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ISO9001と経営:マイナンバーカードの責任の所在(5.1 リーダーシップ)

■なんだかなぁ

○マイナ、総点検中に… 河野氏が長期外遊、自民幹部も懸念
2023/7/12

 河野太郎デジタル相は11日、同日夜から北欧や中東を訪問すると発表した。河野氏はマイナンバーカードを巡るトラブルを受け省庁横断で設置した「総点検本部」のトップ。8月上旬の中間報告を控える中での10日間を超える長期外遊となり、自民党幹部が「懸念」を示す場面もあった。

https://mainichi.jp/articles/20230712/ddm/012/010/108000c

 巷で言う「ブラック企業」の部長を思い出す。
・部下には怒鳴りつけ
・計画性もなく無茶な仕事を押しつける
・自分は何もしない
・失敗は部下のせい、成功は自分の手柄
・上司には都合の良いことだけを言う

うーん・・・何だかなぁ。

■認識のギャップ

経営者が高圧的になると周辺は「イエスマン」で固められることになる。
イエスマンは不都合な事実はもってこないので経営者は現実を認識できなくなってくる。

○マイナカード自主返納 4~6月にかけ増加 制度への不信感多い
2023年7月13日

マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぐ中、カードを「自主返納」した人が、ことし4月から先月にかけて増えていたことが県庁所在地などの自治体への取材でわかりました。制度への不信感を理由に挙げる人も多く、自治体の中には、返納しても個人情報とのひも付けが残ることなど、説明を強化する動きも出ています。

マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぐ中、デジタル庁は、本人の希望によりカードを返納した件数が、発行開始から7年間の累計でおよそ47万件、このうち、先月1か月間ではおよそ2万件あったとしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230713/k10014127181000.html

こうした記事をかの大臣は読もうとしないのであろうし、裏付けデータもしっかり取らない。

○マイナカード返納は「微々たる数」、河野デジタル相
2023年7月8日

河野太郎デジタル相は8日、マイナンバーカードの自主返納が相次いでいる問題を巡り「返納が増えていると言う人がいるが、微々たる数だ」と述べた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA082AI0Y3A700C2000000/

そうして現場の混乱も自分のせいではないと言い張るのだろう。

○マイナフリーダイヤルでの「たらい回し」対応に河野デジタル相が陳謝
2023/7/11

マイナンバーカードや制度全般に関する政府の問い合わせ先の電話口でたらい回しにされ、手続きができない人がいることについて、河野太郎デジタル相は11日の閣議後の記者会見で「そうしたことがあったら、大変申し訳ない」と陳謝した。

 毎日新聞は情報提供窓口「つながる毎日新聞」に寄せられた投稿をもとに取材し、マイナンバー総合フリーダイヤルでたらい回しが生じていることを7日に報じていた。

https://mainichi.jp/articles/20230711/k00/00m/010/121000c

■ISO9001:2015におけるリーダーシップ。

規格本文には以下のように記載されている。

5 リーダーシップ
5.1 リーダーシップ及びコミットメント

5.1.1 一般
トップマネジメントは,次に示す事項によって,品質マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。

a) 品質マネジメントシステムの有効性に説明責任(accountability)を負う。
b) 品質マネジメントシステムに関する品質方針及び品質目標を確立し,それらが組織の状況及び戦略的な方向性と両立することを確実にする。
c) 組織の事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。
d) プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。
e) 品質マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。
f) 有効な品質マネジメント及び品質マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。
g) 品質マネジメントシステムがその意図した結果を達成することを確実にする。
h) 品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を積極的に参加させ,指揮し,支援する。
i) 改善を促進する。
j) その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を支援する。

注記
この規格で“事業”という場合,それは,組織が公的か私的か,営利か非営利かを問わず,組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。

5.1.2 顧客重視
トップマネジメントは,次の事項を確実にすることによって,顧客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。

a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確にし,理解し,一貫してそれを満たしている。
b) 製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る,リスク及び機会を決定し,取り組んでいる。
c) 顧客満足向上の重視が維持されている。

<ここまで>

規格で述べているのは、規格要求事項を組織として確実に実施させることで、トップマネジメントがリーダーシップを発揮していることを証明せよと言っているだけである。

では、どんな心構えが必要なのか。
それは、もう一つの規格、「品質マネジメントシステム-基本及び用語 JIS Q 9000:2015」の品質マネジメントの原則に以下のように記述されている。

2.3.2 リーダーシップ
2.3.2.1 説明
全ての階層のリーダーは,目的及び目指す方向を一致させ,人々が組織の品質目標の達成に積極的に参加している状況を作り出す。

2.3.2.2 根拠
目的及び目指す方向の一致並びに人々の積極的な参加によって,組織は,その目標の達成に向けて戦略,方針,プロセス及び資源を密接に関連付けることができる。

2.3.2.3 主な便益
あり得る主な便益を,次に示す。
-組織の品質目標を満たす上での有効性及び効率の向上
-組織内のプロセス間のより良い協調
-組織内の階層間及び機能間のコミュニケーションの改善
-望む結果を出せるような,組織及び人々の実現能力の開発及び向上

2.3.2.4 取り得る行動
取り得る行動を,次に示す。
-組織の使命,ビジョン,戦略,方針及びプロセスを組織全体に周知する。
-組織の全ての階層において,共通の価値基準,公正性及び倫理的模範を作り,持続させる。
-信頼及び誠実さの文化を確立する。
-品質に対する組織全体にわたるコミットメントを奨励する。
-全ての階層のリーダーが,組織の人々にとって模範となることを確実にする。
-人々に対し,説明責任(accountability)を意識して行動するために必要な,資源,教育・訓練及び権限を与える。
-人々の貢献を鼓舞し,奨励し,認める。

<ここまで>

ごく当たり前に感じることが記載されている。

■責任を取らないリーダー

「2.3.2.4 取り得る行動」に「信頼及び誠実さの文化を確立する。」とある。
何に対してとは記載がないが、自然に考えれば、組織の中も外も対象であろう。

・部下には怒鳴りつけ
・計画性もなく無茶な仕事を押しつける
・自分は何もしない
・失敗は部下のせい、成功は自分の手柄
・上司には都合の良いことだけを言う

こんな上司の下で信頼などは築けない。
リーダーシップの要は「起きたことの責任はリーダーが負う」であろう。
これができない上司はいつか部下から見放される。

今からでも良い。改心してはどうか。

<閑話休題>

注記:この記事では規格本文を引用しています。参考にされる方はできれば規格を購入してください。

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