小ネタ#8「美術系予備校生、夏休み帰省中に母親に追い返される」
トップ写真は「Le Creuset オーバル 29cm E / ヤフオク入手」
NO.14:幅29cm 4.9L 4.5kg
5月から東京で浪人中だったあたし、3ヶ月経過で・・あまり成績は振るわなかった。夏期講習が始まり、その課題は静物の水彩画、確かガラス製の水槽がモチーフとして使われており、うまく描けず手詰まり感があった。そういうこともあり夏期講習(前期・後期あり)途中に1週間ほど夏休みがあったので帰省した。
東京に戻る日、連絡船で宇野港に着いたときに新幹線が止まっていることを知り、ならとまた連絡船に乗って高松に舞い戻った。当時高松築港のそばで喫茶店を営んでいた母親の元に寄ったら「東京に戻りたくないから逃げ帰ったんだな」「とっとともう一度東京へ行け!」と店を追い出された。
「なんていう仕打ちなんだ!」と恨みがましく母親を罵りつつ半泣きでまた連絡船に乗った。1年の浪人生活のなかでこれが分岐点となったのだ。あのときそのまま郷里に留まったら・・負け犬(負けても犬好き)になっていたかもしれない。
後半の講習会でしぶとく粘って水彩画を描き終え、それがコンクールで初めて真ん中のラインを超えた。コンクールとは「美術系予備校の批評会」のことで、参加者全員の作品を教室の壁全体に貼りつけていきトップからビリまで並べていくのだ。
その途中で自分の作品が前に進んだりうしろに戻されたりと、予備校生にとっては地獄のような時間。美術系ってほんと精神鍛えられるわ、と感じていたものだ。
これは、経験した人間にしかわからないけど、ビリになるのはクソつらいのだ!!
(壁面に全部は並ばないので実際は最後の方は省かれる・・)
「とっとと東京へ戻れ!」、これがなかったら今のあたしはない(このとき電話で父親に泣きついたら「高松におったらええが」と言われた。娘に甘い父)。母とはいろいろあったが、これがいちばんの思い出。感謝しかない。