サッカーにおけるシステム(4-3-3 (1ボランチ))について
みなさんこんにちわ!
今回は『サッカーにおけるシステム(4-3-3 1ボランチ)について』というお話です。
サッカーをテレビやネット配信で観ていると
解説の方が「システムを変えた方がいいですね」とか「システムがはまってますね!」とか、よく聞くけど素人目には、ちょっとむずかしい。。
というわけで、今回もシステムについて整理してみようかと思います。
今回の4-3-3システム(1ボランチ)は次の図の様なシステムのお話です。
前回の4-5-1(2ボランチ)と比べると、
・ボランチが2人から6番の1人に
・トップ下のミッドフィルダー(MF)が1人から7、8番の2人に
・サイドの9、10番がミッドフィルダー(MF)からフォワード(FW)扱いに
なったシステムと言えます。
また4-3-3システム(1ボランチ)の9、10番をミッドフィルダー(MF)とみると、
4-5-1(1ボランチ)とも言えるようなシステムです。
このシステムで僕が真っ先に思い浮かべるチームはクロップ監督のリバプールですね。
1ボランチの重要なポジションを今シーズンは遠藤航選手がつとめています。
そんな4-3-3システム(1ボランチ)のメリット、デメリットをみてみましょう。
人の配置からみてお気づきだと思いますが、4-3-3は前重心のシステムです。
守備時のメリットとしては、
(1)人が前線にいるので高い位置からプレスをかけやすい
高い位置でプレスしてボールを奪えればショートカウンターをかけやすいですよね。
ショートカウンターというのは、ゴールまでの距離が短いカウンターの事を言います。敵の陣地内でボールをカットして手間をかけずに数秒でゴールに迫るカウンターです。
そんな前線からのハイプレスにメリットがあるシステムです。
(2)そのため敵のサイドバックが高い位置を取れない様に押し込める
そうすると、うまくハイプレスで敵を自陣側に押し込めた状態にできれば、敵はなかなか攻めに出ることはできなくなりますし、さらにサイドバックが上がっての厚みのある攻撃を仕掛けられなくなります。その分守備の負担を軽減できるんです。
(3)そのためセンターバック(CB)と守備的MFで連携して守りやすい
さらにサイドバックがあがって来れない状況が作れると、単純に敵の攻撃枚数が減るのと、サイド攻撃が減るため、センターバック(CB)、守備的MFの連携で守りやすくなるってところです。
まさにリバプールはこの守備の利点を活かすために前線からのハイプレス。守備の網を掻い潜られても遠藤航とオランダ代表ファン・ダイク、フランス代表コナテなどの連携した守備で敵の攻撃を防いでいるんですよね。
4-3-3システム(1ボランンチ)のデメリットですが、
当然と言えば、当然ですが横3人でサッカーコートの横幅を守るのは無理なので、
敵にハイプレスを掻い潜られた場合、スペースが空いているので敵に攻め込まれやすくなってしまいます。
なので、大体引いて守備守備する時は、4-1-4-1という人の配置に変形して守備をするチームが多いです。
4-1-4-1はこんな人の配置です。
ディフェンダー(DF)が4人は変わりませんが、ボランチの1人を挟んで、その前にミッドフィルダー(MF)が4人並ぶ守備陣形です。サイドのフォワード(FW)(青の9、10番)が下がるだけで陣形が整えられるため、今回の4-3-3システム(1ボランチ)を使うチームの守備時によく使われています。
ですが、この4人-1人-4人-1人の配置は弱点があります。
(1)4-1-4-1で守る場合は、ボランチの脇が弱点
下の図をみるとディフェンダー(DF)の前のボランチ1人の横にスペースがあるがわかると思います。ここのスペースはよく狙われる部分なんです。
ここを敵に使われて、崩されてしまうパターンが多いんです。
崩し方の例をだすと、
敵が白の4-5-1システム(2ボランチ)の場合、
システム的に次の図の様な噛み合わせになります。
お互いディフェンダー(DF)が1枚あまる感じになるんですが、
通常上の図の様に守備時は青の6番が敵のトップ下白の10番をみることになります。
試合ではマークを外すために白の10番がどちらかのサイドに移動し、青の6番が引っ張られることがあります。
そうすると、ペナルティエリア前の『バイタルエリア』と呼ばれる得点につながりやすいエリアが空くんです。図の黄色の斜線部分のことです。
そのエリアに、サイドのミッドフィルダー(MF)白の9番が代わりにスルスルっと入ってきて、ボールを受ける。
その後白の9番がフォワード(FW)へスルーパス。もしくは、シュート。これは良くあるパターンです。
だったら、青の6番はマークについていかなければいいじゃん!と思いますが、
白の10番に前を向かれてフリーでボールを持たれてしまうと、ここで攻撃の起点をつくられてしまうんです。こういう動きをドルトムント時代の香川選手はよくやっていました。
(2) 当然1トップのFWの背後も弱点になる
