世間に転がる意味不明:先義後利を無視する人々が残したもの(損保ジャパン、白川社長とビッグモーター)
■先義後利
先義後利とは、中国の儒学・荀子に登場する『義を先にして利を後にする者は栄える』という一文から成る言葉です。 分かり易く説明すると、「利益よりも、まず人としての道義・義理を最優先にしていれば、利益は後から勝手についてくる」という意味です。
https://kenjins.jp/magazine/president/8739/#:~:text=先義後利とは、中国の儒学・荀子,についてくる」という意味です。
今から10年以上前に,経営の哲学を学んでいたときにであった言葉であり、この言葉を重視している。経営マネジメントであろうと事業マネジメントであろうと、ますはそれをなすべきかどうかの「義」があり、それを失うと「お金儲け」だけの活動になり、人を不幸にするからである。
「義」を後回しにして「金儲け」を優先すると、自分の利益は増えるが他の誰かの利益を奪うことになる。物事にはトレードオフがある。ISO9001での審査をしていると、この言葉の重要性を実感する子tがある。つまり、「品質」と「納期」、「生産コスト」は必ずトレードオフがある。「品質」よりも「納期」「コスト」を優先すれば,必ず「品質」にしわ寄せが行く。労働災害も「納期優先」が起因していることは、建築現場の事故などでも分かる。
工場に「納期より安全」と貼ってはどうですかと経営者に云うが、まともに取り上げてもらったことはない。
こうした哲学的な考え方は時代遅れなのだろうか。
■お金を優先する人たち
近年の企業不祥事は、多くは「先義後利」を無視した行いの結果である。
当初はビッグモーターだけの話であったものが、その根底には「損保ジャパン」の儲け主義が背景にあったことも徐々に浮き彫りになってきた。
○白川社長、取引再開促す 損保ジャパンの役員会議
2023/08/28
調査結果を疑問視する役員もいたが、白川氏は追加調査を行えばビッグモーターとの関係悪化が懸念されるとして、追加調査を行わずに、中止していた事故車両のあっせんを再開してはどうかと発言した。
損保ジャパンは会議後、大手3社で唯一、取引再開に踏み切った。金融庁は損保ジャパンに対し、今月末までに取引再開の経緯などの報告を求めており、経営陣の判断が焦点となっている。
https://nordot.app/1068884916873478703
○損保ジャパン社長、取引再開促す 関係悪化懸念、ビッグモーター不正
2023年08月29日
中古車販売大手ビッグモーター(東京)による不正請求問題で、損害保険ジャパンの白川儀一社長が、不正の可能性を認識しながらビッグモーターとの取引再開を促していたことが29日、分かった。関係者によると、昨年7月の役員会議で、ビッグモーターとの関係悪化を懸念し、いったん停止した取引の再開を促す発言があったという。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023082900403&g=eco
損保ジャパンには親会社にまで立入検査が入ったと聞く。簡単に組織風土やガバナンスが改善するとは思わない。三つ子の魂百までという言葉のように「義」をないがしろにする風土は変えにくい。
■腐ったリンゴの拡大
なぜかと云えば、お金儲けの一番簡単な方法は「法律を守らないこと」であるからである。他社が法律を順守しているところを、それをしなければコスト削減や売上増につながる。ダイハツ工業がしてきたことはまさにそれである。
それは一社だけの問題にとどまらない恐れもある。
例えばビッグモーターでも、た中古車販売会社の不正問題の疑惑は他社にまで広がっているようである。ネクステージ、グッドスピード、ガリバーなどにも飛び火しそうである。
○ネクステージ社長が辞任 不正判明、ビッグモーター出身
2023年09月11日
社員による自動車保険契約の捏造(ねつぞう)などが発覚した中古車販売大手ネクステージは11日、浜脇浩次社長(53)が辞任したと発表した。浜脇氏は同業のビッグモーター出身で、2022年に社長に就任。ネクステージは、経営体制の刷新を社長交代の理由としている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023091100937&g=eco
○ビッグモーターの34店舗、来週中にも行政処分、グッドスピードは新たに91件の保険金不正発覚
2023年10月20日
東証グロースにも上場する中古車販売大手のグッドスピードでは、社内の調査委員会によると、損害保険会社に保険金を不正請求していた問題で、新たに91件の不正が発覚したという。
