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羊蹄山登山と小樽の夜〜北海道ワーケーション日記③〜

北海道でワーケーションをした時の旅行記です。
本記事はDAY3。

登山計画

羊蹄山には登山口が4つある。
公共交通で移動するメリットを活かして、上りと下りで別の登山口にしようと考えていた。

早朝に登り始めたかったが、バスだと始発で行っても登り始めは7時を過ぎてしまう。そのため、登山口まではタクシーで移動することにした。タクシー代を抑えるためにも、ホテルから最も近い比羅夫登山口から登り始めることにした。
プランは以下の通りだ。

6:00 ホテル→比羅夫登山口(タクシー)
6:20 登山開始
11:00 登頂
15:00 真狩登山口へ下山
15:34 羊蹄自然公園入口→ホテル(バス)

※本来は5時台に登り始めたかったが、タクシーの迎車可能時間が6時以降だった

事前の天気予報では曇り。
前日は、独立峰から見える景色に想像を膨らませながら眠りについた。

はじまりはいつも雨、じゃない方がいい

登山当日、窓から外の様子を見た際に、膝から崩れ落ちそうになった。
しとしとと、霧雨が降っていた。
晴れ間は見えないかもしれないとは思っていたが、雨が降るとはまったく想像していなかった。

計画を中止すべきか自問自答したが、タクシーの迎車予約は前日のうちにしてある。
この後の旅程を踏まえても登れるのは今日しかない。

とりあえず登山口まで行ってみよう。
雨が強くなって、登るのが難しくなったら下山しよう。

そう考えてタクシーに乗り込んだ。

登山口でタクシーを降りると、まだ霧雨が降っている。
少し様子を見ようかと思ったが、雨宿りができそうな場所はない。
まずは歩いてみるぞー、と思い、登山開始。

登り始め

ヒグマに会わないように、熊鈴を鳴らし、『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』のPodcastを大音量で流しながら、笹薮の生い茂る、傾斜のゆるやかな道を進んでいく。
霧雨が降っているので視界は悪い。

ジャングルのよう

傾斜のゆるやかな笹薮ゾーンが終わると1合目。
そこからさらに歩くと「1合半」という標識が見えた。
「半」という標識は初めて見た気がする、というか、そもそも山の「合」ってどうやって決まっているんだろう、と思いながら歩みを進める。
このあたりから傾斜が急になってくる。

雨が降り地面がぬかるんでいる中、なかなかに急な斜面を歩くのはしんどい。しかもガスガスで周りがほとんど見えない。つらい。

傾斜が急になり始めたあたり

ふと足元に目をやると、終わりかけのニリンソウや、山菜のような植物も咲いている。

ニリンソウ。雨に濡れた葉っぱが美しい

ヒーヒー言いながら歩いては、植物を見て元気をもらって、またヒーヒー言って・・を繰り返していると、空の一画に青空が見えた。
気づいたら雨は止んでいた。
やっぱり山頂まで行こうと決めた。

蜘蛛の巣を写真に収めようと、空を見上げたら青空が

異世界みたいなお鉢めぐり

6合目を超えたあたりから、これまでよりも青空が見えるようになってきた。他の登山者の方と「晴れてきて良かったですねえ」と言葉を交わしながら、さらに上を目指していく。

6合目付近から。羊蹄山の肩が見えてワクワク

9合目を超えて、避難小屋と山頂への分岐に出た。

厚い雲海におおわれ、下の方はまったく見えない。
山頂や、これから進む道も雲がかかっているが、不思議と陽も差している。
登って来てよかった。

「モウ一息ガンバ」に励まされる

火口へ出た頃には、あたり一帯がまた雲に包まれてきた。
雲がかかる稜線は、幻想的で美しい。
周りに人はおらず、外界は見えない。
なんだか異世界に来たみたいだ。

お鉢めぐり。快晴の日は周りが見渡せて気持ちいいのだろう。

ぐるっとお鉢めぐりをして、羊蹄山の標柱へ到着。
後ろを振り向くとガスガスだけれど、標柱のバックには青空が見える。

標柱の後ろだけ青空が

近くの岩に腰掛け、イオンで買ったコーンパンとカップラーメンを食べる。山で食べるごはん、どうしてこんなに美味しいのだろう。

ふと岩の下に目をやると、紙パックのオレンジジュースが落ちていた。以前訪れた登山客が忘れていったのか、落としてしまったのか。
拾って賞味期限を見ると、期限までまだ余裕がある。

落としたのが最近だったら飲めるだろうか。
いや、登山中にお腹を壊しても困る。
山に置いていくのもごみになってしまうので、とりあえず持って帰ることにした。

真狩登山口のコースまでは、ゆるやかなお鉢めぐりとは打って変わって、岩場をよじ登ったり、下ったり。
快晴で下の景色が見えたら、もしかしたら足がすくんだ場所もあったかもしれない。

ルートを示していただけることの有り難さよ

登りは一人、下りは三人

下り始める頃には、またパラパラと雨が降り始めていた。
当初のプランでは避難小屋に立ち寄る予定だったが、雨がひどくなる前に下山したい。まっすぐ下山することにした。

またもやPodcastを大音量で聞き、そして独り言もつぶやきながら歩いていると、後ろから人が来ていることに気づいた。
恥ずかしくなって、少し急ぎ目で歩く。

しばらく下った先で、シマリスに出会った。
カメラを向けても逃げない。なんなら、登山口の方に降りてきた。

下山後に動画を見返したら、シマリスの身体の下から、小さな茶色い物体が出て、草むらのほうへ走っていた。もしかしたら子どもと一緒で、子どもを逃がすために、人間の目を引きつけようと登山道に出てきたのかもしれない。

