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持続可能な未来の農業に向けて。アグリテックへの投資【日経STOCKリーグレポート紹介②】|専修大学渡邊ゼミ

こんにちは!
専修大学商学部の渡邊隆彦ゼミ(以下、渡邊ゼミ)広報部です!

今回も私たち渡邊ゼミの活動の一つである日経STOCKリーグで作成したレポートをご紹介していきます!

日経STOCKリーグとは、中学生、高校生、大学生を対象にした金融・経済の学習コンテストです。

仮想のお金(500万円)を使って、株を売買するシミュレーションを行いながら、構築したポートフォリオについてレポートにまとめることで株式投資や経済の仕組みを学びます。

↓↓日経STOCKリーグについてはこちらの記事もご覧ください!↓↓

今回はチーム②のレポートをご覧ください!



・投資テーマ「アグリってる?-持続可能な未来の農業物語-」

表紙(一部)

・テーマ決定の背景

日本の農業が直面する社会問題として、農業従事者の高齢化や人手不足、また異常気象による農業生産への深刻な影響が挙げられます。これらの問題は、次世代の食料供給の安定を維持するために早急な対応が求められる課題です。

こうした背景のもと、私たちはICT技術を活用したアグリテックがこれらの課題を解決し、持続可能な農業の実現に貢献できると考えました。アグリテックやスマート農業は、生産性の向上や効率化を通じて社会課題を解決し、これからさらに発展していく可能性の高い分野です。

前述の機会を捉え、私たちはアグリテック分野で課題解決と成長を目指す企業に投資を行うことで、日本の持続可能な農業と社会の未来に貢献することを目指しました。

・アグリビジネス創出フェアへの参加

アグリビジネス創出フェア

私たちはアグリテックについての知識獲得を目的とし、東京ビックサイトにて開催されたアグリビジネス創出フェアへ参加しました。

アグリビジネス創出フェアとは、全国の産学官の機関が持つ農林水産・食品分野などの最新の研究成果を展示やプレゼンテーションで紹介し、研究機関同士や研究機関と事業者との連携を促進するために開催される「技術交流展示会」です。

私たちは本レポートにおいて、最終的に選定した企業がアグリテック分野において今後どのように関わっていくべきか、その理想像を明確にしたうえでポートフォリオを構成する企業の選定を行いたいと考え、学生目線で理想像を設定しました。その理想像は「高齢者から若者まで、すべての世代が安心して働ける持続可能な農業の発展に貢献する企業」です。

しかし、学生目線だけでなく、アグリテックに関わる方々にも今後のアグリテック分野の展望を教示いただき、学生目線とプロの目線の双方を反映した理想像に合致する企業を選定したいと考えました。そのため、アグリテック創出フェアにて出展していた方々にアグリテック分野の展望をお聞かせいただきました。

アグリビジネス創出フェアで教示いただいた展望と我々学生目線の理想像を融合させ、本ポートフォリオが目指す理想像は「すべての世代の農業関係者が高機能な製品を活用することで、業務の効率化を図り、異業種との連携を実現しながら、持続可能な社会と農業の基盤を構築すること」に決定しました。

・アグリテックの現状

アグリテックとは、農業と技術を組み合わせた造語で、ICTやロボット技術を活用して農業分野の課題を解決する取り組みを指します。現在、日本の農業は従事者の高齢化や後継者不足、低下する食料自給率、さらに気候変動による異常気象など、さまざまな問題に直面しており、アグリテック技術の導入がこれらの問題の解決策として注目を集めています。

アグリテックで利用される技術には、AIやビッグデータ分析、IoT、ドローン、ロボットなどがあります。例えば、AIやビッグデータ分析は、作物の育成状況や環境データを収集・解析し、生産性の向上や品質管理を実現します。また、IoT技術を活用すると、センサーによる土壌の湿度や温度、日照量のリアルタイム監視が可能となり、遠隔からの管理や自動制御が行えます。さらに、ドローン技術は空中からの農薬散布や作物のモニタリング、種まきなどで作業効率を向上させ、自動収穫ロボットや自立走行型トラクターなどのロボット技術も、労働力不足の解消や作業の省力化に貢献しています。

アグリテック市場の成長も顕著で、日本国内では2019年の725億円から2021年には1,944億円に拡大し、2025年には3,885億円に達すると予測されています。世界的にも、2019年から2025年の間に約132億ドルから約220億ドルまで成長するとされています。このような成長の中で、日本国内では、MIRAI株式会社が運営する植物工場や、inaho株式会社が開発したアスパラガスの自動収穫ロボット、株式会社レグミンが開発を進める自立走行型農業ロボットなど、先進的な企業の取り組みが注目されています。

しかし、アグリテックの普及には課題も存在します。その一つが高額な初期投資です。農業従事者にとってこのコストは大きな負担となる場合があり、導入が進まない一因となっています。この問題に対して、農林水産省はスマート農業総合推進対策事業費補助金などの支援策を提供し、導入コストの削減とスマート農業の普及に努めています。

総じて、アグリテックは、日本の農業が直面する課題を解決する有力な手段として期待されています。技術の進化とともに導入と普及が進むことで、持続可能で効率的な農業の実現が目指されています。今後の技術革新と、それを支える支援策の充実により、アグリテックの可能性はさらに広がると考えます。

・ポートフォリオの作成

ポートフォリオ構成銘柄のスクリーニングは次のように実施しました。

スクリーニング過程

・第1スクリーニング

第1スクリーニングでは、設定したテーマに基づき、国内株式公開企業の情報を収録した総合企業情報データベースの「eol」を用いてキーワード検索を実施しました。検索ワードとして「アグリテック」「スマート農業」「農業 AND IoT」を設定しました。

