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本日の一冊Vol.2

今回ご紹介するのはヨシタケシンスケさんの絵本「みえるとかみえないとか」です。

作者のヨシタケシンスケさんは、親子向け絵本雑誌「MOE」で何度も大賞を受賞している若い親子に大人気の絵本作家さんです。

「みえるとかみえないとか」の主人公は、「うちゅうひこうし」としていろいろな星を調査しています。ある星で出会ったのは、目が3つあり、前も後ろも一度に見ることができる星の人たち。
その星では、主人公は「後ろが見えない人」として気を使われ、ちょっと戸惑います。そして、その星の人でも、後ろの目だけ見えない人に出会い、お互い後ろが見えない者同士共感します。
さらに生まれつき全部の目が見えない人にも出会い、その全く見えない人の世界の感じ方が自分とは異なっていることを知ります。
それは、世界を匂いや音、手触りなどの視覚以外の感覚で捉えていることでした。
その後、主人公は自分と共通点がある人、相違点がある人のことを想像しながら、相互理解の大切さに気づきます。

この絵本の元になったのは、東京工業大学の准教授の伊藤亜紗さんが書いた「目の見えない人は世界をどう見ているのか」という新書です。これは、視覚障害者の方が世界をどう捉えているかを書いた本で、ヨシタケさんの絵本はそのエッセンスを抽出して、親子で障害というものについて語り合えるようにしたものです。

大人は、「身体障害」や「知的障害」と聞くと、つい身構えてしまいますが、この絵本は「分からないこと」や「知らないこと」があれば、子どものように素直な気持ちで、興味を持って聞いてみることが大切だと教えてくれます。

ヨシタケシンスケさんの絵本はどれも、いわゆる絵本らしくないのですが、そのどこかユーモラスな絵と、大人が読んでもハッとさせられる内容が大変魅力的です。お子さんがいる方はぜひ、親子で一緒に読んで感想を話し合ってみて欲しいですね。


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