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今日のジャズ: 6月3日、1963年(祝60周年)@ニュージャージーRVG

June 3, 1963 “Blue Bossa”
by Joe Henderson, Kenny Dorham, McCoy Tyner, Butch Warren & Pete La Roca at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey for Blue Note (Page One)

ブラジル発の音楽、ボサノバが米国に定着した証として、ボサノバのリズムを組み入れた曲がアメリカのジャズミュージシャンによって作曲され、生まれた名曲のひとつ。

ボサノバは、サンバに派生した「新たなムーブメント」という名称でブラジルにて登場。三月と五月に取り上げたジョアンジルベルトとアントニオカルロスジョビンが創始者として牽引していく。

この曲では、先ずメインテーマをテナーとトランペットのユニゾンでなぞるところから始まり、作曲者でトランペットのケニードーハムによるアフロキューバン音楽のような痺れるトーンを活用したメインテーマを発展させて熱みを帯びていく渋いソロが先行する。

そしてリーダーのテナーサックス、ジョーヘンダーソンが同じくメインテーマから派生させる、これまた味のあるソロを展開していく。本アルバムがデビュー作品、まさに名前通り”Page One”となったヘンダーソンは、捉えどころがない鰻のようなフレーズをブリブリ繰り出してゆく独特のスタイル。系統的には着地するようでなかなかしないフレーズを多用するハンクモブレーを進化・洗練したようなプレイスタイルに特徴がある。そしてリーダーなのに、ドーハムのソロよりも二十秒ほど短く、控えめなのも以下で触れたようなモブレー気質譲りか。

このアルバムジャケットにおいて、インパルスレコードと直前で契約したために名前の記載が無く、”/ETC”とされているピアノのマッコイタイナーは、終始スタイリッシュなキレの良い、その特徴であるパーカッシブな伴奏で動き回る。ピートラロッカのドラムの「タッ、タッ」と不規則に刻まれるが歯切れの良い端正なリムショットに触発されているかのよう。

どちらかと言うと軽快なタッチのリズムセクションで一人、気を吐くのがブッチウォレンによる太くて胴体全体がズシンと鳴り響くベース。6:30からのソロも含めて派手さは無いが、終始アンカーのようにバンド全体を纏め上げている。この奥深さを何処まで再現できるか、がオーディオ的な聴きどころ。そのベースソロの直後にピートラロッカの6:53から6:57まで、一秒おきに「トン、トン、トン、トン」と軽快で弾むようなスナップを利かせたスネア四連発の響き方が、何処まで上方に高らかに木の鳴りと共に聴こえるのか、ここもオーディオの特性を把握出来る箇所でもある。

アルバムジャケットはブルーノートレーベルの共同創始者、フランシスウルフが当時出来たばかりのニューヨークのリンカーンセンターの外でヘンダーソンを撮影した写真。オフショットとして、こんな写真も残っている。

ジャケットと異なる優しい笑顔
これがアルバムジャケットなら手に取るのに迷う
当時出来たばかりのリンカーンセンター

ブルーノートの定番、リードマイルズによるアルバムジャケットデザインで、白黒写真地にオレンジと紫色の文字が良く映える。

三月に紹介したボサノバの代表作は、こちらからどうぞ。本作の約三ヶ月前の録音。

最後に、五月に紹介したアントニオカルロスジョビンの爽やかな作品をどうぞ。

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