また、検索時には事業内容としてアグリテックに関連する企業を抽出するため、eol内の目次設定機能を活用して事業の状況を選択し、企業を選定しました。

検索期間は2010年1月1日から2024年8月31日までに設定しました。
2010年からという広い範囲で検索を実行した理由は、2015年のSDGs目標採択後、スマート農業やアグリテックへの関心が高まったことに加え、それ以前の2010年頃からeolでアグリテックに関連する情報が増え始めたためです。また、この市場が今後さらに発展することが予想され、早期に取り組んでいる企業が評価に値するため、検索範囲を広く設定しました。

結果として、第1スクリーニングではアグリテックおよびスマート農業に関連する企業として156社を抽出しました。

・第2スクリーニング

第2スクリーニング(1)では、定性分析を行い、企業の事業内容を精査して、アグリテック領域に関与しているかを確認しました。その結果、80社を第2スクリーニング(1)通過としました。

第2スクリーニング(2)では、さらに詳細な定性分析を実施しました。以下の4つの観点から評価を行い、それぞれの指標に基づいて点数を算出しました。

  • 事業内容(地域連携、独自技術)

  • 社会的評価(DX銘柄、ESG活動、くるみん認定、えるぼし認定、口コミ評価)

  • 学生評価(信用能力、事業所数、お問い合わせチャネル数)

  • 人材戦略(人的資本)

以上の4つの観点から11項目を設定し、22点満点で定性分析を実施しました。その結果、上位40%を通過ラインとし、16点以上を獲得した36社を第2スクリーニングの通過企業としました。

・第3スクリーニング

第3スクリーニングでは、定量分析を行いました。まず、PBR(株価純資産倍率)が1倍未満の企業を除外し、29社を通過企業として選定しました。その後、安全性、収益性、生産性、成長性の4つの観点から分析を行いました。各指標については、2021年から2023年までの過去3年間の平均値を算出し、評価基準としました。
各指標において、業種平均を基準とし、平均以上の場合には「〇」、平均未満の場合には「×」としました。各企業について「〇」が3つ以上の場合に第3スクリーニングを通過としました。その結果、21社が第3スクリーニングを通過しました。

・第4スクリーニング

第4スクリーニングでは、定性分析を行いました。この分析は、冒頭に触れた理想像を基に実施したものです。理想像は以下の通りです。

「全ての世代の農業関係者が高機能な製品を活用することで、業務の効率化を図り、異業種との連携を実現しながら、持続可能な社会と農業の基盤を構築」

この理想像に基づき、企業のHPを確認し、アグリテック分野において上記のメッセージ性を含む場合には「〇」、含まない場合には「×」と評価しました。第4スクリーニングの結果、17社が通過しました。

・投資対象企業全17社一覧

マクニカホールディングス(3132)、アステナホールディングス(8095)、エア・ウォーター(4088)、花王(4452)、OATアグリオ(4979)、クミアイ化学工業(4996)、やまびこ(6250)、クボタ(6326)、IHI(7013)、日本電信電話(9432)、NTTデータグループ(9613)、カゴメ(2811)、トプコン(7732)、ミネベアミツミ(6479)、ニデック(6594)、富士通(6702)、ニチコン(6996)

・投資先比率

スクリーニングによって選定した企業の投資比率を決定するため、最小分散ポートフォリオを作成しました。この際、リスク分散を目的として、1企業あたりの最低構成比率を2%としました。結果として、期待リターンは1.25%、リスクは0.047016664となりました。

・感想

今回の日経ストックリーグの活動を通じて、アグリテック分野への理解を深めるとともに、企業の持続可能性について多角的な視点から考察する貴重な機会を得ることができました。

アグリビジネス創出フェアでは、アグリテックが単に農業技術の高度化を目指す分野にとどまらず、より広範囲にわたる取り組みであることを学びました。具体的には、農業の効率化や技術革新だけでなく、流通基盤の整備や、IoTを活用した経営コンサルティングにも及んでいることを知り、その可能性の広がりに驚かされました。また、最新技術を実際に目にすることができ、その社会的意義や将来的な発展の可能性について具体的なイメージを持つことができました。この体験を通じて、アグリテックというテーマに対する視野を広げることができたと感じています。

さらに、アグリテックの技術開発や導入において「持続可能性」が極めて重要であることを実感しました。多くの企業が環境保護や社会貢献を重視し、それらを事業活動の中核に据えている姿勢は非常に印象的でした。このことは、短期的な経済的利益を追求するだけでなく、長期的な視野に立った企業経営が求められることを示しており、持続可能性を実現するためには、技術開発だけでなく、社会全体との調和を図る多角的なアプローチが不可欠であると学びました。

アステナホールディングス株式会社様のフィールドワークでは、現場で働く方々の生の声を聞くことができました。導入に際しての課題や工夫、さらには技術に対する思いなど、理論だけでは得られない現場のリアルな状況を知ることができたのは、非常に貴重な経験でした。現場で直面する具体的な問題点を理解することは、アグリテックをより実践的に学ぶ上で大きな助けとなりました。

今回の活動を通じて得た知識や視点は、今後の学習やキャリア形成においても十分に活用していきたいと考えています。私たちが未来の社会でどのように貢献できるかを考える際の指針を得ることができた経験でした。


今回のチーム②のレポートの紹介は以上となります!
最後までご覧いただきありがとうございました!

次回の投稿もお楽しみに!!

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