【NFL】バッカニアーズとブレイディの偉業をMLBに例えてみる。
カンザスシティ・チーフスを下し、第55回スーパーボウルを制したタンパベイ・バッカーニアーズ。
スーパースターながら43歳になるバッカニアーズのQBトム・ブレイディと、前回のスーパーボウルMVPで昨年春に10年約5億ドルの契約をしたチーフスの25歳のQBパトリック・マホームズの対決も話題に。
バッカニアーズはワイルドカードということもあり、チーフスの方が前評判は良かったが、結果的には31-9でバッカニアーズが圧勝。チーフスのマホームズにいたっては、ひとつもタッチダウンを取れず、プロ入り後初めてダブルスコア以上での敗戦であった。
さて、この試合についてはあまりにも偉業が多かった。
その偉業をMLBに例えて紹介したい。
初の出場チームの本拠地開催と優勝
ワールドシリーズで複数試合を行うMLBとは違い、その年のNFLチャンピオンを決めるスーパーボウルは1試合のみである。そのため、中立性を保つために、開催地は事前に予定されている。
ただ、スーパーボウルには呪いがあり、スーパーボウル開催地を本拠地とするチームはスーパーボウルに出場できないというものがある。スーパーボウル開催地を本拠地とするチームが、レギュラーシーズンで好調だったり、プレイオフを勝ち上がったりしたことはこれまでにもあったが、スーパーボウル出場までには至らなかった。
ただ、タンパのレイモンド・ジェームズ・フィールドで開催される今回のスーパーボウルで初めて、そこを本拠地とするタンパベイ・バッカニアーズが出場し、そして優勝したのである。
ワールドシリーズでは必ず本拠地で試合を行える(2020年を除いて)MLBで例えるのは難しいが、しいて言えば、ベーブ・ルースやルー・ゲーリック、ジョー・ディマジオ、ミッキー・マントルといった伝説の選手がプレイし、老朽化のため86年間の暦に幕を閉じることになった2008年に、ヤンキースがワールドチャンピオンになるようなものだろうか。
ちなみにヤンキースはその年、14年ぶりにプレイオフ進出を逃して終戦。
翌年の大補強で、新ヤンキースタジアム1年目で世界一となった。
43歳トム・ブレイディが移籍1年目でスーパーボウル制覇
トム・ブレイディと言えば、ニューイングランド・ペイトリオッツのハートアンドソウル。
2001年にブレイディがレギュラーQBとなり、そのシーズンにチームはスーパーボウル初制覇。その後5回、スーパーボウルを制している。
短距離、長距離共に的確なパス、リーダーシップ、常に冷静な判断で長年チームの中心選手として活躍し、まさしくペイトリオッツの長嶋茂雄である。
そのブレイディが、43歳のシーズンを前に、チームの若返りの方針もあってか、契約は更新されずに移籍。移籍先のバッカニアーズで、1年目に優勝したのである。
まさしくMLBに例えると、暗黒の80年代、90年代から抜け出し、チームをワールドシリーズ3連覇を含む4回のワールドチャンピオンに導いたキャプテン、デレク・ジーターが、晩年タンパベイレイズに移籍して、その年にワールドチャンピオンになるようなものである。
さらに、一度引退したグロンカウスキーを復帰に導いたように、ジーターのレイズ移籍を機に、引退したマリアノ・リベラ、アンディ・ペティット、ホルヘ・ポサダもつれて。
トム・ブレイディ自身、7回目のスーパーボウル制覇
トム・ブレイディは、ペイトリオッツ時代も含めて7回目のスーパーボウル制覇となったが、これまでにもっと多くスーパーボウルを制覇したチームはペイトリオッツの6回。ブレイディ一人で、どのNFLチームよりも多く、スーパボウルを制覇したのである。
さすがにこれをMLBに例えることは難しい。
ワールドチャンピオンになった回数が最も多いのはヤンキースで27回。現役で28回ワールドチャンピオンになるのはまず無理である。
さて、これで今回のバッカニアーズとトム・ブレイディの快挙がいかに凄かったか、野球クラスターの諸君も理解できただろうか。
特にブレイディは、ドラフトで7巡目までしか指名しないNFLにおいて、全体199位で指名されてからのサクセスストーリーは、まさしく全体402位で入団し3回のMVPを獲得したアルバート・プホルスであり、20代後半から30代前半にかけて勝てない時期もあったがその後復活した姿は、30代後半で4シームの威力が増したジャスティン・バーランダーであり、チームを複数回のチャンピオンに導いたことはジャイアンツ、レッドソックスをそれぞれ3回のワールドチャンピオンに導いたバスター・ポージー、デビッド・オルティスであり、晩年にチームを離れても移籍先で活躍することはまさしく、パドレスからブリュワーズに移籍してもなお、クローザーとして活躍したトレバー・ホフマンでもある。
今年の9月から始まる次のシーズンも、ブレイディがどんな伝説を作ってくれるのか楽しみである。