デザイナーがICU環境作りに携わるという事
前回は、デザイナーの視点で、物と環境のお話しをしました。
今回は、そんな物と環境を扱うデザイナーが、ICU環境作りに携わる事についてのお話しをしたいと思います。
例えば、ICUの環境を作る際にデザイナーがチームに入ることは、とても自然な事で、とても意味がある事だと思っています。ただ、デザイナーが参加すると、こんな誤解が生じることが多々あります。
・デザイナーの好き勝手をされてしまう
・とんでもないICUができてしまう
・斬新だけれど、使い勝手は、きっと悪いんだろう、、
・デザイナーに入ってもらうほどではないよ、、
こんなようなご意見が出てくるのではないでしょうか?
また建築事務所に任せてあるので、デザイナーは必要ないのでは??
とか。
改めてお伝えしますが、デザイナーの仕事とは、斬新な色や形や素材を使った装飾、、、デザイナーの為の作品作りではありません。
ICUの問題や課題、、さらには、病院内でのコミュニケーションの問題や課題を発見しながら、理想の方向へ舵取りをし、図面やパース、模型などで見える化した資料を元に、臨床現場の方々と深く煮詰めた上で、実際の施工や医療機器や家具の設置、、ICU環境の成立を行うのがデザイナーの仕事です。
現状の問題や課題を発見し、共有し、より良い環境への新しい価値を創造するのです。
では、デザイナーが常日頃から考えている事は一体どのような事なのか?
デザイナーがICUの環境作りに加わる事で、一体何ができるのか?
のお話しをします。
デザイナーが考えるのは「理想のICU環境をどのようにデザインしていけるか?」
とても単純な事なんです。理想のICU環境つくり、、、
何ともまぁ簡単すぎて、、現場のスタッフの方は拍子抜けされている事だと思います。
では理想のICU環境って何?ということですが、、私は、こう考えています。
特定集中治療室管理料を取る為の施設基準だけではない環境作り
「集中ケア」の質を向上させるICUである事
それは、、
=患者やご家族の為の環境作りである事
=スタッフの為の環境作りである。
それって何?という事ですが、
それは、
「ストレスを減らす環境作りである事」
だと考えています。
ではストレスって何?
ICU環境でのストレスとは?
→患者が抱えるストレス
→家族が抱えるストレス
→スタッフが抱えるストレス
ICU環境にて、この3つが挙げられると思います。
この3つのストレスを減らす環境作りが「集中ケア」の質の向上につながるのではないでしょうか?
そしてそれは、
集中治療室を退室した後の患者さんの状態をいかに良くするか、、
という事につながるものだと思います。
そんなこと言ってもできるの?そんな事、、、
って皆さん思われると思います。
次回は、そんな理想に近づけない問題点やハードルについてのお話しをします。