私には真空管が要る@ヱビスシネマ~2022-3-29
アイ歌鑑賞42回目@ヱビスシネマデジタルサウンド&43回目ヱビスシネマ真空管サウンドの感想&ヱビスシネマさんの写真置き場。我ながらオーディオ誌的ポエムというか、怪文書になりましたのでこちらに分離して置いておきます。ヱビスシネマさんが気になっていて、今回機会が無かった方の参考にもなれば…なるかなあ…
※つらつらと感想を書いております。写真と本文は関係ありません状態…
※へっぽこ耳による超個人的感想です。生暖かく見てあげてください…
今回、ヱビスシネマさんへは日帰り強行スケジュールでしたが、行きは新幹線→特急こうのとり→路線バスで12時にはヱビスシネマさんに到着しました。帰りはバスだとほぼ不可能…でしたが、ヱビスシネマさんに送迎して頂き無理なく柏原駅を発つことが出来ました。バスの時間で迷っている方は、電話でヱビスシネマさんに相談されるといいかもしれません。
特急こうのとりさんが思いの外揺れて、ちょっとやられた状態で到着…しばらく周辺を散歩して気分を整えてからいざ入館。
到着してすぐ、オーナーさんの歓迎を受ける…有難うございます。そして真空管の音出しを見学できるとの事で、早速シアターへ移動。
洋楽の女性ボーカルものが流れる…成程、生々しさ、実在感、まろみのある音…高級オーディオ屋さんの視聴室で聴く、高級ピュアオーディオの音がする。真空管、という事前情報のせいかもしれないけど、確かに解像感パキパキではなくて、温かさのある音だなあと。これで観るアイ歌…如何に。
鑑賞前に、もう一つの大きな目的w、ヱビスシネマさん特製カレーをいただく。おいし~い♪ スパイシーさもあるけど、独特の甘みがグー! 玉ねぎの甘みかな? めっちゃまろやかで癖になる甘みでした。ガシマシネマさんといい、名劇場においしいカレーあり!
そしてアイ歌鑑賞42回目@ヱビスシネマ・デジタルサウンドバージョン。まずはオーナーさんによるシステム解説。メインスピーカーはBOSE。BOSEって非常にカラーが強いというか、良い感じで「ドンシャリ」というか、あまりピュアオーディオ的なイメージが無かったけど、今回息を呑むピュアな声を聴かせてくれました。
冒頭のオーケストラ劇伴や飛び交うSE、タイトルのジャン♪、家AI…これまで自分が劇場の特徴を感じてきたポイントは正直、超ハイレベルながら唯一無二、という感じではなかったのですが…サトミの台詞が聴こえた瞬間「え?!」と衝撃が。
これまで、どの劇場でも、アイ歌に限らずどの作品でも聴いた事の無いクリアな声。スクリーンの中から声が聞こえる、を超えてスクリーンの向こうに空間がある、空間があるけど余計な響きが無い、あまりにクリアで不思議な「台詞の聴こえ」に衝撃が走りました。
冒頭、サトミが「お母さんのスケジュールは?」とモニターに聞く場面。その「こっそり感」が、ものすごい。本当にすごい。声優さんの発声、抑揚、息、僅かなノイズや揺らぎ…それら全てを再生した結果…なのだろうか。この時点で、遠征した価値があったと確信。
物語が進むと、ヱビスシネマさん独特の調整が光りだす。
・ユー・ニード~の天井スピーカーの盛り上がりが最高。伴奏は抑えることろは抑え、上げるところは上げる、メリハリが素晴らしい
・暴れロボの重低音は控え目だけど、その後の放送ジャックの低音はバリバリ。
・柔道シーンは「バーン」みたいな音はそこまででもない…が足音ベースの低音が強い。初めて聴く調整。
オーナーさん、岩浪さんが表現したいであろう意図を汲む事に注力されたそう。
衝撃的なまでのクリアな声に心拍数が上がる勢いで鑑賞終了。ロビーにて休憩。
…ん? 何故か京アニ同人イベントのパンフレットが。って、たしかヱビスシネマさん「ユーフォ」の上映もしていたんですよね…こうなると「ユーフォ」の時に来なかったことを後悔してしまう…
となりには地元中学校の職場体験レポート。ヱビスシネマさんへの職場体験も載っていましたが「1番印象に残ったのは音響です」なんて感想があり…頼もしい中学生だなあw
これも見たかった…ツイッターでお見掛けして気になっていたシオンフィギュア。か~わいい♪ 売り物と全く遜色ないハイクオリティに感動。職人さん本当に凄いなあ。
↓この子大好きw
そして時間になりアイ歌鑑賞43回目@エビスシネマ真空管サウンドバージョン。オーナーさんのシステム解説(土屋太鳳さんの声からチューニングをスタート、それからその他の要素を組み立てる…!)と…なんと上映前のデモとして「リズと青い鳥」から「みぞれ覚醒の演奏シーン」の上映が!