ふわふで可愛いシマリスさん

シマリスをしばらく撮影していたら、後ろを歩いていた方が追いついた。独り言を聞かれていたかもしれないことはすっかり忘れて、「シマリスがいますよ!」と話しかけた。

そこからは、その方とお話しながら一緒に下山した。
また、別の方も後ろから追いついて、最終的には3人で登山口まで下りた。
(お二人は登山口のキャンプ場に前泊しており、前日のうちにお友達になっていたようだった)

山を歩くこと自体、とても楽しい。
でも、誰かと一緒に山を歩くのは、もっと楽しい。
ふと、そう思った。

下山したら晴れていた

絶対にまたニセコに来て、山に登ろう

結局、下山時にご一緒した方の車に乗せていただき、ホテルまで戻ってきた。ホテルの大浴場で、汗と雨と泥でドロドロになった身体を清める。身支度を終え、パッキングをした時点で17時30分。

この日は小樽のホテルを予約していた。
ホテルのチェックイン時刻や、小樽で夕食を食べることを考えると、遅くとも倶知安駅を18時22分発の電車には乗りたい。

ホテルから倶知安駅までは徒歩20分ほど。
電車の時刻には十分に間に合いそうだったが、駅前にあるSPROUTというカフェにどうしても行きたかった。

滞在時間が5分だろうが10分だろうが絶対に行く!と心に決め、カフェに到着したのは17時55分ごろ。

美味しそうなドリンクやスイーツに、居心地の良い素敵な空間。
やっぱり来てよかった。

黒板のイラストもかわいい

スーツケースを持っていたからか、カウンターの中からオーナーさんが「ご旅行ですか?」と声をかけてくださった。

羊蹄山に登ったことや、山が好きなことを伝えると、ニセコ連山の縦走ルートを教えていただいた。なんでも、稜線を歩いて、日本海から倶知安駅の裏まで来れるそうだ。なんて楽しそうなルート!
もっと日数に余裕を持って来ればよかったと思ったが、次回またニセコエリアに来る時の楽しみが1つ増えた。

SPROUTさんは、「Camp&Go」という6つのお店からなるプロジェクトの1つなのだそう。他のお店も、オーガニック食品の販売や、ランニンググッズの販売など、素敵で気になるお店ばかり。お店の他にも、ギャラリーをしたり、ポップアップショップをしたりするスペースもあるのだそう。

Camp&Goさんで発行しているLOG BOOK

SPROUTさんの店内には、ギャラリーで以前展示していた作家さんの素敵な作品が並んでいた。イラストが描かれたナルゲンボトルと、きれいな色合いの手ぬぐいを購入して、駅まで走って電車に飛び乗った。

小樽の夜

ニセコエリアに別れを告げ、小樽へ。

小樽駅から徒歩10分ほどの「Otaru Tap Room」というゲストハウスへ向かう。事前に写真で見ていた通りの、古民家の素敵な外観が見えてきた。

チェックインをし、ゲストハウス内をスタッフさんにご案内いただくと、とても快適な空間が広がっている。
キッチンは調理器具や食器が充実しているし、ラウンジは吹き抜けで開放感がある。

全体を通して、おしゃれで温かみを感じる素敵な雰囲気。う〜ん長期滞在したい。スタッフさんによると、ワーケーションなど長期滞在で利用している方も、実際に多いそうだ。

ラウンジ。作業するのにも心地よい空間。

そしてこちらのゲストハウス、名前に「Tap Room」とあるように、ビアバーが併設されている。ゲストハウスにビアバー、なんと素晴らしいマリアージュだろうか。
ビアバーは21時までだったので、晩ごはんを食べに街へ繰り出す前に、クラフトビールをぐいっと一杯。

ビールを飲みながら、満たされた気持ちで羊蹄山の写真を振り返っていると、スタッフのお姉さんに「お寿司屋さんの時間、大丈夫ですか?」と尋ねられた。時刻は20時50分ごろ。

小樽と言えば海の幸、と考えていた私は、チェックイン時に「今日はお寿司を食べに行きます!」と豪語していた。

Google Mapで見つけた、深夜まで営業している寿司屋に行こうと考えていた私が、「このお店、遅くまでやってるみたいなんで大丈夫だと思います」と答えると、「ああ・・、このお店、今はもう遅くまで営業してないんですよ」とお姉さん。

なぬ。

ビールでほわんとした頭が、途端に冴えてくる。

他に遅くまで営業しているお寿司屋さんが無いか、お姉さんに泣きつくと「お寿司屋さんはどこも閉まるのが早いから、今晩は諦めて、明日のランチにした方がいいと思いますよ」と、冷静なアドバイスを頂いた。そして、ランチのお薦め店をいくつか教えていただいた。

夕食としては、確実に遅くまで営業しているであろう場所として「レンガ横丁」や「ろまん横丁」を教えていただいた。
お姉さん方の優しさが身に染みた。

レンガ横丁でほたてラーメンを頂き、帰りに寄り道をして、小樽運河沿いで夜のおさんぽ。
川面に反射する倉庫街が美しい。小樽といえばこれこれ。
昼間は羊蹄山の山頂にいたけれど、今は小樽。だいぶ遠くへ来た気がする。

夜の小樽運河

ゲストハウスに戻り、シャワーを浴びてベッドへ潜り込む。

ゲストハウスのスタッフさんから、近くの朝市で朝ごはんが食べることを教えてもらっていたので、「明日は朝市で雲丹丼を食べて、ランチでお寿司を食べるんだ」と固く決意して眠りに落ちた。

お世話になった場所

SPROUT:https://sprout-project.com/
Otaru Tap Room:https://otaru-taproom.com/
レンガ横丁:http://otaruyataimura.jp/renga/


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