Google/ページランク関連特許・要約
こんちには!!nabです。企業弁理士として中小企業に勤務しています。今回は、Google検索エンジン関連特許・要約ということで、Google社のいわゆるページランク関連特許を1件抽出(特許4603556号)し、内容を要約していこうと思います。
今回は、業界の方でなくても理解できるよう、記載したつもりですので、お付き合いいただければと思います。
理解の助けとする為、新人エンジニア・理太郎と、ベテラン弁理士・鍋島を登場させ、対話形式で解説していきます。
そこで、本記事では、難解な特許明細書の内容をなるべく簡潔に要点を伝えることで、多くの皆様にテクノロジーや、特許・知的財産の世界に興味を持っていただければ幸いです。
①登場人物
理太郎・・・ITベンチャー企業に勤務する新人エンジニア(入社3年目・28歳)。自身の発明したプログラムの特許出願を担当してもらったことをきっかけに、弁理士の鍋島と知り合い、技術的創作を保護する法律である特許権を知る。好奇心旺盛な性格で、自身の技術分野以外にも興味がある。
鍋島・・・特許事務所に勤務する経験も豊富な熱血ベテラン弁理士(15年目・40歳)。理太郎のベンチャー企業を担当している。理太郎の特許法に対する関心の深さに感銘し、定期的に特許法のレクチャーを行っている。
②Google・ページランク関連特許
鍋島
理太郎君。いいか。今日はGoogle社が保有するいわゆるページランク関連特許の解説を行うよ。今日の内容は、君の仕事にも役立つんじゃないかな!?
理太郎
鍋島先生。本日も宜しくお願い致します。ページランク??って一体どんなものなんですか?
鍋島
Googleでキーワード検索を行うと、ウェブページの表示が順番に並んでいるよね?ページランク (PageRank)関連特許 は、その順番を適切に決める為のアルゴリズムに関する特許だよ。
理太郎
おお!!めっちゃある意味めちゃくちゃ身近な特許ですね。Googⅼe社といえば、「Googⅼe先生で調べよう!!」とか「ググる」でお馴染みの検索エンジンでお馴染みですもんね!!
鍋島
そうだね!!😊実は、GooGle社(関連会社含)が、日本で行っている2400件を超える特許出願の中で、約1000件超/50%近くが情報検索・データ構造に関する特許出願なんだよ。いかにGoogle社が、情報検索アルゴリズムや、データベース構築に関する開発に力を入れているかがわかるよね。
理太郎
😲ぴゃー。1000件越えですか。。桁違いの数ですね。。。でも、こういった情報検索アルゴリズムや、データベース構造に関する特許って、どのように取得されるんでしょうかね? こういったコンピュータソフトウェアのアルゴリズムって、基本的に「保存」/「表示」/「送信」といった単純な作用の組み合わせから成り立ってますよね?果してそんなものが特許になるんでしょうかね??
鍋島
😲😲理太郎君!!さすがは、エンジニアだよ。いいところに気が付いたね!!今回は、その疑問にフォーカスを当てて解明していこう!!コンピュータソフトウェアに関する特許は一体どうやって特許化されているのかな??ついてきてくれたまえ!!
理太郎
んんー。先生!!またまた好奇心が止まらない!!興味深々です。ご教示宜しくお願い致します💦
鍋島
。。。。。。。それでは、行くよ!!
③明細書で発明の名称を確認しよう。
鍋島
まず最初に、Google 社の特許公報(4603556号)の明細書で今回の特許発明の名称を確認しよう。
理太郎
了解しました。発明の名称ですね。。。確か、発明の概要を一言で表すものでしたね!!
鍋島
Very・Good・ruiTARO!!その通りだ!!前回のレクチャーを良く吸収しているね!!
理太郎
(ま!!巻舌!?👅)
理太郎
ドキュメントをスコア付けする方法😲。即ち、ウェブページをスコア付けする方法。。。!!まさにページランクに関する特許ですね。
鍋島
OK!!理太郎。今回の発明の名称は概要を理解しやすいね!!
では、今回の発明の課題は何かな??これも明細書で確認するよ!!
④発明が解決しようとしている課題を確認しよう
理太郎
検索エンジンによって生成された結果の品質を向上させることと(赤線部)ありますね。。。まあ検索エンジンの基本的課題って感じですね💦
鍋島
理太郎の言うとおり。もう少し突っ込むと、赤枠部分において、古くなったドキュメントのより高位置でのランク付けは、検索結果の品質を低下させるとあるね。つまり、単純にアクセス数のみで、ページランクを行うとアクセス数が蓄積される古いドキュメントは、上位に来てしまうよね。情報検索においては、古いドキュメントが上位に来てしまうようでは、品質が高い検索とは言えない。この点も、課題として捉えているよね。
理太郎
!(^^)!。単純に新しい順、古い順に並べられた検索ページサイトでは、本当に検索者が欲しい文献が最適かされているとは言えませんもんね。今回の特許発明は、検索アルゴリズムを最適化する為に、どんな要因を取り入れているのかに注目ですね!!課題がより具体的になりました。
鍋島
😲😲🌰!!!びっくりしすぎて、栗が出てきたよ!鋭い視点だ!!