ここは結局どのシステムでも弱点にはなっちゃうんですが、お馴染みのフォワード(FW)の背後のスペースです。ここはちょうど敵のボランチに使われると、どんどん崩されていくところです。でもこの弱点は、フォワード(FW)とミッドフィルダー(MF)の連携で防ぐことができます。
この様に4人-1人-4人-1人の配置にも少し弱点があるので、いっそ守備の時はさらにキュと集まって4-4-2、4-5-1システム(5人をフラットに並べる)にしちゃおう!ってチームもあったりします。その分サイドの三笘選手とか伊東純也選手とかにあたるポジションに負荷がかかりまくりなんですが、世界のトップリーグとかは普通にこの守備対応を求めてくる傾向にあります。
(3) さらに4-4-2に変形して守る場合は、サイドの選手(青の9、10番)に負担増
ちょっと話してしまいましたが、サイドの選手(青の9、10番)が大幅に戻らないといけないため負担が大きいというデメリットが出てしまいます。なので、4人-1人-4人-1人の配置が生まれてるわけですけど、使っているチームは結構いますね。サイドに身体能力に優れたディフェンスができる選手が選ばれるのもその流れです。
4-3-3システム(1ボランチ)は攻撃的な優秀な選手がいるチームにはメチャクチャあるシステムです。攻撃のためのシステムと言っても過言ではないのが、この4-3-3システム(1ボランチ)です。
メリットは、
(1)サッカーコートを広く使える。横幅を使いやすい
フォワード(FW)が3枚いるんですが、両サイドのフォワード(FW)がタッチライン際まで開いているとすると、横幅約68mが使えるので素早いサイドチェンジをくりかえすとこうなります。
敵(白)の4-4-2システムの守備に対し、青の9、10番は両サイドギリギリまで開く。
攻撃側は左サイド青の9番に展開。
白は守備陣形をボールのあるサイドに移動。コンパクトに保つため、逆サイドは空ける。
攻撃側(青)は敵の守備陣形が整っていてコンパクトなので、攻撃をやり直す。
攻撃側は右サイド青の10番に展開。
敵(白)もそれに合わせる様に逆サイドへ移動。コンパクトに保つため、青の9番がサイドに開いていても離しておく。
攻撃側(青)は敵の守備陣形が整っていてコンパクトなので、再度攻撃をやり直し。
攻撃側は左サイド青の9番に展開。
これを速く正確に実施していると、真ん中とサイドのディフェンダー(DF)で距離が空いてくる。(次の図の白2、3番)
この空いたハーフレーン(ハーフスペース、ニアゾーン、ポケットとも呼ばれています)を使って攻撃を仕掛ける。
(2)パスをまわしやすい
4-3-3システム(1ボランチ)の人の配置は、人が互い違いに立ち位置を取るので、
角度が作れパスがまわしやすいというメリットがあります。
(3)フォワード(FW)の攻撃力を活かしやすい
あとは守備のメリットでお話しした通り、前線からのハイプレスをかけやすいので、
ショートカウンターをしやすいというのもあります。
4-5-1システム(2ボランチ)から1ボランチにしただけでこれだけの攻撃的メリットがあるのは驚きですよね。ですが、これは3トップが敵チームより優れている事が大前提なんです。
リバプールで言えば、サラー、ヌネス、ディアス選手の3人はスピードもテクニックも走力もあり他チームと比べても優れているのがわかると思います。
この優位性がないチームが4-3-3システム(1ボランチ)を使うと、返り討ちに遭う危険があるんです。
攻撃時のデメリットは特にないですね。
強いて言えばもっと攻撃的にボールを回すには、ディフェンス(DF)は3枚がいいという僕個人の意見です。
ここの話は次回のシステム説明でもお話ししたいと思います。
今回の4-3-3システム(1ボランチ)は攻撃的メリットがあるシステムでした。これは前回の4-5-1システム(2ボランチ)の発展系と言えると思います。
というのは、最も使われている4-5-1システム(2ボランチ)のチームが対戦するとこうなります。
ボランチとトップ下の三角形が逆になるんです。
上の図の攻撃側を青とすると、攻撃側としては後ろに1人を余らしておくのは非常にもったい無い。なので、ボランチの1人をトップ下とかにあげてボールを回しやすくする。
そしたら、攻撃的メリットがあるから『システム(初期配置)は4-3-3システム(1ボランチ)にしよう』って流れでこのシステムのチームが現れたんだと思います。
4-5-1システム(2ボランチ)の攻撃時の人数余りを改善したのが、4-3-3システム(1ボランチ)ですね。
■PS
いまのサッカーは各システムの攻略法がかなり整理されてきていて、
相手の立ち位置やシステムを感じながらピッチの選手たちはシステム変更しています。
これは一昔前まではなかったことですが、
今や海外の一流のチームではあたりまえとなっています。
日本代表もその領域に入りつつありますよね。
だからこそ、サッカー選手を目指す人、コーチをする人は必要な知識といえます。
そういうことで、また他のシステムの整理もしてみようかと思います。
では、また!!
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