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⭐️2023年への抱負 おしんに学ぶ「生きる力」⭐️

「山道を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安いところへ引っ越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画ができる。
人の世を作ったのは神でもなければ鬼でもない。
矢張向こう三軒先両隣にちらちらする唯の人である。
唯の人が作った人の世が住みにくいからとて、 越す国はあるまい。
あれば人でなしの国に行くばかりだ。
人でなしの国は人の世よりも猶すみにくかろう。
越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みやすくせねばならぬ。
ここに詩人という転職が出来て、ここに画家という任命が下る」

皆さんご存じの通り、夏目漱石の「草枕」の書き出しです。
この1年を振り返ると、漱石の文章が身に染みています。
なぜなら、私の文章投稿は、私自身が充実し幸せいっぱいだから書いたのではなく、むしろ現実逃避であり、 悩む中でふと思い浮かんだ事柄を書いたというのが本音だからです。
私自身だけではく多くの方々が「生きずらさ」を感じているのではないかと考えています。 医師として診療する中でもコロナ流行や社会情勢などが原因で、世相が変わりつつあるのも体感しています。
患者さんを見ていても、数年前は羽振りの良い方々もおられましたが、今は確実に減りました。 正直、この1年間でどれだけ多くの患者さんが病気を機に生活保護に転じていったのかを思うとため息が出ます。
ニュースでも以前では考えられないような事件が起きたり、
身の回りでは人間関係での風通しの悪さによるトラブルが多発しています。

要は社会不安が増大しているのだと思います。

日本史を紐解くと、国難に陥った江戸時代、享保の改革、寛政の改革、天保の改革の三大改革が行われていますが、いづれも効果がでるのに最低でも5年間はかかっています。 今ある社会不安などの問題も、コロナや戦争が終わればよくなるというよりは、長期に渡り続くと覚悟を決めた方がよいと考えています。 そんな中、再度見直されるのが「おしん」にみられる「生きる力」ではないでしょうか。 おしんは、漱石がいうところの唯の人でしたが、その忍耐力やひたむきに生きる姿は、世界中の人たちが感銘を受けました。

当時の日本に比べたらはるかに物質的に豊かな時代を生きており、逆に心は貧しくなっているように感じないでしょうか。
「おしん」立派な日本の古典であり、私たちの魂の根っこに脈々と流れている精神のように思い、 つらいことがあったら、「おしん」の姿を思い出してゆこうと思っています。
困難こそ文化、能力、知恵が発揮されると信じてゆきたいですね。

多忙のため、もしかすると投稿回数は減るかもしれませんが、今後もなでしこを応援していただければ幸いです。 沢山のいいね、コメントありがとうございます。
皆様のご多幸を願っております。良い年末年始をお過ごしください。


画像:映画『おしん』予告編より
https://www.youtube.com/watch?v=l7ibuFNokQs


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