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かがみの孤城上映会@館林三の丸芸術ホール・原監督トークメモ
2023年8月19日、原監督の出身地である館林で行われた「かがみの孤城」凱旋上映会に参加しました。いつもはメモした内容をまとめてツイッター(エックス?!)に備忘録として載せているのですが、今回はこちらにメモします。
会場で書いたメモは、自分でもギリギリ解読できる位のヨレヨレ文字につき、今回記載した内容には細かいニュアンスの違い等があるかもしれませんが、どうかお許しください。また「かがみの孤城」本編のネタバレも含みます。
館林駅、初上陸~会場の様子
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原監督トーク・地元話編
さて、上映後の原監督トークです。当初は「上映後休憩なし、30分間を予定」だったのですが…
上映後アナウンス「原監督のご厚意により、熱く語って頂くことになりましたので、これから15分の休憩となります」
いやあ、こういう場では脱線せずにオンタイムなトークになるかと思いきや、流石の原監督です。館林の終電チャレンジは厳しいものがありますが、どんとこいです!
結果的にトークは30分予定が50分弱になりました。
まずはご挨拶。映画館の無い館林ではこれが初の孤城上映。お気持ちは、の問いに原監督「遅いよ~もっと早く呼んでよ~w」で場内も笑い。そして地元トークへ。
・館林に特段の思い入れは無いw(これも場内笑い)
・でも故郷に錦を飾る、(地元の方に)喜んでもらえるのは良い事
・隣の多々良駅のそばに実家が。電車1本で東京に行けるのが救いだった
・多々良駅前は、昔は「街」だった。今は駅は当時と変わらないが、商店はほぼ全滅してしまった。ご時世かなあ、と。
原監督トーク・オーディション編
地元話の次は、この場に集まった子供達と大人達へのメッセージでしたが、先にその後に話題になったオーディションについてのトークを。
・オーディションは100人位の音源をプロデューサーと聴いて、20数人(実際に)オーディションした
・その時点で選び抜かれた、若手の強者ぞろいで(決めるのは)悩んだ
・當真あみさんはうますぎない事、中学1年生感が良かった
・アキ役の吉柳さんもオーディション組。とてもうまかったので、一番つらい過去のあるアキ役をやってもらった
・東条さん役の池端さんもオーディション組。やっぱりうまかったので採用したかった
・フウカ役の横溝さんは、ドラマで注目していて(監督が自分で)リクエストした
前回の目黒シネマさんでも真田さん役の吉村さんが、実際はこころのオーディションで来てもらっていたという話がありましたが…配役の妙というか、適材適所というか、すごいなあ…と改めて思いました。ちなみに、吉村さんには「悪役でごめんなさい」と話したそうですが、マネージャーさんからは「役者として成長する為には大切な役」と感謝された、ともおっしゃってました。
この場に集まった子供達と大人達へ
さて、和やかな雰囲気の中行われた初めの地元トークの後、原監督は「ここからはシリアスな話になります」とトーンを変えて、次の話をして下さいました。
「514人」
これが何の数字か分かりますか?昨年1年間で自ら命を絶った小、中、高校生の人数です。1980年から統計を取って、最多だそうです。この会場は約500席。この会場に入りきらない人数です。
理由を見ると「学業不振」「進路」…嘘つけ、ふざけるなよ、と。ほぼいじめだろうと。そうじゃないと死なない。でも、子供達は親にも言えない。自分もこころの気持ちがわかる。
親も、学校に行くのが当たり前だと思っている、行けないのは心が弱いからだ、と。卑劣ないじめで心が壊れるなら学校なんて行かなくていい、と言おう。
学校に行かなくてもちゃんと大人になる。何か好きな事を見つけて、一生懸命、真剣に学べば、つまらないいじめをやっている奴よりずっと立派な大人になれる。
みんながヒーローになれる訳ではないけど、そういう人に寄り添ったりはできる。
「自分が消えれば解決する」と思ってしまった514人がいた。
逃げ道は少ないとは思うけど、親が頼りにならないかもしれないけど、同じような経験をした人が、助けたいと思っている人がいる。そういう事を信じられるくらいの環境をつくりましょう、館林の皆さん。 (場内拍手)
本作では学校を悪に描いた。でも今先生も大変で疲れ切っている。真面目な先生ほど心や体をやられてしまう。だったら、例えばフリースクールがちゃんと手伝えるようにできれば。
これは僕ら全員の問題。命を救うのは難しいが、ちょっとしたふれ合いが救う事もある。
学校は行かなきゃいけない場所じゃない。真田なんかより良い将来が待っていると思いたい。10代は大切な期間。つまらないいじめで行けないのはひどい事。
「夢は叶う」というのは無責任で好きではないけど「諦めなかった誰かの夢」は必ず叶う。自分も東京に出たら絵の上手い人間がいっぱいいて(でも諦めずに)演出の方向に進んだ、だから今の自分がある。
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トークの後には、地元のフリースクールの方から花束の贈呈がありました。
目黒シネマや丸の内ピカデリーでは聞いた事の無い、語気を強めた原監督からのメッセージ。自分もずっと本作がもっともっと広まって欲しいと願ってはいますが、今日のお話を聞いてその想いはより強くなるばかりです。
アキの「ウレシノの時代になってもいるんだね」は、本作でも大切な台詞の一つだと思っています。改めて「最多」の人数を聞くと言葉を失います。今はほぼ「ウレシノの時代」。少子化で明らかに子供の総数は少なくなっているはずなのに…(だから余計に学校内に逃げ場がない?)
自分が思うのは、まずは映画に(特にアニメに)希望を語ってもらいたい、という事。鋭く社会問題に切り込んで暗澹たる現状を憂う作品も意義はあるのかもしれないけど、間違っても人を追い込んだりはしないで欲しい。
「そんな奇跡は、ちゃんと起きた」は、自分にとって大切な言葉。現実の世の中では奇跡は起きないかもしれないけど、でも物語の中での奇跡を自分の事として追体験はできる。
自分は普段何も考えずにぽけーっと生きているダメな人間ではありますが…もし自分の居場所について悩んでいる若い方がいたら、アニメでも漫画でもゲームでも音楽でも、何かひとつでも好きなものを見つければそれでOK、と言いたいです。
こころとは色々違うけど、自分にもまあ人生暗黒期はあった訳で…その時に出会ったアニメ、漫画は今でも大切な宝物になっています。新しい作品に出会いたい、あの続編を観たい、あの監督の新作を観たい…その為には悩みがあろうが、どんな災害が来ようが、理不尽な運命があろうが、何としても生き延びてやる、なんて思ってますが…それでいいのではと思う訳です。
勝手な想像ですが、きっと原作の辻村深月さんもそんな事を思っているのではないかな、なんて思ったり。本作では「テレビゲーム」が非常に肯定的に描かれていますし「異世界ファンタジー」なんて言葉も新しい世代の作家っぽさが感じられて個人的に好きな台詞です。
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という訳で、非常に意義深い鑑賞となった28回目の孤城鑑賞でした。
普段は一応ネタバレに配慮というか、本当に自分の備忘録程度のメモ目的というか、そんな感じで書いてはいるのですが、今回の話はやっぱりできるだけ残しておきたいと思ったのです。できれば公式のレポートが上がって欲しいのですが…地元のニュースには載るのかな? 本作と今日の監督のお話が、できるだけ多くの方の目に留まって欲しいと切に願います。
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ここまで(自分の拙い怪文書含めて)読んでいただいた方、ありがとうございました!