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理想のICUに近づけない問題点・幾つかのハードル

まずは、理想に近づけない問題点・いくつかのハードルがあります。

それは、、コミュニケーションの欠如観察発見の欠如です。

コミュニケーションの欠如には
1、院内でのコミュニケーションの欠如
2、設計会社・施工会社とのコミュニケーションの欠如
の2点が挙げられます。

 おおよそ、院内での稟議を通すのが厄介である、、や、そもそも経営層や役員が話を聞いてくれない、、決定権をもったスタッフの頭が固い、、、事務方スタッフが取り合ってくれない、、
などなど、こういった弊害のお話しをよく聞きます。昨今では、風通しのよい組織も聞くようになりましたが、まだまだ院内コミュニケーションのハードルが高いところがあります。
 そして、いざICUのプロジェクトが始まってみると、これまた厄介なのが、設計や施工会社とのコミュニケーションです。

何を言っているのかわからない。。
伝えたことがカタチになってこない。。

往々にしてよく聞きます。
設計時ならまだしも、、ICUが完成した後に問題課題が発見され、どうするのこれ??なんて本末転倒ですが、よくあることでもあります。
 
 簡単なものであれば、後から解決できますが、、、
例えば、ICU個室の扉間口が狭くて重症患者のベッドや医療機器が入らない、、、とか、検査へ移動する為の動線にクランクが多すぎて、重症患者の移動が毎回大変すぎる、、、とか、ICU個室の壁に隣を見る為の窓がついていなかった!とか、、、結構頻繁に聞く話です。
ICU個室の扉が狭くて、、、なんて、結局その部屋は、結果、物置のようになってしまったとの後日談がありました。
むかし、ドリフの荒井注さんがカラオケボックス店をオープンした際に、建設した建物にカラオケの機械が入らなくて、結局オープできなかった、、という本末転倒な実話がありましたが、これに近いトラブルが実際にICUの環境でも起こっているわけです。。

この問題のポイントは、、設計や施工現場で3つの言語が飛び交っていると言うこと。
・医療看護の言語
・経営、事務方の言語
・建築設計・施工の言語

この3職種の言語が飛び交う現場は、一見コミュニケーションが図れている様に見えますが、それぞれの言語の中で多言語を理解しているつもりになっているだけで、なんてことはない、、理解できていない状況が続いていくわけです。
何度伝えても、図面が思ったように直ってこない、、なんて正にここにあります。
医療・看護と建設をつなぐポケトークのような機械があればいいのですが、ありません。だれか人間が媒体となって通訳をしないといけないのです。
通訳者の存在です。

もっとも、昨今では、看護師の免許を取り、数年間仕事をした後で、建築士の免許を取り、建築会社に就職し直す方も出て来ております。
そういった方もまだ世の中に数人ですが、出て来ております。

そして、観察発見の欠如です。
スタッフの日常業務や患者さんの日常、ご家族の来院時などから、無意識や違和感を発見する重要さ、、があります。
ICUの環境デザインに於いて、どこのICUでも変わらない不変の条件と、各ICUによって異なる条件の2つがあります。
例えば、エリアのプランニングや動線計画はこうあるべきだ、、とか、特定集中治療室管理料を取るためにこうするべきだ、、という話もありますが、、病院の規模や取組み方、専門医や師長さんの考え方によっても、ICUの環境や関係も変わってきます。
それに対して、スタッフの方々が、日々どのようにオペレーションされているのか?どのように動作されているのか?歩く距離や止まる場所、見ている先や収納をどのように考えているか?とか、、現場の方々も日頃意識されていない事が山のようにあります。

そういった各現場での、物と物との関係性に潜んだ無意識や違和感を、客観的に「観察〜発見〜整理」をする人間が、計画時にいない、、という問題があります。

実際に専門的にそういった事を行っている職種や専門家がほとんど存在しない、、という事もあります。

このように問題点を改めて考えてみると何となく、見えてきた気がしますが、どのように進めれば良いか分かりません。

コミュニケーションの欠如があるのは分かるが、どうしたら良いの?
観察発見をしてくれる人っているの?

理由は分かっても、解決したわけではありません。

次回は、そんな問題やハードルに対して、どんな解決方法があるか?のお話をしてみます。

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