人事部がないことが問題なのではない。人を扱うことを戦略的にできないことが問題だ
人事部がないことが問題なのではない。人を扱うことを戦略的にできないことが問題だ
【きっかけの記事】
https://hrzine.jp/article/detail/3840
「社外HR部長」サービス開始、中小・ベンチャーの人事施策を支援―新経営サービス 2022/01/19
と言う記事が目についた。この「新経営サービス」のホームページ(https://hr-buchou.chusho-keiei.jp/)を見ると冒頭に
とこのサービスの異議を唱えている。
【ISO9001】
経営資源としての人の重要性は、例えば品質マネジメントシステム(ISO9001)に下記の様に定義されている。
【人事部にまつわる認識】
こうした人に関わる管理を人材マネジメントといい、いわゆる人事部がこれを所管することが多い。とはいえ、統括的に人事部に一括管理が任されるようになったのは、近年のことのようで、その前の工場毎あるいは生産拠点が個別に管理されていた時代は、採用や教育、部門内配置は部門に任されていたようだ。
そうした、個別の人事管理では効率的でないと云うことなのだろうか、こうした人事機能を本社機能として集約して行くことになったと思われる。
したがった、人事システムも統合されることになるのだが、採用、教育、配置、評価、報酬などは部分最適になっており、DXの対象となっているのが近年の課題であろう。
【VUCAの時代に】
(https://media.bizmake.jp/column/about-vuca/)より
変動的であること、不確実であることや複雑で曖昧であることは今に始まったことでは無い。何が違うのかと云えば、変化の速度が速いと云うことだろうか。あるいは「それは突然始まったかと思うほど予見が難しい」という所だろうか。
従って、採用一つとっても、昨年までの状況をもとにした採用計画では不十分で有り、未来を予見した採用にしなければならない。
さて、これまでの人事部の組織能力でこれに対応できるだろうか?
【内製化するのかアウトソースするのか】
冒頭の記事は、中小企業でその組織化が難しいのであればアウトソースを促すための記事になる。そうしたビジネスモデルは、かつて「総務部」という会社が設立されたことを想起させる。
「総務部」というアウトソースが生き残っているのであれば「人事部」というアウトソースもビジネスチャンスはあるのだろう。
ただ、総務部というのが「作業的側面」が強く、社内調整機能以外の事務的なものはアウトソーシングしやすいのに対し、人事部は、採用手続きや給与計算、ハラスメントの対応窓口などはアウトソースできるものの、評価や配置、個人毎のキャリアプランの作成などは難しいのではないだろうか。人事部長がいればなんとナなるというものではないだろう。
【戦略的な対応できる組織にするために】
人事部門に求められることも、単に事務作業ではなく経営に資する活動を求められるようになってきている。経営上の意思決定に必要な人に関する情報の提供が必須になる。それは単に、個人毎の職歴や研修履歴、学歴や年齢などと云った型どおりの情報だけでなく、今までの仕事に対する成果や同僚からの評価、将来の志向性など、人中心のHRMデータを統合して管理する必要がある。
当然システム部門との調整、現場部門との情報交換、法務部との確認作業など多岐にわたる。そうした職務を遂行できる、人事スタッフの派遣事業なども将来性があるのではないかと感じる。
したがって、人事部に求められるのは、オペレーション能力ではない。戦略策定能力になる。人事部長の派遣で解決できることではないだろう。
<以上>