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なちょ@ロンドン
2018年12月8日 04:28
マルタ曰く、鯉のような安っぽい、泥臭い魚は食べられないということである。しかしマルタが幼い頃は、ポーランドの家族と一緒によく食べていたそうだ。母親が鯉を買ってきたら、まずは自宅の浴槽に入れ、泳がせておく。そして、家庭の中で一番勇敢な者が、鯉を死に至らしめる役割を負うらしい。そしてこの家ではマルタがその役を引き受けていた。しかし、その「勇敢な娘」が旅行に出ているある日、母親が後先を考えず鯉を買っ
2018年11月23日 02:16
ロシア出身、美しいエカテリーナは今日もロンドン南部のオフィスでため息をついていた。彼女の体格は華奢そのものだが、その青い瞳には誰にも分からないような苦しみを乗り越えた末に身に付けた強さのようなものが感じられた。エカテリーナと私はパーティーで出会った。とある英国法律事務所のアニバーサリーパーティーで、出席者はほとんど法曹資格者であった。私はそこに歌の仕事に行ったのである。参加者の中で目を引いたの
2018年11月23日 02:58
私はローラが怖い。いまこの瞬間にも彼女の口から、残酷な言葉の数々が放たれるかもしれないからである。「同じパーティーに同席している人」としての彼女は許容できても、仕事のパートナーとしては最悪なタイプである。彼女は私がフリーランスでデザイナーをしていた頃のクライアントであった。彼女の特徴としては、とにかく、連絡がない。情報を共有しない。「新しいブランドを立ち上げるから、ロゴをデザインしてくれ」と頼
2018年11月23日 22:48
アラマイヨに憂鬱な日などない。「もうちょっとリラックスしなよ!何も問題ない、何も気にしなくていいさ!」というのが彼の口癖である。私が歌手仲間を集めた飲み会の幹事をよく行うことに関して、ほとんどの人々が、スルーするか、一言二言感謝の意を述べてくださる、というのが通例だ(別に感謝されたくてやっているわけではないので、それでいい)。しかしアラマイヨは違う。「またオーガナイズしてくれた