朝市
朝の4時、アラームの音で目が覚める。外はまだ薄暗く、しんとしてる。鳥の声も聞こえない。
フラフラする身体のバランスをとりながら、身支度をはじめた。そのうちに同居人も起きる。
二人で車に乗り、私たちは原村へ向かった。
長野県諏訪郡、原村。
ここでは毎年、この時期だけ朝市が開催されている。私たちはパン屋の息子とそのパートナーとして、出店を手伝っていた。
朝市の会場に着くと、いつも少し霧がかってた。小さな広場には木々とテントが合間あいまに並び、既に搬入を始めてる人もいる。
出店者は馴染みの顔が多い。特に自分の出店ブース付近はそうで、毎年決まったようなやりとりが起こる。
やりとりの中身はたわいもない話やったりするんやけど、「気にかけてるよ」というのが伝わってくるようなコミニュケーション。競合じゃなくて、協働のイメージ。
「気にかけてるよ」というコミニュケーションは、薄い層として毎年重なっていく。原村朝市は、この層が雰囲気として現れてると思う。
自営業を営むことは意外と孤独なので、こういう場は売り上げ以外の面でも大事なことに思う。横の繋がり、大事。
もちろんお客さんとの繋がりもある。それはそれでかけがえのないものやけど、ただ、立場が違うから。同じような景色を見てると思える相手が、いてほしい。と私だったら思う。
ところで、朝市に出店する日は昼寝をしっかりとるようにしてた。いわゆるシエスタというやつ。これが身体にとっていいのかはわからないが、都合がいいとは思ったた。
私は体力がなく、長い時間、活動してられない。だから途中で休むんだけど、休むというのも案外難しい。起きてる限り、頭は働いてしまうから。
だけど昼寝をすると、頭も身体もちゃんと「休める」ので、一日の体力がつづくようになった。合理的。
早く寝なくちゃという焦りから開放されるのもいい点やった。夜は家族と団欒の時間なので、寝る時間を早めるとそれが削られてしまう。でも昼寝するなら、多少遅くなっても問題ない。
朝市が終わっても、暫くはこのスタイルを続けよう。
そして朝市で出会ったお店たちの、今度は実店舗に、足を運びたい。