世間に転がる意味不明:共通システムがない生産性の悪さ(目の前に問題は転がっている)
■日本の生産性
昨年暮れの記事になる。日本商工会議所の発信である。
○日本の時間当たり生産性はOECD38カ国中27位(日本生産性本部「労働生産性の国際比較」)
2022年12月19日
公益財団法人日本生産性本部は12月19日、「労働生産性の国際比較2022」を公表した。OECDデータに基づく2021年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は49.9ドル(5006円/購買力平価換算)で、米国(85.0ドル/8534円)の6割弱に相当し、OECD加盟38カ国中27位。経済成長率が上向いたことで、労働生産性は実質ベースで前年から1.5%上昇したものの、順位で見るとは1970年以降で最も低い順位となった。
https://www.jcci.or.jp/news/trend-box/2022/1219154713.html#:~:text=OECDデータに基づく2021,38カ国中27位。
労働生産性の定義としては、
生産量(売上-諸経費)/労働量 (労働者数×労働時間)
といったところだろうか。
この水準が低いと言うことである。
なぜだろう。
■同じ成果を出すのに倍時間をかけている
私自身はISO9001の審査員をしている関係で比較的多くの中小企業の現場を見ている。
その中で感じているのは、業務効率の悪さだ。端的なところでは、電子化が進んでいないので、書類を紙媒体で作成して回覧しているケースだ。もっと不味いのは、同じ情報を生産管理と工程管理、営業部門と製造部門で別々に入力しているケースである。
しなくても良い作業をしているのであれば生産性が上がるはずもない。
当然投資という経営判断は必要であり、制約条件がつくにしても、しなくても良い作業を重複して行なっていれば当然生産性は下がる。
コマーシャルで「同じ情報を別々に入れるなんてあり得ない!!!」と叫んでいるのには理由がある。
■業務の標準化ができない硬直性
かつてSAPというERPパッケージがあった。SAPは言わずと知れた統合型ビジネス管理ツールである。初めてその名を聞いたのはすでに10年以上たっているだろう。欧米では当然のように利用の拡大が進んだが、日本では会社固有のビジネス慣行があり、カスタマイズが大変だったようだ。
当時は、それが当たり前だと思っていたのだが、こうして離れた位置にいるとまた別の感想がわいてくる。つまり、「自分たちの業務は特殊なのでパッケージが自分たちに合わせるべきだ」という発想は、無駄な投資を行なうことを良とすることになるということを理解していないのだと感じるようになった。様々なノウハウの集積である世界標準のパッケージであれば、それを活用するためのノウハウも蓄積されている。それを利用しないのであれば、生産性向上のチャンスを逃がすことになる。
■転職のたびに異なる業務システム
これはもう少し深刻な問題も引き起こす。
製造業であろうとサービス業であろうと、製品・サービスを提供するプロセスは会社独自の特徴はあるかもしれないが、それを管理する仕組みが統一されていないと、それを覚えるだけで大変である。
・いまだに紙で情報伝達をしている
・一部Excelを使うが部署毎に様式が異なる
・必要な情報が各部署に分散しているのでDBとして利用できない
などという状況に悩まされることはないだろうか。
これが、会社毎に違うとなるとそれを覚えるだけで大変だ。原価管理のシステム(情報ではない)が、会社毎に違うとなると、それを覚えるだけで大変だ。
これは何を意味しているのかと言えば
①中途採用者の立ち上がりの遅延
②異動のしにくさ
③結果としての人材の流動化の阻害
④生産性向上への阻害
であろう。
■DXは喫緊の課題になるだろう
生産性の悪いままで給料が上がるわけもない。報われない給料で働くほど人々がお人好しだと思わない方が良い。ライバル会社が変わるのにあなたの会社が変わらないのであれば、みな流出する恐れがある。
<閑話休題>