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ラオスでみた景色

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ラオス暮らしのなかで見たこと、感じたこと、考えたことなど。
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#東南アジア

旅のような暮らしのむずかしさ

わたしは日本で働いていた時、紀行ものを読むのが好きだった。 深夜特急・一号線を北上せよ(沢木耕太郎さん)にはじまり、ASIAN JAPANESE(小林紀晴さん)、ハノイ式生活(飯塚尚子さん)など…旅や現地での暮らしが「生」そのものとして書かれているものたち。会社での仕事に忙殺されるなかで、そういう本を読むことで、旅の疑似体験をしていたんだと思う。そして、生きる原動力にしていた。 東南アジアは、生のエネルギーをもらえるから好きだった。人の暮らしがありありとそこらじゅうに溢れ

ラオス生活で思う「ひとり」

ラオスの地方の街での暮らしは、ひとりなようで、ひとりじゃない。 そして、ひとりじゃないようで、ひとりである。 周りの現地の人たちは、私のことをとても助けてくれる。 水道管が壊れたらすぐに飛んできてくれる大家さん、ご飯に呼んでくれて日々あった事を聞いてくれる近所のママ、仕事がたまって慌てている時に一緒にお茶を飲んでほっと一息つかせてくれる同僚。 みんな、優しい。「ひとりの人を作りたがらない」ラオス人たちに何度も救われた。 でも、私はラオス人同士がしている雑談に基本は入れない

10時間の距離

私たちの環境はちょっと特殊だ。 東南アジアのある国に住んでいて、お互いの街まではバスで10時間かかる。 それも間に首都を挟んでしまっているから直通バスはなく、2日間かけないとたどり着けない。地方同士なので飛行機もない。 たぶん東京で出会っていたら、私たちの過ごし方はまったく違うものになっていただろう。 金曜日、仕事帰りに待ち合わせをして一週間の疲れをお互いねぎらいながら丸ビルの高層階かなんかでディナーをして、ちょっとお洒落なバーでお酒を飲んだりして、帰りがけにその週末に観