょ?妊娠するともっと濃い線がでます。今の妊娠検査薬は精度が高いから反応しちゃってこうなります。科学流産って呼んでます。医学的には「流産」にはカウントされないです。今の検査薬が質が良くなってきて早くても反応するので、こういう事例が増えてます。」
「・・・・!?!!!? でも、もう36日目で普段は25日とかで生理くるんですけど、結局何もなかったってことですか??」
「おそらく受精まではしたけどその後がうまくいかなかった、ということだと思います。だから今は妊娠してません。」
その後も色々とぐるぐるしていたと思いますが、バリキャリワンレン先生はどうも信用できそうな先生だし、その人からの「ニンシンシテマセン」がナイフのように突き刺さり、もう何も言えず、挙句、早く検査しすぎたことを叱られたような気持ちになり、ショックすぎて診察室を出てすぐ、夫に抱き着いて号泣する私。(一応、待合にいるほかの患者さんからは見えないところです・・)
「ドラマとかで男性の胸に顔を埋めて泣く女を見て本当にいるのかって思ってたけど、今の自分そうなってる・・・!」と心の片隅で1%くらい思いながら、あとの99%はカナシミの嵐。
後から思えば、
①生理開始日前後にしか検査薬をせず、その後は結果が変わることなんてないと思い、検査しなかったこと。
②一回目の若い女医の先生に、「胎嚢のようなものが見えます」って言われたことで妊娠した気になってしまった。
というこの2点がよろしくなかったと思います。
さて、病院で涙がおさまって、お会計に並んでいる時、会計に必要な書類を先生のところに忘れてきてしまったみたいで、バリキャリワンレン先生が走って書類を届けてくれました。
「はい、これ。」
ってその一言だけだったんだけど、私の目をまっすぐ見て、ただそれだけ言って、また走って戻っていきました。
その時の先生のまなざしが何かとても私に言いたいことがあるような表情だったので、その時は、「え、私めっちゃ悲しんでるんだけど、なんか一言!!」と思いましたが、
今思えば、先生もああいう結果を伝えるのは辛いことだし、気丈にふるまってたのかなぁ、と。
今は違うクリニックに通っているので、もう会えないのですが、その先生のまっすぐな強いまなざしを、たまに思い出すのです。