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拙者、不出来な者で…インオクトーバア

十月のある日
鯖の水煮はぬるくてまずいので、フライパンで揚げ焼きにしてやることにした。
五百円の瓶ビールを奮発してやったので、そのくらいの手間は惜しまないのだ。
最近火事が多いのでキッチンで焦がさぬようにサバとタイマンを張っていたら、沸点に達してビックバンした鯖の断片がこちらに飛んできてて左目に直撃。
失明の原因が鯖であるのは情けなさすぎるためひどく焦ったが、眼球は免れたため不幸中の幸いである。
しばらくしてだんだん瞼が腫れてきたので、しばらくは川名のプリテイな奥二重を八王子シティに振りまけないことが誠に遺憾である。

十月のまたある日
「うわあ、なんだこれ、おっさんの匂いがするぜ。」
以前お試しでもらった香水をネットで購入してみたら、シンプルに違うやつを頼んでた。育毛剤の匂いがして、ただただ、最悪である。
届いたのが嬉しくてシャワーの後に振ってしまったのが甚だ悔やまれれる。今晩はイケオジと添い寝である。グンナイ。

十二月な気温の十月のある日
足に画鋲が刺さった。痛くないと思おうと思ったが、無理だった。気づいたら泣いていた。起きた。夢だった(がリアルでも泣いてた。)
痛みの正体はこむらがえりだった。やれやれだぜ。

昨日というかもう今日か
冷蔵庫を開けるたびに、「いや、お前はまだ舞える。気分じゃないからまた後でな」と言い聞かせていた牛乳の賞味期限が一ヶ月を回ったようだ。
すでに死亡していることには気づいていたが、今日こいつを弔ってやることにした。
洗面所に流すと、蛍光色の液体と、液体に溶けていたタンパク質が固体になったもの(だと思う)がごろっと出てきて、ボテッと音を立てて落ちた。

「牛乳の死後硬直だなぁ」と、思った感想は声に出た。

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