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サッカーにおけるシステム(3-4-3 (2ボランチ))について

みなさんこんにちわ!

今回は『サッカーにおけるシステム(3-4-3 (2ボランチ))について』のお話です。
今回でシステムの話は4回目になりますが、初めてディフェンス(DF)を3人にしたシステムのお話です。

①3-4-3システム(2ボランチ)の誤解
②3-4-3システム(2ボランチ)の守備時のメリット
③3-4-3システム(2ボランチ)の守備時のデメリット
④3-4-3システム(2ボランチ)の攻撃時のメリット
⑤3-4-3システム(2ボランチ)の攻撃時のデメリット
⑥まとめ


①3-4-3システム(2ボランチ)の誤解

3-4-3システム(2ボランチ)というと、「ディフェンス(DF)が3人で4人より人が少ないので、攻撃的なシステムですよね?」と言われたりします。実際はチームの方針によって攻撃的にも守備的にもなるシステムです。

図1 3-4-3システム(2ボランチ)


上の図1が今回の基本的な3-4-3システム(2ボランチ)です。
※11番が下がって、9、10番を2トップ気味にする配置もあり

見てのとおりディフェンダー(DF)が3人ですが、
実際のところはセンターバッック(CB)のタイプの選手が1人増えています。

図2 3-4-3システム(2ボランチ)のセンターバックの数

さらにサイドバック(青の2、6番)はミッドフィルダー(MF)扱いになってますが、
守備の時は、ディフェンダーの一員として戻ってきて、5バックを形成するチームが多いです。
こんな感じですね。

図3 3-4-3システム(2ボランチ)の引いた時の守備


サイドバック(青の2、6番)をどう使えるかによって、
守備の枚数を5枚に増やした、後ろ重心の守備的システムになってしまうか、
攻撃を7人に増やした攻撃的システムになるのか変わってしまうか
が変わる繊細なシステムという印象です。


②3-4-3システム(2ボランチ)の守備時のメリット

(1)引いて守備した時に数的優位を生かした強いブロックをつくれる
基本的に守備時には、次の図のような5-4-1のディフェンス(DF)が5人、ミッドディルダー(MF)が4人の守備陣形を作って守るチームが多いです。
この5-4のブロックはゴール前のスペースがほとんどなく、
守備側が数的不利に陥ることもないので、敵はなかなか崩すのに苦労します。
強固な守備陣形をつくれるメリットがあります。

図4 5-4-1ブロックの陣形



③3-4-3システム(2ボランチ)の守備時のデメリット

(1)敵のボランチ、サイドバックがフリーになりやすい
どう敵のボランチやサイドバックをみるかがひとつポイントになってきます。
例えば、敵が4-5-1システム(2ボランチ)だと、
マークが図の様になります。

図5

敵のボランチのうちの1人、白の7番が浮いてしまうんです。
これは、3-4-3システム(2ボランチ)が守備時に5-4-1と後ろに人を余らせるシステムなので起こる現象です。青の5番と3番は余っちゃってますよね。

そしたら、サイドのミッドフィルダー(MF)がボランチをみればいいんじゃないかと
思われるかもしれません。ですが、こうなっちゃいます。

図6

青の10番がボランチの白の7番をみると、逆にサイドバックがフリーになっちゃいます。
敵のサイドバックが攻撃が不得意で、あえてボールを持たせるのであればいいかもしれませんが、こういったギャップから崩されてしまうんです。
3-4-3システム(2ボランチ)は高い位置からのプレスに問題を抱えるシステムなんです。

この問題、みなさんならどうしますか?
3-4-3システム(2ボランチ)は攻撃の恩恵が大きいんですが、守備が難しいシステムなんです。メリットで書いた自陣で引いた5-4-1は守備が安定するのでいいんですが、攻撃に転じにくいし、攻められ続けて守備の無限ループにおちいる場合が多い。
これでは3-4-3システム(2ボランチ)の攻撃的恩恵がうけられないんですよね。


この守備のデメリットを解消する方法として考えられるのが、次の2つです。
 【A1】マークをどんどん受け渡して、前から敵を捕まえていく
 【A2】自分が受け持つマークを決めてずっとマンツーマン

【A1】マークをどんどん受け渡して、前から敵を捕まえていく
→解消方法は‘積極的守備’です。
例えば、

青が守備、白がボールを持っている攻撃側として、
敵の白がボールを自陣に下げて攻撃をやり直そうとするよくある場面を考えてみましょうか。

最初に白の3番がフリーの白4番にバックパスします。

図7

さらに敵の白4番がパスコースがないので、一旦キーパーの1番にバックパス。
それに連動して、
青の11番は自分の白4番のマークを捨て、キーパーにプレッシャーに行きます。
白4番には青8番がずれてマークに行き、キーパーのパスコースを消していきます。

