⭐️病者の祈り 治療と癒し⭐️
私はリハビリテーション科の医師ですが、最近の入院患者さんは80-90歳ですので、ほぼ2/3が認知機能障害をお持ちです。リハビリの療法士たちは、短期記憶障害との闘いで、覚えてほしい動作を、目の前でやって見せ、して見せ、を定着するまで繰り返し指導してゆきます。以前、認知症で短期記憶障害の患者様が退院の際、ほぼ毎日訪室していたにも関わらず、「先生は一度も診療してくださいませんでしたね」と言われてしまったという笑い話があります。
キリスト教者の詩ですが、私の好きな詩があります。ニューヨークリハビリテーション研究所の壁に書かれた一患者さんの詩です。すでにご存じの方も多いと思いますが、ご紹介させていただきます。
私は現在、リハビリテーション病棟の管理、退院支援などを行っていますが、もし自分が現役医師を引退したらしたいことがあります。それは、患者様との人格的な交流による癒しへの取り組みです。
リハビリをしても、治らない患者様も多くいらっしゃいます。病気は治療がいくら進歩してもなくならないのです。しかし、星野富弘さんの詩画に見られるように、病気を抱えながらより輝いて生きる方がいらっしゃるのです。現在多忙で困難ですが、じっくり傾聴しその人の人格と触れ合うことで病気そのものは治らなくてもある程度癒すことができるのではないか、と考えています。
高齢化とともに、どこかに不自由さを抱えながら長く生きてゆかなければならない時代が到来しています。弱さも受け入れながら、明るく輝いていきてゆくためのアドバイスができる、そんな医師になりたいと思っています。
http://www.chukai.ne.jp/~fungus/poem/byousya/index.html
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