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【中型作品】神戸海洋博物館

 siliconです。この作品は前回紹介した「ケンミン坊や」と同じく「ケンミン食品」様からの依頼で組み上げたものです。



設計

 ここで問題です。正方形6つのなかに図のような直線を2本引いた時、赤矢印の先の角度は何度でしょう?

「線分」というべきかもしれない 

 この問題は私が中学受験で、小学4年生の時に出会った問題です。もちろん当時は解けませんでした。
 なぜ突然こんな算数の問題を出したかというと、今回の設計にはこの知識が生かされているからです。
 ちなみに解答は、下のように補助線を引いて三角形を作ると、角度が90°となる場所が見つかり、その場所を挟む2辺の長さが等しくなるので、直角二等辺三角形となるので45°と分かるというものです。

 

 今なら加法定理も使えますし、そもそも算数なので30°か45°か60°だろうとメタ読みすることも出来るのが悲しいですが、これをLEGOに生かすと次のように斜めに組むことが出来ます。

 
裏返すと3:4:5の直角三角形が出来ていると分かります。
3:4:5の直角三角形の内接円の半径は1

 そして今回、正8角形を横に伸ばしたような独特な建物の形を表現するためにこの45°を作れるパーツを利用することにしました。

では設計の細かい部分を見ていきましょう。

組みあがる様子

取材

 取材は6月15日に行きました。中には入らず、お隣の神戸ポートタワーに上って外装を確認し、一周回ってネットに情報のない裏側を見ることにしました。

実物
設計

 手前のコンテナや自販機は、描写するスペースが無かったのと取り除いた方がシンプルという理由で省略しています。上の柵を白いバーで再現しました。この窓の組み方については、現地で見たときから決まっていました。

 

角のガラス

実物
設計

この部分は土台の方に接続しています。

入口

設計

 入口は人がいない状態で撮影することが出来ませんでした。

歩道橋

実物
設計

 おそらくかつては神戸ポートタワーに繋がっていたのだと思いますが、今は途中で途切れています。途中に階段がありますが、そこまでは反映させずに歩道橋が始まる部分だけを再現しています。

裏のシャッター

実物
設計

 このシャッターに使われているパーツは外側に見える部分は横方向に模様が入っていますが内側には縦方向に入っており、パーツにの境目が模様のために分かりづらくなっています。結構気に入っている設計です。

階段

実物
 

 LEGOで階段を作る際には1x2ジャンパーと呼ばれる上面のポッチが一つになっているパーツを積み重ねることが多いですが、今回は横方向にして一部を土台に埋めることで隙間が出来ないようにしました。途中の踊り場は省きました。

実物
設計

 神戸「海洋」博物館ということで、建物の外周に2か所「錨」が展示されていて、ちょうどLEGOのパーツとしての錨と同じスケールで再現できそうだということで一か所錨を作りました。下の写真の右にある灰色の枠組みも外の展示を再現したものです。

 

屋根

実物
設計

 屋根は特に設計の中でこだわりました。大中小三つの白い屋根があります。またその下のサンドグリーンの屋根も、パーツを斜め45°にするなど地味にこだわった部分です。

全体像

実物
設計
神戸ポートタワーの屋上から撮影したケンミン食品本社

 土台を円形にすることで、どの方向から鑑賞しても違和感のないようにしました。

ボツ案

この四通り

 神戸海洋博物館は「屋根に迫力を持たせてほしい」という要望があり、右下に決まりました。左上が最初に提出したもので、右上は左上を単純にしたもの、左下は柵のパーツを使った作例があったので試してみたもののこの大きさでは曲線をうまく表現できなかったものです。

組み立て

土台

 神戸海洋博物館は構造が複雑なので中三が担当しました。最初の方は交代制で組み立てていましたね。階段部分は、段数が設計と合わないなどで45分ぐらいかかっていました。

 

 このあたりから設計を分割し複数人で同時に作業しています。

 

 屋根はあまりに構造が複雑になり、担当していた子が挫折したので、大屋根は私が組みました。小屋根、中屋根は中三の子が組みました。

完成!!

中屋根に若干広い穴があったので後で塞いでいます。

ケンミン坊や(右)と神戸海洋博物館(左)

並べるとこのようになります。

最後に

 神戸海洋博物館は土台のテクニック補強や斜め組み、バーを多用した屋根など初めての試みが多く、設計時間も長く気に入っています。

 ここまで読んでくれてありがとうございました。

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