世間に転がる意味不明:パフォーマンス評価のない弊害(子供家庭庁の戦略)
政策評価の仕組みを確立しないとやりっぱなしの活動になる。
それは企業活動でも同じである。
企業にとっては意味の無い経費になりかねない。
■なにげなニュース
○多子世帯の大学授業料無償化 所得制限なし、25年度から―政府
2023年12月07日
政府は、3人以上の子どもがいる多子世帯を対象に、2025年度から子どもの大学授業料などを無償化する方針を固めた。所得制限は設けない。「異次元の少子化対策」の一つとして、月内に決定する「こども未来戦略」に盛り込む。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120700586&g=pol
○少子化対策強化へ 「こども未来戦略」素案まとまる 政府
2023年12月11日
岸田総理大臣は会議の中で「年末までに『こども未来戦略』をとりまとめたうえで、来年の通常国会に必要な法案を提出し、スピード感をもって実行に移していく。制度や施策の意義や、目指す姿を国民一人一人にわかりやすいメッセージで伝えるとともに、施策が社会や職場で活用され、社会全体で子どもや子育て世帯を応援する機運を高めていくことが必要だ」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231211/k10014284881000.html
いっていることは間違っていないと思う。
やっていることもピンと外れ感はあるものの間違ってはいないのだろう。
しかし、なんとなく問題がすり替えられている気がする。
「社会全体で子どもや子育て世帯を応援する機運を高めていくこと」が重要だと云うことは、現在は「社会全体で子どもや子育て世帯を応援する機運が低い」と言うことなのだろうか。機運は感情的なものであり、これがお金をばらまくことで改善されるとは思えない。
私の常識とは合わない。
■PDCAの本質
企業でのマネジメントの管理スキームにはPDCAがある。
これについては多くの誤解があり、Planは計画を立てるだけで良いと考えていることや、確実な成果を出すための手順が記載されていれば良いという考え方に固執している人々がいる。
PDCAのPは、前提として起業理念やそれに基づく戦略展開があり、求める結果を得るための仮説がベースとなる。したがって、何をどうすればどのような結果が得られるのかの文脈が表現されていなければならない。すなわち
①何を成果として得たいのか
②それはどのように計測されるのか
③そのための施策や活動は、結果に対してどう影響を及ぼすのか
④施策や活動がされたのかはどう計測されるのか
が必要である。この②と④の結果の数値の対比がパフォーマンスであり、これが無ければCheckもActionもできない。
こうした指標性は最初に設定すべきであり、活動後に指標を探すのは正しくない。
アベノミクスの成果が後付の指標(失業率)で語られるように結果の都合の良いものだけを集めてしまう恐れがある。
■戦略に評価指標がないことの弊害
先のこども「未来戦略」がどのようなものであるかは、パンフレットがありおおよその概要が分かる。
この中では
①若い世代の所得を増やす
②社会全体の構造や意識を変える
③すべてのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援
とある。
①については、おおよそ手当関係が主であり、収入増のための施策はないことはないが具体性はない。③についても「こども誰でも通園制度」とう現実を無視した言葉が並ぶ。
少子化対策というのであれば、評価指標は「出生率」あるいは「若者世代の人口比の増加」であろう。貧困対策としての所得増であれば、「若年層の低所得者数の減少」であろう。こうした指標性が全くないと、制作の評価はできない。
これは企業であっても同じである。
何かの活動が無目的で行われることはない。しかし、結果(目的)の計測性を無視すれば、結果の勝手な解釈を行ない、問題の解決は先送りされる。
(2023/12/12)