約1700件の調査対象のうち、今年8月の調査では30件で不正請求があったことを公表ししていたが、今回発覚した91件を含めると121件、不正の割合は5.5%だったそうだ。1件でも許されない不正行為であり、パーセントで多い少ないと評価をするものではないだろう。
https://response.jp/article/2023/10/20/376009.html
○「ガリバー」、保険金を不適切請求 再調査で発覚
2023年11月1日
中古車販売店「ガリバー」を運営するIDOMは1日、保険金の不適切請求が3件あったと発表した。同社は8月下旬に不正請求はなかったと発表したが、東京海上日動火災保険から調査の依頼があった。IDOMが改めて調べたところ、740円から4万1535円の誤請求が発覚した。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC014XX0R01C23A1000000/
こうした事件は「うっかりミス」と「故意のミス」の区別はつかないにしても信用の失墜につながりかねない。引いては中古車販売という産業全体に腐ったリンゴが拡大しないことを留意すべきである。
■先義後利のコスト
「義」の中には法令遵守も含まれる。法律を守ると云うことにはコストがかかる活動という意味の他に、守らなければ競争優位に立てるという意味合いもある。身近なところでは、「赤信号になっていても突っ込む」「1時停止などせずそのまま行く」は時間短縮につながるし、検査をしないも同じことである。 過積載を繰り返せば運搬費用の削減になる。
「義」をないがしろにすると云うことはそういうことである。
○損保ジャパン、ビッグモーターの通常調査を省略 「完全査定レス」、不正の温床か 社内文書を入手
2023/8/25
中古車販売大手、ビッグモーター(BM)が修理する車について、損害保険ジャパンが通常は同社の調査員が行う損害調査の省略を決めていたことが25日、わかった。平成31年4月に導入され、両社が「完全査定レス」と呼んでいたこの運用により、BM主導による修理が可能となり、保険金の不正請求の温床となった可能性がある。金融庁の調査でも大きな焦点となりそうだ。
こうして得た利益は「麻薬」のようなものである。麻薬は人の感性を破壊する。
○損保ジャパン白川社長、ビッグモーターの不正認識しつつ取引再開促す…昨年7月の役員会議で
2023/08/29
中古車販売大手ビッグモーターによる保険金の不正請求問題を巡り、損害保険ジャパンの白川儀一社長が昨年7月の役員会議で、いったん停止した取引の再開を促す発言をしていたことがわかった。ビッグモーターとの関係悪化を懸念したためとみられる。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230829-OYT1T50102/?from=smtnews
「義」はコストがかかるのであるが、これを削減するドライブを働かせてはなら無い。
それはいつか身の破滅をもたらす。
(2024/01/07)
■その他の関連記事
○役員会議でビッグモーターとの取引再開促す
2023/08/28
中古車販売大手ビッグモーター(東京)による自動車保険の不正請求を巡り、損害保険ジャパンの白川儀一社長が昨年7月の役員会議で、いったん中止した取引の再開を促す発言をしていたことが28日、分かった。
https://nordot.app/1068886802728648969
○損害保険ジャパンの白川社長らが9月末までに会見へ ビッグモーター不正で
2023/8/28
損保ジャパンはビッグモーターに37人の出向者を送るなど関係の深さが指摘され、不正を見抜けなかった責任を問う声が上がっているほか、癒着を疑う向きもある。
金融庁は損保ジャパンに対し、報告徴求命令に基づく報告を8月末までに行うよう求めている。会見ではこの報告について説明するという。
○損保ジャパンの企業風土「営業偏重」で「上にものが言えない」 ビッグモーター問題“原因究明”社内調査で
2023年9月1日
ビッグモーター問題の原因究明に向けて、損保ジャパンが金融庁からの命令を受けて行った社内調査の結果、損保ジャパンの企業風土として「営業偏重」で「上にものが言えない」といった声があがっていたことが関係者への取材でわかりました。
https://news.ntv.co.jp/category/economy/f608d22c68794eb6850cc7847fd17350
○ネクステージ社長辞任 「ほぼ中身はビッグモーター」 元社員語る「名前が違うだけ」
2023年9月12日
ネクステージ元社員 Aさん「ビッグモーターを辞めざるを得ない方だったり、そういう人はネクステージに行く流れがあったかな。周り見渡しても、元ビッグモーターのスタッフが複数いたり、ほぼ中身はビッグモーター。結局何も実態変わらないなと思ったのが、最初入社した直後」
