渋
長野電鉄を乗り継ぐ。「夜間瀬」という私の好きな文字が並ぶ駅を通り過ぎ、辺り一面には雪景色が広がる。
長野電鉄に乗り1時間ほどすると終点の湯田中に到着する。この時期の湯田中は凍てつくような寒さで別世界のような真っ白な街に変わる。
寒さが、渋温泉郷の湯気を際立たせる。
友人とここへ来た。私は友人だと思っていない友人だ。
彼女は私のことを友人だと思っているみたいだった。
ここで彼女と一週間半ほど一緒に過ごすこととなった。
私は、他人と仲良くなってみようと思い彼女と呑みに行ってみた。
私は酔うと饒舌になるため、自分のことをこれでもかというほどしゃべり倒した。
すると、同じ分彼女は私に秘密を打ち明けてくれた。
話していくたびに私は彼女と価値観や生き方が間反対だと思った。
彼女は感性で人生を生きていると感じた。そして私は知性で人生を生きていると。
私は彼女のような人間にはなれないとおもったし、なろうともおもわなかった。
彼女のことはそこまで嫌いではないが、真逆すぎる人生観や人生に嫌悪感を覚えた。
私が、他人に興味を抱かないことは正解だと思った。私は何も考えていないような人や感性を否定するような人を見るとショックを受けてしまう。
他人にいらぬ期待をかけて落胆する。
私のことはどうでもいい。私がこの旅で彼女と過ごして後に何と言われようとどうでもいいと思った。私はだからしゃべった。
しかし私はこの自分の人生を大切にしたい。私は一人の人を好きになりその人に恋をしたいし、きれいな景色があったらそれを感じて文字に書き留めたい。
おいしいお酒や食べ物があるのなら、それを楽しみたいし、一緒に飲みに行ったのならその人との時間を楽しみたい。他人なんてどうでもいい。
その飲み屋での出会いなど正直どうでもいいのだ。おそらく私はそういうのも合わないと思ったのだろう。
私は人に媚びるのが大嫌いだ。人とのつながりは大切だがそれを目的で他人に接触したりのみに誘ったりおごってもらおうとしたり。
人間の汚い部分がよく見える。欲深い。人間は欲深い。