第2回:松永梨加~「好きな歌手」から「尊敬する人」への変化
「誰かの歌う姿を見て涙を流すなんて、人生で二度とないだろう」と考えていた僕は間違っていたと、4月8日に実感した。
2023年2月から「ハマった歌手がたまたま地下アイドルだった」という僕の生活が始まったのは、同年5月25日に通称「こるまい」のCALL MY NAMEというグループを卒業し、9月30日にKarmanのメンバーとしてデビューを控えている松永梨加さんのおかげだ。現在はデビューに向けてのレッスン中で、ステージ出演以外にもYouTubeや路上ライブでその歌声を披露し、CHEERZにてKEYTALKの最新MV出演オーディションにも参加していた。
そんな梨加さんが僕にとって「好きな歌手」から「尊敬する人」に変わった3つの理由を綴るこの記事。今回は2つ目の理由である「歌う姿を見て、僕は涙を流したから」について話す。
※序章記事、第1回目、第3回目の記事もぜひ。嬉しい事に、思ったより多くの方々に読んでていただけた。
・4月8日の生誕祭
次回の記事で触れる事だが、少しフライングしよう。僕が梨加さんを尊敬する3つ目の理由は、「ありのままの自分でいて良い。ちょっとふざけてる自分のままで人生を生きていけば良い」と、彼女の姿を見て思わされたからだ。梨加さんはご自身の事を陰キャと呼びながら明るく前向きな面があり、僕自身もそういう面がある。似た人間が友人や家族にいないので、僕は梨加さんを見ていると少し自分の姿を重ねてしまい、安心感を覚えるし、30歳に近づく中で失しかけていた自信を取り戻した事がある。
本題に入ろう。僕が生まれて初めて歌で涙を流したのは、Kpopグループ・Mamamooのラップ担当であるムンビョル姐さんのパフォーマンスを見た時だ。姐さんが披露した「Comma」という曲で僕は大号泣した事がある。この時に、歌手という職業の偉大さについて考えさせられた。
それを踏まえて話そう。今年の4月8日は、五反田G7という会場で梨加さんの生誕祭が行われた。梨加さんの25歳の誕生日を記念し、ご自身のグループやゲスト数組、そして梨加さんご本人によるソロ曲カバーが行われたライブだった。
ゲストグループ3組による歌の後、CALL MY NAMEの出番がやってきた。「夏はじめ」といった初めて生で聴いた曲もあり、メンバーによる落ちサビの奪い合いもあり(笑)、とても楽しめた。数曲歌い終えたメンバーはトークタイムに入り、この間に梨加さんはステージ裏で生誕衣装に着替え、観客の前に再び姿を表した。本当に、似合っていた。受付で着てた服も可愛いかったなぁ。
トークが終わり、梨加さんはソロカバー曲「初恋サイダー」を歌った。「ライブを見てメンバーとチェキを撮って家に帰る」だけの日になると僕は思っていたが、その考えは見事に覆された。
・僕が涙した理由
暗いステージが青く照らされ、いつもより高い声で梨加さんが歌いだした。普段の格好良さと違い、いかにもアイドルっぽくて可愛らしかった。途中で歌詞を間違えて焦ってしまう場面があったが、それを乗り切って最後にはちゃんと歌い終えていた。思わず心の中で「頑張って!」と応援した自分がいた。
梨加さんが曲を半分歌い終えた頃だったろうか、僕は少し泣いてしまった。感動的なバラードを披露されていた訳ではなかったが、泣いたのには理由があった。
梨加さんのファンになり始めた頃、僕は梨加さんのSNSをよく見ていた。ホストに惚れる客のコントや、沸くドルオタのモノマネなど。梨加さんが歌が上手いだけでなく最高にオモロイねーちゃんだと知り、どっぷりと梨加さんにハマった。
