Distance
それまでずっと、それが無くても普通に過ごせていた。
私には、必要のないものだと思っていた。
あなたにあったことがないのに
画面上の文字だけのやり取りだけなのに
こんなに毎日考えることが変わったのはなぜだろう。
今あなたが何を考えていて、
誰を思っていて
どんな風に過ごしているのか。
忙しなく過ぎていく日常の中で
空気のようにそう考える時間が自然と増えていった。
会ったこともないのに
こんなに興味を惹かれるのは
この感情は何というのだろうか。
ふと空を見上げた時に、
あなたも同じ空の下で
あなたと同じ空を見ていると思うと
喉の下のほうが息苦しく、
鎖骨の下のほうが温かくなるのは
何というのだろう。
そして同時に、
たまらなくあなたの存在が恋しくなるのは
何というのだろう。
画面上でしか見たことのないあなたの笑顔や、
目のしわ、疲れた顔、
全部全部他の誰にも見てほしくないと
苦しくなる。
あなたとわたしの間には、太平洋を超えなければ会えない距離がある
でもあなたと私の間には、それほどの心の距離はあるんでしょうか。
少なくとも私は、同じ場所で、同じ空を見ている気持ちです。
それはずっと必要ないと思って生きてきたのに、
唐突に私の中に現れて
私の日常の時間を支配していく。
私はあなたのことがたまらなく好きで
愛している。
この孤独な夜を、一緒に過ごしたい。
Nado