オーボエの温かい音…フルートもだけど、楽器の音…息を吹き込んで、リードを震わせているからこの音が出ているんだ、というのが伝わる生々しさで「これはすごい」という感想しか出てこない…
気持ちが高まったままアイ歌上映スタート。冒頭ネット空間から明らかに温かさ、まろみを増したサウンドが。ステレオ上映(フロントLRでそれぞれ2ch)につきサラウンドの楽しさは無いものの…以下、当日のメモから転載
・デジタルで感じたクリアさがさらに加速。真空管だからか?完全無音の瞬間は無くて「スー」というノイズは感じられる…が、全ての息遣い、微かな声の揺らぎも逃さず再生しているかの様。ぼやけた感じの無い究極版…みたいな
・パキパキの定位ではない…が、屋上の雨音はちゃんとスクリーン左右に大きく広がる
・マユミとリョーコの声質の差がものすごくはっきりと表現されている
・震えるほどの重低音ではないけど、芯のある低音。シオンの非常停止時の装置の重さはしっかり表現
・シオンの歌…キャパ50人位のライブハウスで、生で聴いているかの様な。でもリアリティだけでなく、映画的なケレンも残っている。歌いだしの美しさ…岩浪さんのトークショーの通り、ダイナミックレンジと倍音をしっかりと活かした調整、ということなのか…
・歌いだしの繊細さに加え、伸びやかな歌声の表現も凄まじい。さー「あ~」手をつなーごー「お~」の真っ直ぐさ、声が形になってぶつかってくるかの様。Umbrellaの「ずっと見つめていたの」の「ずっと」が美しく沈み込む
・柔道シーンは「バーン」というSEに重きを置くか、ビッグバンドの華やかさに重きを置くかという調整を見てきたけど、今回は「歌」が明確に描かれていたように思う。初めてのバランス
・台詞で最も驚いたのは、明確な意思を持った発言は勿論の事、ぽろっと感情が漏れた、ボソッと言った台詞の生々しさ。「そういうとこ、ちっとも変ってない」「うまくいってよかったね」「昔からすごかったの」等々、これまで何回も聴いてきたのに、その感情がダイレクトに感じられる声に何度もはっとした
・You've Got~は、その伸びやかな歌声、歌い出し、クリアで美しいとしか言いようがない、最高峰のミュージカル体験だった…特にアヤとゴッちゃんinのパートで「3人で歌っている」感がこれまでで最も感じられた
・個人的に本作で最も好きな台詞のひとつ…You've Got~前のシオンの「サトミが好きだったこと サトミが素敵だなって思うこと」 これまで自分が聴いた中で最も美しく、優しく、温かい声で、泣きそうになった…大げさではなく、この台詞だけでも来た価値があった。この世界の美しいもの全てが結晶になったかのような、あまりにも透明で純粋な声だった…ああ、語彙力が…
・映像もまた素晴らしい。クリアで、色乗りも良く…音同様に言葉にし難いクリアさがあった。特に人肌が美しく、解像感も感じられてキャラクターの演技、特に目線の演技がよりはっきりと飛び込んできた。後にオーナーさんに伺ったところ、本来600インチ用のレーザープロジェクターを200インチスクリーンに投影しているので明るさ、色乗りに余裕があるからではとのお話。成程…
・鮮明な映像、あまりにクリアで純粋で繊細な台詞の表現、伸びやかな歌声…43回目の鑑賞にして、まるで初めて本作を観ているかのような錯覚に陥る
・サラウンドが無いし、クライマックスのオーケストラの圧もデジタルの方があるし、あくまで基本はデジタル版…初見の方にはお勧めし難い調整かもしれません…が、各「かも音」をハシゴしたであろうアイ歌民の方は必聴、絶対に必聴…ではないでしょうか
上映後はオーナーさんとお話をさせて頂きました。半ば混乱した状態でこの声のクリアさについて伺う…そもそもこの声は「クリア」という言葉だけで表現していいのか、という所から…オーナーさん曰く、やはり「倍音、余計な響きをなくす、自分の耳と計器を使った確認」が重要との事。さらに、オーナーさんのご厚意でコントロールルームの見学もさせて頂きました。
マッキントッシュ…確かにイイ感じのAV屋さんに行けば売ってはいるけど、冷やかしで視聴するようなものではないし、ましてこれで映画を観る事は非常に稀な事ではないかなあ。成程、こんな体験ができるのか…
という訳で、片道4時間半、アイ歌を2回観て即帰還というなかなかのエクストリーム鑑賞となりましたが、非常に意義深い体験となりました。
・勿論、ドルビーアトモスやドルビーシネマは本当に素晴らしい…、が、所謂「街の映画館」でも十分に対抗しうる、ある意味凌駕する事ができるのだ、と示されている。本当に凄い…
・岩浪さんが繰り返しおっしゃている「映写技師さんの重要性」、ヱビスシネマさんはその究極ともいえるケースなのでは
・上映作品のリクエストノートがあったので、自分は「たまこラブストーリー」をお願いしました。この繊細な音響でたまこの言葉を聴きたい…
・シオンの歌声、「サトミが好きだったこと サトミが素敵だなって思うこと」がまた聴きたい。リバイバル上映があったら、迷うことなくまた行くと思う。ヱビスシネマさん、どうか…!(ちらっ
ここまでご覧いただいた方、ありがとうございました。