図8


そのあと、青7番が白6番にパスが入りそうなので、
敵の白の6番をマークし白7番をフリーにしまう。

図9

キーパーは空いた白7番へパス。

図10


その時青2番は自分の白9番のマークを捨て、前にずれて白7番のパスをカット。
青2番→青10番とボールが渡り、青10番がゴール。

図11


こんな感じで、自分のマークを捨てて前に出ていくことで問題を解決する方法です。
(実はこれ、ワールドカップのスペイン戦の堂安選手のゴールシーンに似た形です)
マークの受け渡し、上手くずれてカバーをしなくてはいけない。結構高度なチームワークが必要です。



それに「前から行ってかわされたら大ピンチじゃん」と思いますよね。

はい。。大ピンチになりますw

ですが、「自陣に引きこもって攻撃できないでピンチを迎えるよりいいよね」って考えです。もし自陣に押し込まれたら、守備のメリットである5-4-1を使えばいい訳です。

【A2】自分が受け持つマークを決めてずっとマンツーマン
→こちらも‘積極的守備’ですが、「なるべく複雑なマークの受け渡しはしたくないのでマンツーマンにしよう‼︎」という解決方法です。
これはある意味バスケットのオールコートマンツーマンを、サッカーコートでやるやり方です。【A1】より責任の所在が明確で、マークのお見合いもないのでわかりやすい点がメリットです。

図12

最近で言うと23-24シーズンのヨーロッパリーグで優勝したセリエA(イタリアのプロサッカーリーグ1部)のアタランタがこのマンツーマンの守備をしてリバプール、レバークーゼンに勝利しています。



解決方法【A1】【A2】はもしかしたら今後のトレンドになるかもしれませんがリスクもあります。両方とも後ろのディフェンダー(DF)への負荷が大きいのと、めちゃくちゃ走らないといけないデメリットがあります。


④3-4-3システム(2ボランチ)の攻撃時のメリット

(1)互い違いに立ち位置を取るので角度が作れ、元のポジションのままパスが回しやすい
青11番が少し下がって、青9、10番が上がった形をとると、後ろから3-2-3-2のようなポジションを取れます。これはパスコースが多くボールを回すのに適した陣形なんです。

図11


(2)また5トップの形にもなるためハーフレーンが使いやすくなる、崩しやすくなる
日本代表のドイツ戦の後半の戦いがこんな形でした。
青6番:三笘、青9番:南野、青11番:浅野、青10番:堂安、青2番:伊東の5トップで、南野が左のハーフレーンをチョロチョロしていましたよね。三笘選手の圧倒的な個人の力があって、サイドが高い位置を取れていました。こうなるとハーフレーンをうまく使える状況になるんです。これがこの攻撃的システムの最大のメリットですね。


⑤3-4-3システム(2ボランチ)の攻撃時のデメリット

うーん、攻撃時のデメリットはあまりないですね。
攻撃の陣形としては3-4-3システムは一番いいシステムだと個人的に思います。
あえてデメリットを言えば、元から攻撃時に近いの陣形をとっているので敵に対策をされやすいことでしょうか。流動的にポジションチェンジをしてマークを剥がす動きが必要です。
まあでも、これはどのシステムでも同じです。


⑥まとめ

3-4-3システム(2ボランチ)は、自陣に引いた守備の時は5-4の強固なブロックを作れるメリットがあるんですが、無限守備地獄におちいる可能性があるので、引かない時の守備をどうするのかが課題というお話をしました。
ここをクリアできると、攻撃的メリットが非常に大きいシステムなんです。
個人的には3-4-3システム(2ボランチ)は攻撃には一番いいシステムだと思ってます。
今のサッカー界は3-4-3システムの守備のデメリットをどう解決して攻撃に繋げるかという流れに入っている感じがしますね。

■PS
いまのサッカーは各システムの攻略法がかなり整理されてきていて、
相手の立ち位置やシステムを感じながらピッチの選手たちはシステム変更しています。
これは一昔前まではなかったことですが、
今や海外の一流のチームではあたりまえとなっています。
日本代表もその領域に入りつつありますよね。
だからこそ、サッカー選手を目指す人、コーチをする人は必要な知識といえます。
そういうことで、また他のシステムの整理もしてみようかと思います。

では、また!!

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