第22回アクサブレイブカップブラインドサッカー日本選手権予選ラウンド 松本山雅B.F.C. 第1戦レビュー
自分自身の考えの整理にもなるかな、と思いnoteを活用して日本選手権でのゲームの振り返りをしていこうと思います。
またfree bird mejirodaiのことを様々な角度からより多くの人に知っていただくことで、選手たちの活躍に新たな視点で注目いただけるのでは?と思った次第です。
2016年9月に立ち上げた当初よりチームの監督として8年間、選手とともに戦ってきました。
その間、アクサブレイブカップ日本選手権優勝2回、KPMGクラブチーム選手権優勝1回、LIGA.i優勝1回と国内でも実績のあるクラブに成長してきたと思います。
ただ、これらの結果の裏には多くの負けが存在していることも忘れていません。
私たちの成長を加速させたのは「2019年の日本選手権決勝」です。1-7の敗戦で、埼玉T.Wingsの胴上げを目の前で見ていました。
間違いなくあの負けがあったからこそ、自分たちを突き動かしてくれている気がしています。
負けに不思議の負けなし。
野村克也氏が遺した言葉です。
私にとっての教訓でもあり、勝負における大切な柱になる言葉です。
負けることは大嫌いです。ですが、負けが成長を促す大切な肥料にもなります。
さて、前置きが長くなりました。
ここからが予選ラウンドマッチレビューです。
【2024年11月2日(土) vs 松本山雅B.F.C.】
結果:0-0△
得点者:なし
fbmスタメン:泉健也(GK)、鳥居健人(FIXO)、園部優月(左ALA)、島谷花菜(右ALA)、北郷宗大(PIVO)
《システム・フォーメーション》
保持時:ダイヤ型システム
非保持時:1-1-1-2(Y字型フォーメーション)
《チーム戦略&戦術》
@保持時
①左ALAを起点に攻撃のオープニング
②両ALA→PIVOの連携
③右サイドからの攻撃のオープニング
④GK→PIVOのダイレクト攻撃
@非保持時(プランA)
①平林選手の自由を奪う(オールコートマンツーマン)
②守備の3ラインの役割の明確化
1stライン:平林選手の縦突破阻止
2ndライン:PIVOの背後のスペースの管理に/ヘソへの進入阻止
3rdライン:2ndラインのコントロール/ハイラインを基本に守備組織のエリアの空間を狭く(互いの距離は3mが基本)
@非保持時(プランB)
①フォーメーションはダイヤ型
・右ALAが平林選手をマーク
・オールコートマンツーマン(縦の関係で平林選手を受け渡すのはOK)
②平林選手以外のボール保持者には素早くプレッシング
③1stラインと2ndラインに入る3人でボールを奪い切る(ミドルゾーンで奪ってカウンターを狙う)
《戦況と反省》
●1stハーフ
@保持時
・終始、ボールを握り続ける展開。
・園部のカットイン→右足シュートが最も確度の高いプレー。
@非保持時
・戦前の予想に反して、松本は自陣に籠って攻撃をしてこない戦術。
・被枠内シュートは平林選手による、単独カウンター攻撃の1本のみ。
●2ndハーフ
@保持時
・1stハーフは左ALAを起点に展開する割合が多く、攻撃パターンに偏りがあったため修正。
・両ALAによるパス交換、右ALAの島谷から縦横斜めの3方向に展開する攻撃が加わり主導権を離すことなく攻撃し続けた。
・1stハーフ同様、左ALAからファイナルエリアに進入してフィニッシュワークに入る展開で得点を狙う。
・PIVOにボールが収まらず、厚みのある攻撃にならず、サイドからカットインの攻撃に偏る。
・最後まで得点を奪えず試合終了の笛。
@非保持時
・メンバーも変えずに、対応もチームの戦略&戦術にも変更なし。
・1試合通して平林選手による、推進力のあるドリブルからシュートという世界でも通用する型を発生させることはなかった(松本はボールを持つことを嫌う戦術を1試合継続してきた)。
●反省
・2戦のプランでは、初戦の勝利が必須事項と踏んでいた中で手痛い引き分けとなった。
・2戦目はfbmが思考するトータル・フットボールの体現を捨てて戦うことも視野にプランニングをしていた。
・左からの崩しの回数が圧倒的に増え、PIVOの北郷を活かす(活きる)展開に修正することが最後までできなかった。
・島谷が試合に適応し、攻守ともにアクセントになっていたところは我々にとって唯一のポジティブ要素。
・「いつか出てくるだろう」と構えていたが、最後まで平林選手は攻撃的な振る舞いをすることがなかった(松本の意思統一が出来ており、GKスローも味方のいないエリアへスローする徹底ぶりだった)。
・鳥居が得意な型での攻撃シーンを1試合通して作ることが出来ず、結果的にチームの攻撃が単調になり、時間だけが経過していく展開にしてしまった。
→拮抗した試合で常に決定的な仕事をしてきた鳥居を1stハーフ、2ndハーフの終盤で島谷や園部とポジションを入れ替えたがタイムアップ(試合終了間際の左からのカットインでファーポスト脇を抜けたシュートがこの試合唯一得点の匂いのするシュートだった)。
《まとめ》
「負けなかったこと」をポジティブに捉えて、次戦に向かう準備をすることに切り替えたかったですが、試合後から会場を後にするまでは、なかなかそういう気持ちになれなかったのが正直なところです。
解散前のMTGでは、自分にも語りかける気持ちを込めて「引き分けの振る舞い」について話をしました。
これは私が愛読する唯一のサッカー漫画『ジャイアントキリング』の達海監督の言葉から取ったものです。
「引き分けの時って、チームの状態がよく分かるんだ」というフレーズから始まるシーンで、引き分けた時の選手たちがどんな表情をしているか、そして大切なのはその表情が「同じ温度感」の表情であることが重要であることを達海監督は説いています。
正直に言えば、私たちのチームがこの日、引き分けた後に見せた表情やMTGまでの表情を観察するに、決して「同じ温度感」とは言えませんでした。
指導者としての力不足を感じるとともに、このチームの真の力は明日の試合で確かめることが出来る、と感じました。
チャンピオンチームとしての誇りを示し、「トータル・フットボールの体現」を目指すことが次のゲームの目標に決まりました。
次の試合は、この試合で攻撃のタクトを振っていた園部がいません。
勝ち筋を見出して、最適解をチームに示すことが、監督の務めです。
選手たちはプランを信じて、仲間を信じて、チームのために戦う。走る。
私たちはボールを動かして、ボールを大切にして、ボールを常に持つこと。攻撃的な姿勢を取り続けること。そして、ブラインドサッカーを楽しいと思ってもらうこと。ワクワクしてもらうこと。
次の投稿は第2戦のレビューです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?