https://www.fnn.jp/articles/FNN/585107
(その他の関連ニュース・記事)
(損保ジャパン)
○損保ジャパン社長辞任「大きな経営判断ミスした」。HD櫻田会長への追求相次ぐ
SOMPO HD
Sep. 08, 2023
損害保険ジャパンと持株会社のSOMPOホールディングス(HD)が2023年9月8日、新宿区の本社で記者会見を開き、損保ジャパン社長の白川儀一氏の辞任を発表した。
白川氏は辞任理由について、当時不正が続いていたビッグモーターと取引を再開したことについて挙げ、「大きな経営判断ミスをしたことに責任を感じている。信頼回復に向けた第1歩を明確にするためにも1日も早い私の辞任が必要であると結論した」と説明した。
https://www.businessinsider.jp/post-275015
(ビッグモーター)
○「車検の日程勝手に組まれた」 “格安オイル交換”強引な営業か ビックモーターの新証言
2023年8月28日
ビッグモーターを利用したAさん「本当にしつこかったです。電話が。気味悪いを通り越して、怖いなって。車検の日程までもつけられた(記載された)手紙が来たんですよ」
その後、営業社員から、1日何十回という電話がかかってきたうえ、希望もしない車検の予約が知らぬ間に入っていたという。
実は、ビッグモーターの経営計画書には「オイル交換はお客様の呼び水」という言葉があった。
元社員のBさんは「ビッグモーター内でしたら、普通ですね。新規のお客さま呼び込んで情報を得て、車検の台数を稼いでという。(電話)する回数がすごいという。とにかく取れる手段は何でも使う」と話す。
https://www.fnn.jp/articles/FNN/577839
○ビッグモーター社員逮捕 同業他社突き飛ばす、京都
2023/08/31
京都府警は31日、中古車買い取りの査定をしていた同業他社の男性の両肩を突き飛ばしたとして、暴行の疑いで、ビッグモーター社員小川堅太郎容疑者(29)=大阪府大東市=を現行犯逮捕した。
https://nordot.app/1069944073705505019
○ビッグモーター平井店が閉店へ 保険金不正請求などの事案が29件 実態は1つの“巨大店舗”なのに3施設に装い許可受ける
2023年9月12日
保険金の請求や土地の開発をめぐる問題などが指摘されていた愛媛県松山市のビッグモーター平井店が、閉店を決めたことが分かりました。
松山市のビッグモーター平井店は、保険金の不正請求問題をめぐる調査で不適切な行為が疑われる事案が29件確認され、今年7月に国土交通省の立ち入り検査を受けたほか、市街化調整区域の土地開発をめぐり、実態は1つの店舗なのに3つの施設のように装って松山市から許可を受けた疑いなどが指摘されていました。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/itv/717914?display=1
○中古車販売大手ネクステージでも不正契約の疑義
保険担当の役員が亡くなっていたことも判明
2023/09/06
https://toyokeizai.net/articles/-/699897
○ネクステージ保険契約捏造、経団連には「過去3年の不祥事ない」と誓約書提出し1月に入会
2023/09/19
同社は今月1日、複数の従業員が友人名義などで自動車の保険契約を捏造していたと明らかにし、11日に社長の辞任を発表した。
経団連は、会員企業にコンプライアンス(法令順守)の徹底を求めている。同社は、過去3年間に不祥事がないことなどを誓約書で経団連に提出し、今年1月に入会していた。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230919-OYT1T50162/
○不正報道で揺れる「ネクステージ社長」が激白
営業の会社を180度変えるために私は辞任する
2023/09/11
(ビッグモーターのような)車検不正や自動車保険の水増し請求は調査した限りない。一方、過去に不適切な事案が起こっているのは事実だ。これまでは(取り扱い台数に比べても)率は少ないし、同業他社よりも少ないから良いと考えていたが、それではダメだと考えを改めた。
ゼロを目指していくには会社が変わる必要がある。そのためには私が社長を代わるべきだと考えた。
https://toyokeizai.net/articles/-/701204
○なぜビッグモーターはあっという間に業界1位になれたのか…同業者が驚いた保険会社との異常な関係
損保会社から出向者を招く本当の意味
2023/09/07
https://president.jp/articles/-/73501
以上 2024/01/07