ただ、他のSNSでは気になる投稿も見かけた。特典会で見る元気な姿からは想像もつかない後ろ向きな文章や、ご自身の過去について綴られていた。アイドルになる前は楽しいという気持ちをあまり感じず、アイドルになって楽しいという感情をよく感じるようになったらしい。でもその後もまるで承認欲求を満たして欲しいような言葉を綴っていた。「私を推してる人、推してた人は、幸せになれてましたか?」という内容とか。正直、読んでていて悲しい気持ちになったし、とても可哀想だった。僕自身、友人や知り合いから「明るい」と言われるけど暗い部分も持ち合わせているので、梨加さんには共感を覚えた。
考えてみれば、僕が特典会で梨加さんに「好きな芸能人」だと伝えた時、「私、ちゃんと芸能人になれてるかな?」と苦笑いされた事があった。この生誕祭で僕とチェキを撮った時も、「私、今日の生誕祭、皆本当に楽しんでくれたのかな?」とひたすら不安を話していた。
でもアイドル活動を初めて数年、生誕祭での梨加さんは、とても素敵に見えた。それまで辛い思いをしていた人間が、自分が楽しいと思える事を職業にし、アイドルとして歌を通してファンに楽しい時間を提供してくれている。ステージでご自身の全てを出し切って歌っている。
そういう考えや思いがこみ上げてきて、思わず僕は会場で涙を流した。辛さを乗り越え、素敵な時間を送るようになった人の頑張る姿は、とても美しかった。
・嬉し涙を流すという貴重な経験
そもそも、人というのは嬉し涙よりも悲し涙を流すことの方が多いし、世の中なんて、辛い事だらけだ。
だから、何かが「美しい」という理由で流せる涙は貴重で、よっぽどの事が無い限り流れない。なので、パフォーマンスで誰かを感動させるのは、神からの贈り物と呼んでいいと僕は思う。人の歌う姿を見て泣くなんて、人生であと何回経験できるのだろうか?
詳しく話すつもりはないが、僕が梨加さんに出会ったのは、人生でだいぶ辛い生活を送っていた時期。周りから「明るい」「元気をくれる」と前向きな言葉をありがたい事によく言ってくれた人たちがいたにも関わらず、色んな理由で、自分に自信を持てなかった時期だった。だから僕は、余計に涙もろろく、何かしらの心の支えが必要だったのかもしれない。でも生誕祭で僕が感動したという事実は確かで、「僕と同じように明るくもどこか暗さもある人が僕に元気や自信をくれ、僕の目の前で最高に輝いている」瞬間を目の当たりにできた事は、今考えても涙が流れてしまう。
実際、6月24日に下北沢駅の周辺で行われた梨加さんの路上ライブを鑑賞させていただいた時も、僕は少し涙ぐみそうになった。梨加さんは、本当に素敵な歌声をお持ちで、素敵な歌い方をする女性だ。
ムンビョル姐さんを知って僕は初めて、「歌手は人々を感動させ、生きる活力を与える」という事を知った。そして、また誰かの歌う姿で嬉し涙を流すなんて思ってなかった。
でも正直、今後は梨加さんとムンビョル姐さん以外の誰かの歌う姿で感動を味わいたくない。安易な経験でなく特別な経験だという事を大切にしたいし、その美しい人柄で僕の心の支えになった梨加さんに代わりはいないのだから。
そんな梨加さんのステージでの歌う姿をまた拝見できる日が来る。7月31日に新宿SAMURAIという会場で、梨加さんは対バンにソロ出演する。別グループ出演のライブでチェキスタッフをしていた時や、路上ライブで梨加さんと少しお話しさせていただく機会はあったが、ステージ上での彼女の姿を見るのは約2カ月ぶりなので、本当に楽しみだ。今度は、どんな歌い方を披露されるのだろうか。
今回は、この辺で記事を終えよう。次回は、僕が梨加さんを尊敬する事になった最後の理由について書く。
・松永梨加 - SNS
Twitter: @Rika_Karman
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Instagram: @__maturika
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