鉄のフライパンをやめようかと思った時…
初めて買ったフライパンは、実家を離れて一人暮らしを始めた時すぐ近くにあった大きなスーパーで見つけた、特売のテフロン加工の赤色でちょっと深めのフライパンでした。
家具や家電、日用品などは高校生の頃にバイトで貯めたお金で全てを揃えたので、価格がとにかく重要!そんな理由で特にこだわりもなく買ったフライパンも、結局十数年は使いました。
貧乏性なわたしは壊れていないのにモノを買い換えるのはなぁ、、思う方なので、アンドプレミアムなどの雑誌に出てくる素敵な方のキッチンに並ぶ道具を見ながら、次に買うときは良いものを買おうと妄想を膨らませていたのでした。
そして、結婚してますます出番の多くなったフライパンは、持ち手がグラつき始め、表のテフロンも所々が剥がれて焦げ付く、あぁ〜!とムキになってタワシで擦るとますますテフロンが剥がれるの繰り返し。
いよいよこの時が!と思い
色々調べた末に、手入れをすれば長く使うことができ、シンプルな所に魅力を感じて、鉄のフライパンを手に入れたのでした!
新しいフライパンに心躍らせながらお料理してみると、今まで使っていたフライパンより熱の伝わり方が良いのか、炒め物は野菜のシャキッとした食感を残したまま美味しくできるし、お肉を焼いてもジューシーでおいしさが違います。
その違いに感激して、実家の母にも同じフライパンをプレゼントしました。
けれど、そんな事を思っていたのも束の間、、
使ううちに焦げ付きが気になるようになってきました。
それもそのはず、、
確か購入したフライパンについていた説明書には、使用後は薄く油を塗って熱し、冷ましてからしまうと良いと書いてありました。
手入れをできたのも最初のうちだけ。
残業をしてから家に帰り、お腹が減ったと言う夫の為に急いでご飯の支度をして、やっと一息つきながら食事をしたら、次は食器や鍋などを洗い、簡単にキッチン周りの掃除を済ませる。
夫が手伝ってくれても、もうここまででヘトヘト。
フライパンの手入れをする気持ちの余裕なんてありませんでした。笑
お肉や野菜を焼くくらいならいいのですが、麻婆豆腐のような汁気のある料理をした次は特に、いくら油を引いて調理をしても食材がフライパンにくっついてしまいます。
ズボラなわたしには鉄のフライパンは向いてなかった、、
と思いながら新しいフライパンを買うこともなく、気がつくと数年が経っていました。
そんな時、実家に帰ると以前母にプレゼントした我が家と同じフライパンはなんだか綺麗に使い込まれていて、いい感じに育っているのではありませんか!
けれど、ズボラなわたしの母親です。決してマメなタイプではないので、「なんでこんなに違うの〜!」と驚きながら母に問うと、
「手入れは使う前にやればいいのよ」とあっさり。
どうやら、フライパンを使う料理の日は、まずフライパンに油を塗って軽く熱して馴染ませておき、それから食材を切ったり下拵えを始めるようです。
なるほど〜!それならわたしもできそう!
と思い、最近はそれを実践しています。調理の少し前に油を馴染ませておくだけでも、以前より食材がくっつきにくくなりました。
もしかしたら、説明書のように使用後に手入れするのが1番いい方法かもしれません。けれど完璧でなくても自分にできる方法で継続することが、ものを長く使い続ける秘訣かもしれません。
手入れをする度に愛着が湧き、より大切に使おうと思う気持ちになるだけではなく、手にかけた分だけ使い心地や良くなったり、いい色や光沢が出てきたり、道具達もお返してくれるという事にも気がついたのでした。
「わたし忙しくてあなたにそんなに構ってられないわ」とフライパンに言っていると、
フライパンも「そんなら、申し訳ねぇけどこんだけの仕事しかできねぇゾ」と言ってくるし、
「でもこの時間なら、あなたに手をかけてあげられる」と言うと
「そんだけでも嬉しいぞ、助けてあげようじゃねぇか」と返してくる。
道具は喋らないけれど、人と同じでそんな対話も楽しかったりします。
それができるのがいい道具で、心も豊かにしてくれるのかもしれませんね。