2年ぶりにミャンマーに帰ってみて
こんにちは、普段はスタートアップでUXデザインとリサーチをしている渡邊 (@nabetaro_san) です。
私は前職はミャンマーでデザイナーとして働いていましたが、2021年2月にミャンマーで軍事クーデターが発生して、あえなく日本に帰国しました。
それから約2年経って、ミャンマーは一体どうなっているんだろう?という時に、ちょうど年末にミャンマー最大都市のヤンゴンに2週間ほど行く機会があったので、現在の様子を書いていこうと思います。
飛行機は国軍運営の航空会社がメインで飛んでいる
私は現在ベトナムに在住しているのですが、ミャンマーのヤンゴンへ行くために航空券を調べてみると、国軍が運営している「MAI (Myanmar Airways International)」の便のみありました。
日本とミャンマーの直通便は、Skyscannerで検索してみる感じだと、どうやらなさそう。タイや韓国などを経由すれば日本からミャンマーへ行くことができそうです。
軍事クーデターが発生した当時も、日本とミャンマーの直通便は便数を制限し、一部の国の航空会社のみ着陸を許可されていたこともあったので、もしかすると今もその状況が続いているのかもしれません。
日常はクーデター前に戻ってきている
ヤンゴンに到着し、街の様子などをみていると、人々が普通に出歩いて生活している様子がありました。
軍事クーデター発生当時は、街は閑散としていましたが、今は人や車で溢れて活気が戻ってきています。
ヤンゴンで一番有名なお寺「シェダゴンパゴダ」も休日は、結婚式を挙げている家族がいたり賑わっていました。
人々は仕事をはじめている
私のミャンマー人の友人含めほとんどの人は仕事を始めているようでした。
軍事クーデター発生当時は、政府に対する抗議デモに参加する人が多かったため、営業を一時的に止める企業も多かったのですが、それだと生活が困窮してしまうため、仕事を再開しているようです。
サッカーは東南アジアカップに出場している
去年はちょうどワールドカップが開催されましたが、実はミャンマーも年末は東南アジアカップ(2022 AFF三菱電機カップ)に参加していました。
結果はグループステージ敗退でした。
試合は公式チャンネルのライブから見れます。
ただ、残念なのが、多くのミャンマー人がこのカップにミャンマーが参加していること知らないという…。
レストランで外国人の私が1人でミャンマーの試合で盛り上がっているという不思議な構図ができていました笑
それは現在のテレビ放送にも問題がありそうです。
テレビ放送は国軍運営の一局のみ
テレビ放送は現在「MRTV」という国軍運営の一局放送になっています。
その放送ではどうやら真実が語られることはなく、国軍に都合の良いニュースばかりと聞きました。
ミャンマーはFacebookがSNSでは主流ですが、国軍はFacebookに制限を設けており、ミャンマー人はVPNを常につなげて、Facebookで最新情報を得ていたりします。
国軍運営のビールブランドは売られていない
軍事クーデター以降は、ミャンマーでかなり有名だったビールブランドの「ミャンマービール」や、安くて人気な「ANDAMAN」などは国軍が関係しているブランドのため、どこの店でも販売されなくなりました。
現在はTigerビールやHaineken、ミャンマーブランドの「BAWDER」などが主流のようです。
ただ、先述した国軍運営の航空会社MAIの機内サービスでは、ANDAMANを飲むことができました。
鍋叩きによる抗議デモはなくなった
軍事クーデター発生当時は、ヤンゴン市内のいたる所で抗議デモが行われていました。
場所によっては、住人が鍋などを全員で叩いて抗議の意思表示をしていました。そのため夜になると外では鍋を叩く音が鳴り響いていました。
現在は、国軍による取り締まりが厳しい関係や、身の危険などからこのような抗議デモはなくなっていました。
反政府組織はヤンゴン市内でゲリラ戦をしている
反政府組織である「PDF(People's Defence Force)」はヤンゴン市内で現在も国軍に対してのゲリラ戦を行なっているようでした。
国軍の管理しているビルを爆破したりなど、詳細はわかりませんがヤンゴンでも民間人の犠牲者が出ているのは間違いなさそうです。
街には銃を持った軍人と警官が普通に歩いている
ヤンゴン市内は以前の活気ある日常に戻ってきてはいるものの、要所要所に銃を持った警察官や軍人がいるのを確認できます。(危険なので写真は撮れませんでした)
妻によると、警察官や軍人はPDFの爆破攻撃などを警戒するためのパトロールだそうです。
そのため民間人には危害を加える様子はなく、民間人もさほど気にしていない様子でした。人を引き金ひとつで殺傷できる武器を持ってうろうろしている様子は、日本では考えられないですが、ミャンマーでは日常的になっています。
電気の供給が制限されている
現在ヤンゴン市内では、政府による電気の供給が9:00~16:00までは遮断されています。つまり9:00~16:00は電気を使えない生活になるということです。
個人的にはこれが一番衝撃でした。
妻によると、軍事クーデターが発生してから、ミャンマー人の多くが"電気代を払うこと=政府にお金を払うこと"をしなかったこともあり、政府は電気の供給を制限したようです。
そのため、ほとんどの家では電気を使わない生活をしており、お金持ちの家ではジェネレーターを使っています。
しかし、ジェネレーターはガソリンを使うため、ガソリン価格が高騰している現在はかなり生活の負担になっているようです。
物価が高騰している
ガソリンもそうですが、生活のいたるところで物価の高騰の影響を受けているのを感じました。
ガソリン価格の高騰で、タクシーは値上げされ、タクシーより安価なバスはさらに混雑している様子でした。
タクシーは大体所感として1000チャットほど相場が上がったので、日本で考えると1000円高くなったイメージです。
またレストランでも同じように値上げが行われていました。
妻の推測では、これらの物価の高騰は国軍による物流の介入と制限が原因になっているかもとのことでした。
銀行は機能していない
銀行はというと、軍事クーデター発生当時から変わらず、口座の預金の引き出しはできない様子でした。
ただ以前は、朝から行列になるものの、ATMの現金がなくなるまでは、なんとか引き出すこと自体はできました。
現在は、口座にある預金は電子決済などでの支払いはできるようです。
ただし、手数料はかなり高いみたい。
ミャンマー人は預けていたお金を政府に没収されないように電子決済をなるべく使うようにしているようです。
地方は激しく交戦してる
先述のPDFもヤンゴン市内でゲリラ戦を行なっていますが、地方はもっと悲惨な状況になっていました。
ミャンマーは多民族な文化を持つ国なので、それぞれの民族が国軍に対して抵抗を続けているようです。
最近でも国軍による民族への攻撃が、日本でニュースになりました。
「市民ら50人死亡」とありますが、実際は約80名〜100名とも言われています。妻もこの空爆を受けた民族の出身なので、知人を亡くしました。
暗い終わりになってしまいましたが、ヤンゴン市内は地方に比べれば安全な方です。
妻は空爆を受けた地元に帰省していましたが、空は戦闘ヘリが飛んでいたり、外出は国軍に制限され、家から出ることができないなど、ヤンゴンより危険な状況でした。
それでも、ヤンゴンもPDFと国軍の交戦は続いており、いつ何が起こるかわからないという恐怖はありました。
現在ミャンマーはオンラインでビザ申請して入国できますが、もし観光されるという方はお気をつけて。