ちょっとマニアックにはなるが、特許の世界では、解決しようとしている課題が、従来にないものであればあるほど、特許化される可能性は高くなるんだよ。それでは、今言った課題を、今回の発明ではどのように解決ているのかな?概要が請求の範囲に記載されているようだ!!早速確認していこう!!
⑤課題の解決方法を確認しよう
理太郎
💦んんー。なんというか。あれですね。今回、結構難解な文章が並んでますね。。。ざっくりとまとめると
①検索エンジンがコンピュータ内の複数のドキュメントからドキュメントを特定する。
②ドキュメント中に表示される広告ドキュメントのトラフィック量から広告主の質を特定し、それを加味してドキュメントをスコア付けする。
③スコアに基づき、ドキュメントをランク付けする。
という感じでしょうか💦
鍋島
オーケー理太郎!!グッジョブだよ👍。この中から、ありきたりではない特徴的なワードは存在するかな??
理太郎
そうですね。複数のドキュメントをランク付けすること自体は当たり前ですよね。さっきも言っていたように、ポイントは、そのランク付けする為の要因は何かというところだと思うので、「広告ドキュメントのトラフィック量から広告主の質を特定する」というのがポイントになってくるのでしょうか?
鍋島
😲😲( ゚Д゚)。。なんて洞察力だ!!またまた電気が走ったよ。。。君はしばしば私に電気を走らせるね。。🔋その通り!!今回の特許のポイントは、この広告主の質をランク付けの要因にしている点が大きいと思われるね。では、どうやって、広告主の質を特定しているのだろうか?もう少し踏み込んでみよう!!
理太郎
了解です!!今回もアクセル全開!!🚙!!
⑥もう少し突っ込んでみよう!!
理太郎
【0074】に注目すると、今回の発明のページランクの重みづけに取り入れている広告に関する要因としては、(1)広告が表示又は更新された範囲(2)広告主の質(3)広告へのアクセス数、を元にドキュメント(ウェブページ)をランク付けの要因にするようですね。。。
鍋島
😲😲相変わらず要約力が高いね!!業界人??そのとおり。広告に関する要因をページランクを決定する際の重み付けとして用いる方法が今までなかったんだね。Amazonのような信頼性が高く、かつ長時間に渡って広い範囲でリンクが張られている広告主とが表示されているドキュメントは、スコアが高い重みづけとなる一方で、ポルノサイトのような信頼性に低い広告主が表示されているドキュメントは、低い重みづけすることも出来るようなことが記載されているね。また、広告へのアクセス数、表示されている広告の範囲や大きさ、更新回数なども要因と出来るみたいだ。
⑦まとめ
(1)発明の名称
ドキュメントをスコア付けする方法
(2)発明の課題
検索エンジンによって生成された結果の品質を向上させる。
※単純に古いドキュメントが、高ランクとなるようなことを抑止する。
(3)課題の解決方法
①検索エンジンがコンピュータ内の複数のドキュメントからドキュメントを特定する。
②ドキュメント中に表示される広告に関する要因を加味してドキュメントのスコア付けを行う。
(4)広告の重みづけする具体的な要因
①広告が表示又は更新された範囲
②広告主の質
※例 Amazon⇒高スコア ポルノサイト⇒低スコア
③広告へのアクセス数
理太郎
先生!!今回もありがとうございました😊個人的な感想を言っちゃうと、ページランク特許というからさも難解なアルゴリズムが用いられていると思いましたが、なんとなく、公告に関する要因をポイント化するルールを決めただけのアイデアという感じがしました。。。💦
鍋島
確かにそうだね。コンピュータソフトウェア関連の特許は、このような単なる取り決めにみえるようなシンプルなアイデアでも、ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されている場合は、発明として認められるんだ💡
我々弁理士は明細書を作成しているわけなんだけど、このようなアイデアをいかに具体的にして文章化出来るかが、腕の見せ所なんだよ😆
最後までおつきあい頂きまして、ありがとうござました。いかがでしたでしょうか❓️理太郎君のいうように、今回取り上げたのページランク特許は、さも難解なアルゴリズムが用いられていると思いきや、実は非常にシンプルなものでしたね。言い換えれば、我々も、GooGleの創始者にラリーページのごとく、アイデア次第手で、億万長者になれるかも知れませんよ!!また、今回の記事を通じて、知的財産、テクノロジーに興味を少しでも持って頂ければ幸いです。
※今回の一連の情報は、あくまで特許出願情報の簡易的な把握を目的としています。審判段階及び裁判所におけるやりとりについては、一切参照しておりません。いわゆる判例研究等の情報については、他の弁理士さん等がされておりますので、そちらをご参照ください。
※また、特許発明の本質をより深く理解する為には、明細書の精読に加え、従来技術の把握が必要になりますので、時間に余裕がある方は是非確認してみてください。
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