朝が涼しくなった


朝はアルバイトに行くために5時半に起きている。
早朝アルバイトを始めてもうすぐ2ヶ月。

まだ2ヶ月しか経っていないけどなんだか早起きも慣れてきた。
何しろ高校時代から部活の朝練で5時に起き始発登校したり、
大学生時代も名古屋のパン屋で早朝からアルバイトに行っていたからだ。

実は早起きなんて、なんてことない。
お休みの日はお昼まで寝ていることも珍しくないけど、
条件付きの早起きは最早得意なのだ。

朝に余裕がないのが嫌なのである程度時間のゆとりを持って準備して、
朝ごはんを食べて家を出る。
6時35分。

真夏のピークは去ったみたいだがそれでも明るい朝だった。
少しだけ風があって、日差しもさほど気にならないくらいのいい時間帯。
行き交う人も車もまだ少ない。蝉もだいぶ鳴かなくなったみたいだ。



静かだ。


1日の始まりは、とても静かだ。
私が思っているよりもずっと穏やかで新しい。
足取りが軽い。


高校生の頃、学校へ行く道も同じ景色だった。
冬は前が見えないほど真っ暗な6時過ぎ。
大嫌いな朝練に向かう道だったけれど、思い出すとやっぱり
いつも静かで、新しかった。

冬は毎朝同じ曲を聴いていたからふとそのメロディーが蘇る。
音楽が記憶を閉じ込めている。
目の前の景色も、気持ちも真っ暗だった当時の私にゆっくりと
少しずつ灯りを灯してくれる温かい歌だ。

あの頃の気持ちは今でもはっきりと覚えている。
悶々としていて焦りとか苛立ちとか不安とかで飽和状態の高校生だった。

でも今はあの頃も受け止められる。
今も焦りや不安はあれど足取りは軽い。
気持ちまでも暗く閉じこもる朝はここにはない。

それは朝が涼しくなったからか、
他に訳があるからか。

1日の始まりは、いつだって、新しい。

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