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社会人3年目。大学に入り直す覚悟とは。
**この記事は2020年9月18日に公開されました。
こんにちは、ニュージーランドでやり直し薬学生をしているなちょです。
今回は社会人になってから薬学部に入りなおした私の経験を赤裸々に語っていきます。大学に入りなおそうか悩んでいる方の背中を少しでも押せたら嬉しいです。
(長文です)
これまでの経緯
高校卒業後、渡米しがむしゃらに走り続けてきた。最初のころの英語力は、まわりが話していることが全く分からないほどの壊滅的なレベルで英語の上達に必死だった。中西部の田舎で、まわりに日本人がいない環境を選んだので英語力0で日本人は皆無。今思うとなかなか無謀だったと思う。
まわりに助けられながら最終的にはミネソタ大学を卒業。渡米当初にはとても遠い夢に思えた「卒業」という大きな目標を達成した。
卒業後シカゴに移りさっそく働きはじめた。転職も経験し、ビザ・グリーンカードをサポートしてくれる会社に運よく巡り合った。ビザ当選の確率(4~5倍)、弁護士や移民局の費用を会社持ちで持たなくてはならないことを考えるとスポンサーになってくれる会社に巡り合えたことは相当ラッキーだったと思う。
そんな中、経理としてコツコツ働く毎日。同僚や上司にもめぐまれ嫌なことは皆無だったといっても過言ではないほどの恵まれた社内環境。残業もほぼなく夏は仕事終わりにビーチに泳ぎに行く毎日。
薬剤師という選択肢
そんな中、自分ではなんとなく無視してきた思いがフツフツと大きくなっていることに気がついていた。学生時代はインターンやボランティアも積極的に行っていたほど夢を描いていた「人に貢献したい」という思い。そして医療系に進みたいという思い。
ある日、なにげなく国境なき医師団のサイトを見ていたところ「薬剤師」というポジションを見つけた。それまでは医者と看護師しかできないものだと思っていたのでとても意外だったのを覚えている。
「薬剤師」
ちょうどそのころ大学時代に仲の良かった友だちから薬学部に合格したと連絡をうけた。(アメリカでは大学を卒業してから入学、編入するのが一般的)
薬剤師ということばを急に身近にかんじた。もしかしたら私にもできるかもしれない。
やるかやらないかの葛藤
いや、本当にできるだろうか。。それにどうやって。。
大学ではグローバルビジネスを専攻していたので理系の知識は高校まで。
高校時代は都立の一般的な高校に通っており、高校3年生では国語(とくに古文)が壊滅的だったのと数学が比較的できたので理系に。とくに理系科目が得意だったわけではなかったが消去法でなんとなく理系になった程度。
加えてアメリカの薬学部はバカ高く、安くて学費だけで500万x6年。それに加えて生活費。社会人3年目を迎えたばかりの私にそんな額の貯金があるはずもなく奨学金を借りるにしても怖気ずく額。それに大学に通うには仕事をやめなければならない。
どうしていいか分からずとりあえず仕事を淡々とこなす日々を2年くらい続けたのだろうか。
ある日、張っていた糸が切れたようにどうにもこうにもいられなくなった。そもそもなぜアメリカにいるのだろう。自分は何をしているんだろう。学生時代はアメリカに永住することが自分の夢だと思っていた。でも今の私はその意味を見出せない。どこに向かってこの生活を続けていっていいのか分からない。
そこで私を救ってくれたのは母の一言。
「仕事をやめて薬学部に挑戦しなさい」
思い切って仕事をやめる
ずっと夢だったグリーンカード申請という一歩手前のところで仕事をやめ帰国した。
とりあえず帰国し選択肢を洗い出すことにしたのだ。ただニートというわけにもいかないので速攻で仕事をみつけ、フルタイムで働きながら着々とリサーチを進める日々。
リサーチの末見つけた「ニュージーランド」という選択肢。アメリカや日本と違い4年で薬学部を卒業でき、換算レートを考えるとそこまで高くない。卒業後のビザや永住権の取りやすさも魅力的だ。
さっそく書類をあつめ出願した。まずは書類選考。アメリカ時代の成績で次の面接に進めるかが決まる。(もちろんTOEFLなどの英語のスコアも必要)幸い、学生時代は死に物狂いで勉強していたので書類選考通過。次は面接。毎日シャドーイングをし、単語を増やし、ありとあらゆる面接問題の練習をくりかえし、無事通過。
1年次の必須科目での成績を条件に入学が決定した。私はすでに大学を卒業しているので一般教養の科目は免除されることになった。学費の面でも嬉しい結果である。
帰国してから某アパレル企業で働いている間は、毎月20万を貯金にまわした。
大学に入り直してみて
そんなこんなの怒涛の生活を経て今年2月に晴れてニュージーランドに。
18・19の高校卒業したての生徒に混ざっての授業は簡単なものではないが、幸い私のような境遇をもつ「やり直し医学生」の4人と友だちになることができた。(1年次は医学・薬学の授業は同じ)
痛感するのは、社会人を経て勉強の効率が格段に上がったということだ。高校のときはやみくもに暗記していたものも全体を見ればちゃんと理解できる。
大嫌いだった化学も生物も改めてやってみると新しい発見がたくさんあり、興味を持って学ぶことができる。大学時代・社会人を得て経験してきたものは決してむだではなかったのだ。
大学に入り直す意味はあるのか
結局のところそれは分からない。他人事のように言わせてもらえば「人による」ものなのだと思う。
意味があったのか、なかったのかは最終的に自分が創りだしていくものであり急に目の前に現れるものではない。
ニュージーランドに来て6か月が経過したが、アメリカでグリーンカードを申請する道を選んだ方が良かったのではないかという思いが頭をよぎることは1回や2回ではない。わざわざやり直すことに価値があるのかという疑問は頭の片隅でいつでも出てこれるように待機している。
それでも私はこれが意味のあったことだと納得できるように道を切り開いていきたい。それは自分で創るものであり、どこにいるか何をしているかという外的要因で決まるものではないと信じているから。
この先、どうなったとしてもこの決断をして良かったと胸を張って言えるように未来を自分自身で創っていきたい。
まとめ
気がついたら手が進むままに書きなぐっていました。笑
社会人を経験すると本当は自分は何をやりたかったんだろう?という壁にぶち当たることもあると思いますが、それは探し続ければ見つかるものだと信じています。
生きていれば色々ありますが、私の経験が少しでも社会人になってから大学に入り直そうか悩んでいる方の参考になったら嬉しいです。
「自分でその選択を価値のあるものにする覚悟があるのなら挑戦も悪くない」
私はそう思います。
それでは~!
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追伸:このあと色々ありニュージーランドの4年の薬学部学士を中退してオーストラリアの修士2年を受け直しました。
なちょ
**この記事は2020年9月18日に公開されました。